大阪府大阪市の建築家・設計事務所、株式会社 山本嘉寛建築設計事務所が手掛けた施設建築の実例、昭和レトロなビルの一棟リノベーション|岡山ビルを紹介
1970年代初頭に建てられた小さな複合ビルのリノベーション。
アプローチ。既存電気メーター盤を塗装して館内表示に転用。
朽ちかけていたビル銘板をリペア。レトロなフォントを再構成。
アプローチと101号室を仕切るレンガ壁。上海の古い家屋に使われていたものを再生。
アンティークレンガは通常の3倍の目地材で彫りの深い表情に。
階段室壁面はプロジェクトのテーマカラーであるロイヤルブルーに塗装。
既存防火シャッターはそのまま再利用して廊下・階段を竪穴区画。
201号室との境はウッドブラインドで視界調整。
201号室全景。重量感のあるマンサード型耐震ブレース。サッシも今回工事で入れ替え
1階をRC、2階を鉄骨で補強することで耐震基準をクリア。
3階共用部。床は既存Pタイルを剥がし壁は塗装。天井は既存コンクリート素地。
雑居ビルでは置き去りにされがちな共用部のデザインも、来客のあるテナントにとっては
301号室。各室の床・壁を剥がした状況は全て異なる。
302号室。床面はPタイルを剥がしモルタルで凹凸を調整、塗り床材でコーティング。
室名板は黒皮鉄のプレートに真鍮切り文字で部屋番号を貼付し製作。
第2期工事。単なる室外機置場を屋上庭園に改変。ペントハウスを挟んで南側は椅子座の
第3期工事。劣化した外装を全面検査・補修、新たなタイルを嵌め込み。
既存の小口平タイルとの相性を慎重に吟味し、色味4種×表面仕上げ3種をmix貼り。
笹倉洋平
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1970年代初頭に建てられた小さな複合ビル。オーナーは相続でこの建物の管理を託されましたが、長年ほとんどメンテナンスされず風雨に晒され続ける間に老朽化と空室化が進み、抜本的な対策に迫られていました。ハウスメーカーや建設会社に相談されたものの、解体して駐車場にしたり賃貸マンションに建て替える提案ばかり。紋切型の事業物件を安価に造ってもまた早々に劣化するのではないか。コンクリート造の建物が40年程度で解体せざるを得ないというのはおかしい。幼い頃建設に立ち合った建物には思い入れもある。オーナーからそんな話を聞き、一度現地を見てみましょう、と言ったところからプロジェクトは始まりました。
建物はほとんど空室で、何十年も賃借している事務所が幾つか、あとは近くの建設現場が仮設事務所として間借りしている程度でした。ツギハギの修繕工事やリフォームで内部は意匠的にも法規的にも滅茶苦茶な状態。設備も劣化して汚水の臭いが漂っています。確かに解体するほうが手っ取り早いものの、シンプルな躯体は利用しやすいし、今では見かけない鉄製の金物や焼むらのある外壁タイルも見方によっては魅力的で、再生してみる価値はあるだろう、という意見で一致し、一棟リノベーションの計画を進めることになりました。
事業物件の計画では何よりリーシングが重要ですが、従来型の不動産会社では立地条件や床面積でしか物件を評価が出来ず、駅からやや離れた築年数の古い建物の魅力を十分に発信することが出来ません。そのためウェブ上で展開する不動産会社とタッグを組み、クリエイティブな層に訴求出来る最適なプランを試行錯誤しながら決定していきました。最終的には1階を大きな貸室と倉庫・駐輪場、2・3階は大中小の貸室と共用ラウンジ、4階は住居利用可能なSOHO、とバリエーション豊かな構成に辿りつきました。意匠面では、建物を隅々まで実測し、老朽化した部分を修繕しつつ古くても確かな材料を残していく地道な作業の積み重ね。構造面は耐震診断の結果判明した脆弱箇所を、意匠とバランスを取りながら鉄骨ブレース・RC壁にて補強しました。設備面においても館内の配線配管は全てやり直し、防火区画や延床面積の考え方、消防設備を整理して建築基準法・消防法と合致させました。
工事は、内部の全面的なアップデートを行った第1期(2014-2017)に続き、屋上の室外機置場を共用テラスに転換した第2期(2017-2018)、劣化した外装を全面検査・補修し、まばらに浮き・割れを生じていたタイルを除去して新たな差し色を嵌め込んだ第3期(2020-2021)、と段階的に進められ、ようやく一応の完成を見ました。その間にウェブや建築系のデザイナー、アンティークやアパレル系の会社など様々な業種・業態の入居者が集まって、活気の溢れる施設に転換しました。オーナーも小さな部屋を確保して屋根裏部屋的に楽しんでおられるご様子。時折発生する古ビル特有の問題に対処したり、入居者からの意見をフィードバックさせながら、ますます建物は魅力的になっていきます。 構造規模/鉄筋コンクリート造5階 用途/事務所・共同住宅 敷地面積/50坪[160m2] 延床面積/150坪[500m2] 施工床面積/190坪[620m2] 設計監理/山本嘉寛[YYAA] 構造設計/[オオイシ構造一級建築士事務所] 施工/[三笘工務店] 屋上デザイン/松下岳生[soji] 不動産コンサルティング/[大阪R不動産] 金物/[上手工作所]
建物はほとんど空室で、何十年も賃借している事務所が幾つか、あとは近くの建設現場が仮設事務所として間借りしている程度でした。ツギハギの修繕工事やリフォームで内部は意匠的にも法規的にも滅茶苦茶な状態。設備も劣化して汚水の臭いが漂っています。確かに解体するほうが手っ取り早いものの、シンプルな躯体は利用しやすいし、今では見かけない鉄製の金物や焼むらのある外壁タイルも見方によっては魅力的で、再生してみる価値はあるだろう、という意見で一致し、一棟リノベーションの計画を進めることになりました。
事業物件の計画では何よりリーシングが重要ですが、従来型の不動産会社では立地条件や床面積でしか物件を評価が出来ず、駅からやや離れた築年数の古い建物の魅力を十分に発信することが出来ません。そのためウェブ上で展開する不動産会社とタッグを組み、クリエイティブな層に訴求出来る最適なプランを試行錯誤しながら決定していきました。最終的には1階を大きな貸室と倉庫・駐輪場、2・3階は大中小の貸室と共用ラウンジ、4階は住居利用可能なSOHO、とバリエーション豊かな構成に辿りつきました。意匠面では、建物を隅々まで実測し、老朽化した部分を修繕しつつ古くても確かな材料を残していく地道な作業の積み重ね。構造面は耐震診断の結果判明した脆弱箇所を、意匠とバランスを取りながら鉄骨ブレース・RC壁にて補強しました。設備面においても館内の配線配管は全てやり直し、防火区画や延床面積の考え方、消防設備を整理して建築基準法・消防法と合致させました。
工事は、内部の全面的なアップデートを行った第1期(2014-2017)に続き、屋上の室外機置場を共用テラスに転換した第2期(2017-2018)、劣化した外装を全面検査・補修し、まばらに浮き・割れを生じていたタイルを除去して新たな差し色を嵌め込んだ第3期(2020-2021)、と段階的に進められ、ようやく一応の完成を見ました。その間にウェブや建築系のデザイナー、アンティークやアパレル系の会社など様々な業種・業態の入居者が集まって、活気の溢れる施設に転換しました。オーナーも小さな部屋を確保して屋根裏部屋的に楽しんでおられるご様子。時折発生する古ビル特有の問題に対処したり、入居者からの意見をフィードバックさせながら、ますます建物は魅力的になっていきます。 構造規模/鉄筋コンクリート造5階 用途/事務所・共同住宅 敷地面積/50坪[160m2] 延床面積/150坪[500m2] 施工床面積/190坪[620m2] 設計監理/山本嘉寛[YYAA] 構造設計/[オオイシ構造一級建築士事務所] 施工/[三笘工務店] 屋上デザイン/松下岳生[soji] 不動産コンサルティング/[大阪R不動産] 金物/[上手工作所]