断片の集積=展示環境
神戸市東灘区御影。かつてこの地から切り出された御影石が、異なる鉱物の集積によって特有の美しい模様を描き出すように、ギャラリー「BIOME」も多様な空間の断片が寄り集まって構成できないかと考えた。
BIOMEとは本来、気候や風土によって区分される生態系のまとまりを意味する言葉である。
本ギャラリーは、美術展示におけるいわゆる「ホワイトキューブ」とは異なり、空間ごとに異なる色彩を持たせている。部屋を進むごとに空間の質が変化する構成によって、アートが伸びやかに存在できる環境を目指した。作品を演出することに空間的な機能の比重を置くのではなく、ただそこにあるものとして、人と作品が自然な距離感で出会える環境を整えている。
鑑賞者は、色彩の連なりの中を歩きながら、散りばめられた空間とアートの断片を自ら拾い集め繋ぎ合わせていく。あらかじめ用意された正解を読み解くのではなく、作品との静かな対話を通して、世界や自分自身の輪郭が少しだけ変容していくような体験。
街の記憶と新たな表現が交差するこの場所で、アートと個人が緩やかに結びつき、ひとつの新しい生態系(BIOME)が育まれていくことを願っている。
延床面積:144.85㎡
設計監理:今津修平+織田楓花
設備設計:山崎設備
植栽計画:藤田毅/リバーワークス
建具製作:塩田木材工業
施工:LOOWE