BotExpress 山のオフィス|津野建築設計室
蓼科に建つワーケーションオフィスの計画です。「ワークとライフを切り分けるのではなく、人生の中で膨大な時間を占めるワークライフの質を上げたい」、「フルリモートで働く全国各地に住む社員達が、好きなときに好きなだけいて良くて、ここに来たら彼らの中の何かがスイッチするような場があるといい」というクライアント企業の理念から、プロジェクトがスタートしました。
敷地は小さな自然公園と小川に隣接した緩斜面のカラマツ林の一角です。一本一本に特徴はないものの、まっすぐ伸びた幹の連なりが透明感があって美しいカラマツ林が持つイメージ重ねて、ここに建つ建築は、大勢で集まるだけでなく、独立した個人が居合わせることができる、離散的な「居方」が可能な空間がふさわしいと考えました。
既存樹木の位置や地形の高低差から導き出された三つの向きの箱と、五つのレベルの床を設定し、視点の対象や奥行にバリエーションが出るように、開口の位置や大きさを決めつつ、全体をひとつにまとめるため、同一勾配の一枚の平面でできた大屋根で覆う形式としています。全てを一目に見通せる場所も、他の気配を感じない場所もなく、歩を進めるごとに見える領域も死角も変化する、街路のような公共性を持つ空間を目指しました。
この建築はオフィスでありながら、創造性を引き出すアトリエでもあり、くつろげるセカンドハウスでもあり、みんなで集まる合宿所でもある。そんな一言でくくれない多義性が、新しい価値を生み出すきっかけになることを願っています。
建築概要
用 途:ワーケーションオフィス
工事種別:新築
構 造:木造二階建
延床面積:266.82sqm