インダストリアルデザインの家|設計事務所による注文住宅実例7選 著者:クラスキ編集部
インダストリアルデザインの家では、素材そのものが持つ質感や構造的な表情が、空間の印象を形づくります。コンクリートや金属、木、タイルなど、異なる素材を組み合わせることで、無機質さの中にも温かみを感じる空間が生まれることがあります。梁や柱、配管などをあえて見せる構成では、建物を支える要素や設備そのものがインテリアの一部として存在します。一方で、家具や照明、木質素材との組み合わせによって、素材の強さを和らげ、日常の暮らしに馴染む表情をつくることもできます。素材の組み合わせや光の陰影によって変化する空間には、インダストリアルデザインならではの魅力があります。その特徴が実際の住宅でどのように建築として表現されているのか、設計事務所による注文住宅の実例を紹介します。
都幾川縁りのハイブリッドハウス H₂O設計室
都心から約50km圏、埼玉県北西部を流れる都幾川渓流沿いの約220坪の敷地に建つ、鉄・木・ガラスによるハイブリッド構造のガラスハウスです。秩父山系を望み、清流とともに四季の移ろいを享受できる環境に開かれています。2階の居住空間は回遊動線とし、一体的な温熱環境と豊かな採光を優先する計画です。外壁に開口を持たない代わりに、張り出し床の水平ルーバーと重力換気を組み合わせ、トップサイドの強制排気へとつなぐ環境制御システムを備えています。
ビルの谷間で開放的に暮らす小さな家|木川の長屋 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
大阪市淀川区の密集市街地に建つ住宅の建替計画です。細長い敷地を細かく区画し、土間や居間、寝室、水回りなどを効率的に配置しました。各空間は「間戸」の開閉により連続と分断を切り替え、採光・通風・プライバシーに配慮した構成としています。明確にON/OFFが切り替わる空間の関係性により、都市の制約の中で親子の暮らしを支える住まいを実現しています。
リノベーション・アパートメント/生まれ変わった、かわいい・カッコイイ 株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
築約80年の建物を再生したリノベーションプロジェクトです。新築との比較検討を経て既存建物を活かす道を選び、複雑な増改築の履歴を読み解きながら構造補強を施しました。屋根材を外壁に用いたうろこのような意匠と三角屋根が印象的な外観は、街並みに馴染みながら個性を放ちます。住戸数を増やしつつ、土間や高天井、ルーバー空間など多彩な居場所を計画。歴史を受け継ぎながら、現代の暮らしに応える住まいへと生まれ変わりました。
around *studioLOOP建築設計事務所
ご夫婦と3人の息子さん、愛犬が暮らす、家族それぞれの活動が緩やかにつながる住まいです。玄関や水回り、納戸などを東西に配置することで周囲の喧騒を遮り、南北に風が抜ける開放的なLDKを実現。リビングとダイニングキッチンは床の高さを変え、異なる居場所をつくりながら一体感を保っています。書斎や土間、将来3室に分けられる子ども室など、多様な暮らしに応える細やかな設えと、木を生かした丁寧なディテールが印象的な住まいです。
小浜の家 ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
福井県小浜市、鉄工所を営む家族のための住まいです。隣接する工場との距離感を丁寧に読み取り、配置や素材を選定しました。内部は、鉄のフレームでつくられた手製の和室を中心に、家族が回遊できる動線を計画。随所に家人自らが手がけたスチール家具や階段を配し、鉄という素材の存在感と手仕事の温もりが響き合います。工場の営みを暮らしへと引き込み、家族らしさが随所に息づく、豊かな住まいです。
hideaway 水戸のビルリノベーション e do design 一級建築士事務所
「大人の隠れ家」をテーマに、かつてテナントや事務所だった空間を、ご夫婦2人のための住まいへとリノベーションしました。広々としたLDKは、仕事仲間や友人が集うバーのような雰囲気を持ちながら、料理や会話を楽しむ夫婦の場所にも。フルオーダーのキッチンや壁面収納が、落ち着きと上質な時間を演出します。仕事と暮らし、趣味と休息が心地よく共存する、日常に少しの非日常を添えた住まいです。
京都伏見の住まい 木村哲矢建築計画事務所
京都伏見の川辺に建つ、1階をワークスペース、2階を住居とした住まいです。酒蔵の街並みに呼応して外壁には黒い焼杉を用い、内外ともに素材の質感をありのままに表現しています。粗いベニヤの壁・天井や、コンクリートをそのまま生かした土間など、構造と仕上げの境界を曖昧にした素朴な空間が特徴です。職人の丁寧な手仕事が、素材そのものの魅力を引き立てています。