自然と暮らす家|設計事務所による注文住宅実例23選 著者:クラスキ編集部
自然と暮らす家では、庭や植栽、光、風などの自然環境が住まいの中に取り込まれ、建築と自然がゆるやかにつながる空間が生まれます。大きな窓から緑を眺めたり、テラスや中庭を介して室内と外部をつないだりする構成では、季節の変化が暮らしの風景として感じられます。木や石などの自然素材を用いることで、外部の環境と室内の質感が呼応するような表情が生まれることもあります。光や風の入り方によって一日の中でも空間の印象が変化し、自然そのものが住まいの一部となります。自然と暮らす家というテーマが実際の住宅でどのように建築として表現されているのか、設計事務所による注文住宅の実例を紹介します。
軽井沢の家 暮らしの醸造所
軽井沢の静かな別荘地に建つ、定年後の夫婦と愛猫のための住まいです。小川のせせらぎや木々の揺らぎが感じられる豊かな自然環境に寄り添い、建築が風景を主張しすぎないよう慎ましく計画されました。橋を渡りながら玄関へと向かうアプローチは、景色の変化を楽しむ体験そのものとなっています。窓から望む四季折々の風景や光と影の移ろいが、日々の暮らしに静かな感動をもたらす住まいです。
森へひらく家 株式会社 富谷洋介建築設計
敷地を訪れた際に出会った、建物の先に広がる森。その風景を暮らしの中心に据えて計画した住まいです。玄関から土間、本棚の脇を抜け、緩やかな段差を上がると、大きな窓いっぱいに森が現れる構成としました。森を望む大開口と、採光を担うハイサイドライトを使い分け、傾斜地の高低差はスキップフロアとして生かしています。四季とともに表情を変える森と暮らし、時を重ねるほど豊かさが深まる住まいです。
大蔵の家 ことこと設計室
有機農業に取り組むご夫婦のために設計された、自然と調和する住まいです。暮らしの理念やものづくりへの姿勢に寄り添い、畑仕事の疲れをやさしく癒やす空間を目指しました。無垢の杉材や珪藻土など自然素材を用い、四季の移ろいや光の変化を感じられる開口計画を採用。外観も木の質感を活かし、時間とともに深まる風合いを楽しめます。さらに高性能な断熱仕様と放射冷暖房システムにより、一年を通じて快適な室内環境を実現。自然循環の思想を住まいにも反映した、穏やかで豊かな住宅です。
木と共に生きる家 一級建築士事務所 りんごスタジオ
大宮の風致地区に佇む、のどかな自然と繋がる住まいです。建ぺい率4割という制限のなか、豊かな広がりを生み出すために、正方形のシンプルな平面的・立体的構成が試みられました。南側の私道から抜ける光と風、隣家の借景を大胆に取り込む開口部。内部は1.5階の中間層を設けたスキップフロアにより床面積を確保し、高低差のある空間をオープンに繋いでいます。仕上げに県産の西川杉を纏った空間は、クラシカルな手法に裏打ちされた、外と内が心地よく融け合う美しい建築です。
SOHOハウス 豊田和久建築工房
SOHOとして計画された住まいで、厳しい高さ制限をクリアしながら居住空間と仕事空間を両立させた建築です。湾曲した屋根形状により法規的制約を巧みに回避しつつ、内部にはやわらかな天井の広がりを生み出しています。全体はコンパクトでありながらも圧迫感を感じさせず、光と空気が穏やかに巡る構成としました。住まいと仕事場が自然に溶け合い、柔らかなデザインが日常と創作の両方を包み込む空間です。
傾斜地とブリッジの家 ジュウニミリ建築設計事務所
岐阜県中津川市での二世帯住宅への建て替え計画です。とても眺めの良い敷地であるものの、敷地内および隣地との高低差が大きく、既存の玉石擁壁は古く、高低差をどう計画するかが建て替えの大きなポイントとなりました。
森の中の別荘 Sデザイン設計 一級建築士事務所
富士山の麓、豊かな森に抱かれるように建つ別荘です。森の風景そのものを魅力として取り込み、自然に包まれながら快適に過ごせる空間を目指しました。照明は浮遊感と奥行きを意識して計画し、夕暮れとともに建物が森の中に浮かび上がるような時空間を演出しています。非日常的で上質なひとときを、ゆったりと楽しめる住まいです。
ヤマノイエ 津野建築設計室
美しい広葉樹の林が広がる傾斜地に建つ別荘です。敷地の流れに沿って生えていた大木を残し、それを中庭として緩やかに囲むように配置されています。建物内には、さまざまな角度から樹木や斜面の緑を楽しめる場所を用意しました。おおらかで一体感のあるワンルームの中に、一人でも大勢でも心地よく過ごせる多彩な居場所が点在する、山の家です。
古き物を活かしつつ緑を見てモダンに暮らす 建築設計工房BO5
昭和40年頃に建てられた主屋の台所と食堂部分を改修し、新たにリビングを増築することで、現代的なLDKへと再構成したプロジェクトです。増築部分は庭へと張り出すように計画し、室内からは常に緑を感じられる構成としました。既存建物の記憶を活かしながら、外部の自然と緩やかにつながることで、日常に豊かな広がりをもたらす住まいへと再生しています。
木立の中の家 - sawvi 佐賀高橋設計室
緑に囲まれた店舗併用住宅です。南側に山が迫り光が入りにくい敷地条件の中で、いかに自然光を取り込み、周囲の豊かな緑を切り取るかを丁寧に検討して設計されています。室内には光と景色の抜けを生む開口を計画し、環境を積極的に室内へと引き込んでいます。1階の店舗では、麹にまつわるさまざまな商品を扱う空間となっています。
雑木林の中のデッキテラスで内と外を楽しむ住まい 一級建築士事務所 光設計
軽井沢の豊かな雑木林に囲まれた、永住のための住まいです。東京から移り住むご家族のために計画され、厳しい冬の寒さに備えて、屋根や外壁、開口部の断熱性能を丁寧に高めています。1階は薪ストーブを中心に、リビング・ダイニング・キッチンがゆるやかにつながる開放的なワンルーム空間。南側には広々としたデッキテラスを設け、木漏れ日の中で過ごす穏やかな時間を日常へと取り込みます。自然と共生する軽井沢らしい暮らしを実現した住まいです。
ひとつ屋根の下の二世帯住宅|葛城山麓の家 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
大和葛城山東面の裾野に建ち、シンプルな三角屋根を掲げた住宅です。ご夫婦とお母さま、猫2匹が暮らしており、居住部分は部分的に重なり合い、二世帯とも同居とも言えない距離感を保っています。ご夫婦側は1階LDKから大きな窓と本棚のある吹抜け階段で2階のランディング・寝室・水周りへとつながっています。お母さま側は1階に寝室と水周り、2階にコンパクトなLDKを配しています。窓外に田畑や葛城山の四季折々の風景が広がり、ゆっくりした時間が流れています。
Fan House I 設計室
なだらかな傾斜地に建つ三世帯住宅です。南には田園風景、北には茶畑が広がる豊かな環境を生かし、風景を包み込むような扇形の平面を採用しました。住まいのどこにいても自然の景色を感じられる開放的な構成としています。三世帯の暮らしは建具によって緩やかにつなぎ、互いの気配を感じながらも心地よい距離感を確保。しっくいの白壁と美しい木組みが映える、素材の魅力を生かした穏やかな住まいです。
高尾の家 望月建築アトリエ
高尾山から流れる清流沿い、南に山並み、北に神社と竹林を望む敷地に建つ住まいです。周囲の自然に馴染むよう、建物は敷地形状に合わせてくの字に曲げ、重心にリビングを配置しました。南傾斜の地形に沿う屋根と連続する木の天井、床の段差が、平面的な広がりのなかに穏やかな領域を生み出します。軒先や軒天にも細やかに配慮し、家族と自然の移ろいをゆっくり楽しめる住まいを目指しています。
大樹のある山荘 株式会社 イン・エクスデザイン
北白川の山裾に佇む、小さくも豊かな住まいです。計画の出発点となったのは、敷地に根を張る大きな既存樹木とともに暮らしたいという家族の願いでした。樹木を守る配置計画に加え、外壁には小幅の杉材を丁寧に張り巡らせ、建物自体も自然とともに歳月を重ねていく存在としてデザイン。周囲の風景に静かに溶け込みながら、時間の経過とともに味わいを深めていきます。土地に刻まれた記憶を受け継ぎ、新たな時間を育む住まいです。
眺望の箱 SUR都市建築事務所
私鉄駅から数分の郊外に立つ本住宅は、土地探しから関わり決めた南向きの急傾斜地に位置します。道路より下がる敷地で、玄関は高天井のワンルームLDKに面した2階にあり、階下に個室群と水回りを配しています。LDKからは刻々と変わる眺望が広がり、空調は床下エアコン(暖房)と2階LDK上部の冷房用エアコンの計2台でまかないます。
高野川の別荘 越前良太デザイン研究所
京都・高野川沿い、松ヶ崎丘陵を望む100㎡の敷地に建つ住まいです。特別修景地区の厳しい条件のなかで、限られた床面積を最大限に活かしながら、伸びやかな空間を実現しました。RC・木・鉄それぞれの特性を活かした架構が、風や光、音、周囲の風景を住まいへと取り込みます。内と外のあいだに多様な居場所を生み出し、都市と自然を緩やかにつなぐ、開放感に満ちた住まいです。
木立に佇む家 設計事務所アーキプレイス
木立に囲まれた敷地に建つ、30代のご夫婦とお子さまのための住まいです。内と外が緩やかにつながる構成とし、リビングやダイニングから庭や周囲の緑を望めるよう計画しました。水まわりは南側や坪庭に面して明るさと風通しを確保。和室は茶会や宿泊に配慮し、LDKから少し距離を置いています。2階の書斎では、木立の向こうの景色を眺めながら、読書や仕事を楽しめます。光や風、四季の移ろいを身近に感じる住まいです。
YMK 株式会社 廣部剛司建築研究所
軽井沢の豊かな自然に囲まれた敷地に建つ、デザイナー夫婦のための住まいです。既存のモミジの大木を残し、谷へと開く眺望を取り込むことで、この土地ならではの風景を暮らしに取り込みました。寒冷地ならではの環境に応え、大容量の蓄熱体と24時間空調による快適な温熱環境を実現。繊細な木造トラスや5つのレベルが連続する立体的な空間構成が、家族の多様な居場所を緩やかにつなぎます。自然と日常が穏やかに重なり合う、高原の住まいです。
大屋根の下に集う暮らし 株式会社 MuFF
丹波篠山の豊かな自然に囲まれた里山に建つ住まいです。山並みや雑木林を望む恵まれた環境の中で、建築と自然が穏やかに溶け合うあり方を追求しました。土の塊のような三つのボリュームを配置し、その間に生まれた空間を自然へ開かれたリビングとして計画。囲炉裏や薪ストーブを囲みながら、人と人が集い、火を眺め、季節の移ろいを感じる時間が流れます。自然との深い関係性を暮らしの中心に据えた、原風景を思わせる住まいです。
米原の家Ⅱ 若林秀典建築設計事務所
滋賀県米原市、伊吹山麓の豪雪地に建つ子世帯の住宅です。夏の山風を取り入れつつ冬の寒さを抑えるため、北側は開口を小さく、南側は大きく開く配置とし、敷地北寄せのL字型で母屋と中庭を囲むように配置しました。低めの廊下から吹抜のLDKへと連なり、南側の大開口が中庭や2階室と連続して家族の気配を繋ぎます。玄関の地窓から中庭とリビングの足元が垣間見える構成です。
YAMANARI 〜山の稜線を取り込む家〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
徳島の豊かな山並みに抱かれる、すだち農家の若夫婦のための住まいです。高台という立地を活かし、2階リビングや畳コーナーから雄大な緑を望む開放的な空間を計画しました。母屋との関係には、大きな土間や吹抜けを介して緩やかなつながりを持たせながら、視線を適度にコントロールすることで心地よい距離感を実現しています。ラワン合板や無垢のアカシア材など自然素材を用いたインテリアが周囲の風景と呼応し、四季の移ろいを身近に感じられる住まいとなっています。
東浦の家 井上久実設計室
淡路島東浦の高台に建つ住宅です。大阪湾を望む敷地に、健康と快適さを重視して計画されました。東の眺望を活かしつつ、南北に長い敷地に沿って諸室を緩やかに雁行配置し、大屋根の下に高天井の空間を連続させています。床下から新鮮な空気を取り入れ、室内を循環させることで、家族の体質にも配慮した健やかな住環境を実現しています。