景色を望む家|設計事務所による注文住宅実例23選 著者:クラスキ編集部
景色を望む家では、窓から見える風景が住まいの一部となり、建築と周囲の環境との関係が空間の印象をつくります。山や海、街並み、庭など、目の前に広がる景色に合わせて開口部が設けられることで、室内から外の風景を身近に感じられることがあります。窓の大きさや位置だけでなく、壁や天井によって視線の範囲を整えることで、切り取られた景色そのものが空間の要素となる場合もあります。時間や季節によって移り変わる風景が、暮らしの中に豊かな変化をもたらすことも魅力です。景色を望む家が実際の住宅でどのように建築として表現されているのか、設計事務所による注文住宅の実例を紹介します。
垂水の住宅 株式会社 イン・エクスデザイン
駅から少し離れた土地に建つ、住まいとオフィスが緩やかに共存する住宅です。通りに面した1階はオフィスとして計画され、南庭へと連続する空間がアトリエや展示、打ち合わせの場として多彩に活用されます。プライベート空間はコンパクトにまとめ、庭に面した家事空間は居心地のよい滞在の場に。2階には明石海峡を望む開放的なLDKを設け、内と外のリビングが一体となる構成に。穏やかな気候や時に厳しい風雨も受け止めながら、この土地ならではの暮らしを楽しむ住まいです。
都幾川縁りのハイブリッドハウス H₂O設計室
都心から約50km圏、埼玉県北西部を流れる都幾川渓流沿いの約220坪の敷地に建つ、鉄・木・ガラスによるハイブリッド構造のガラスハウスです。秩父山系を望み、清流とともに四季の移ろいを享受できる環境に開かれています。2階の居住空間は回遊動線とし、一体的な温熱環境と豊かな採光を優先する計画です。外壁に開口を持たない代わりに、張り出し床の水平ルーバーと重力換気を組み合わせ、トップサイドの強制排気へとつなぐ環境制御システムを備えています。
雑木林を借景にする太陽熱利用の木の家&エコハウス 一級建築士事務所 光設計
調布市の保存緑地に隣接する敷地に建つ、自然と寄り添う木造住宅です。住まいのどこにいても雑木林の緑を感じられるよう計画され、窓の先には四季折々の風景が広がります。床には無垢のクリや杉、天井にはくりこま杉を用い、断熱材や塗料にも自然素材を採用。素材の心地よさが空間全体を包み込みます。さらに太陽熱を利用した給湯システムを導入し、環境への配慮と快適な暮らしを両立した住まいです。
妙香寺台の住まい 株式会社 松本直子建築設計事務所
横浜市の高台に建つ、豊かな眺望を楽しむスキップフロアの住まいです。高低差を活かした空間構成により、各階から広がる景色とプライバシーを両立しました。海外で暮らした時間を物語るタペストリーや小物が空間に彩りを添え、上階には充実した書庫を配置。住まい手の記憶や趣味を大切にしながら、眺望と暮らしが調和する、個性豊かな住まいです。
なごみキッチン 海いろ 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
遠く仙台港を望む小高い丘の上に建つ、夫婦のための終の棲家です。牧歌的な風景に包まれた敷地に、穏やかで心豊かな暮らしを育むコンパクトな住まいが計画されました。限られた面積の中でも快適性を高めるため、諸室の配置や動線を丁寧に整理し、行き止まりのない回遊性のあるプランを採用。日々の移動を自然で心地よいものにしながら、暮らしにゆとりと広がりをもたらしています。風景とともに静かに歳月を重ねる、上質な住まいです。
KAN 充総合計画一級建築士事務所
10階からの眺望を最大限に活かしたマンションリノベーションです。東側には都心の景色、南西側には富士山を望む恵まれた立地に対し、個室やキッチンの配置を見直すことで、日常の中で景観を楽しめる住まいへと再構成しました。共用スペースは眺望に向かって大きく開かれ、これまで活用されていなかった東側のデッキはキッチンとつながるアウタールームとして再生。可動間仕切りも取り入れ、開放性と柔軟な使い方を両立した住空間を実現しています。
gimmck box 株式会社 一級建築士事務所 アトリエマナ
海や山並み、神社、遠くに望む相模湾と富士山など、豊かな環境に恵まれた大磯の住宅地に建つ、夫婦のための終の住処です。通り土間を介して各室へつながる間取りとし、趣味を楽しみながらゆったり暮らせる住まいを目指しました。2階は階段室を中心に多様な生活の場を展開するワンルーム形式とし、屋上には大磯の風景を楽しめる開放的な場を設けています。
smoke hut I 設計室
のどかな田園風景の中に建つ住まいです。南側に広がる田園と遠くの山並みを取り込むため、おおらかな屋根を架け、周囲の風景に穏やかに溶け込む佇まいとしました。小さなお店を営みたいという要望から、住まいの中に通り土間を設け、店舗と暮らしが自然につながる構成に。住まいでありながら店のようでもあり、店でありながら住まいのようでもある、落ち着きと柔らかさを備えた空間です。
池畔の家 株式会社 MuFF
池のほとりに建つ、小さくも伸びやかな住まいです。桜の木や水辺の風景に大きく開かれた空間は、四季の移ろいを身近に感じさせてくれます。間取りや庭はできる限りシンプルに整え、家族の成長や暮らしの変化に柔軟に応えられるよう計画しました。将来を見据えた設備計画を施しながら、セルフビルドによる小屋やパーゴラ、遊具が少しずつ加わることで、住まいそのものが家族とともに育っていきます。
岩崎の二世帯住宅 祐成大秀建築設計事務所
岐阜市北部、山々に囲まれた穏やかな環境に建つ住まいです。くの字に折れた敷地形状に呼応するよう、玄関と居住部分を折り曲げて配置し、土地の個性をそのまま建築へと取り込みました。南側には遠く金華山を望むことができ、窓の配置にも工夫を凝らすことで、その雄大な景色を室内から楽しめるよう計画しています。周囲の自然と土地の形状に寄り添いながら、風景と暮らしが穏やかにつながる住まいです。
スキップフロアの家 根岸達己建築室
敷地の高低差を活かしたスキップフロアの住まいです。半階ずつずれた空間が縦横に広がり、吹き抜けを介して家族の気配がゆるやかにつながります。キッチンを中心に自然なコミュニケーションが生まれる、開放的な和モダンの空間です。玄関と一体的に計画された茶室や、壁一面に広がる大容量の本棚など、趣味を楽しむための工夫も随所に散りばめられています。さらに屋上には、読書とビールを楽しむための特別な居場所を用意。日常に小さな贅沢を重ねる、遊び心あふれる住まいです。
VILLA MKZ 株式会社 廣部剛司建築研究所
南東に海を望む一方、岩盤による約1.4mの段差や建築不可の領域を抱える敷地。別棟を東側に置き、母屋は条件の間を縫うように計画しました。連続する三角形の頂点を内部の要望に応じて調整する「モーダル・プランニング」により、各室に適したスケールを実現。多角形の柱と屋根スラブが高さのリズムを生み、海へ向かう空間を連続させています。
眺望の箱 SUR都市建築事務所
私鉄駅から数分の郊外に立つ本住宅は、土地探しから関わり決めた南向きの急傾斜地に位置します。道路より下がる敷地で、玄関は高天井のワンルームLDKに面した2階にあり、階下に個室群と水回りを配しています。LDKからは刻々と変わる眺望が広がり、空調は床下エアコン(暖房)と2階LDK上部の冷房用エアコンの計2台でまかないます。
地下地上空中の平屋 archialpha
眺望に恵まれた高台の斜面地に建つ住宅です。細長い平地に沿って建物を配置し、平面を緩やかに折り曲げることで、異なる角度から景色を楽しめる構成としました。斜面には半地下の寝室を設け、空中には和室を張り出すことで、平屋でありながら地下・地上・空中へと空間が広がります。窓と室内の関係を丁寧に設計し、地形や眺望とのつながりから、それぞれに異なる居心地と空間の表情を生み出しています。
彩都粟生北の家 ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
新しく開発されたニュータウンの斜面地に建つ住まいです。高低差を生かし、2階の各居室やバスルームにテラスを設け、斜面地ならではの眺望を暮らしに取り込みました。半地下には防音仕様のホビールームを設け、音楽会やゴルフの練習、子どもの遊び場など、多彩な楽しみ方に対応。家にいながら休日を存分に愉しめる、豊かなアクティビティを備えた住まいです。
公園の緑を望む2階リビングの家|arietis ポーラスターデザイン一級建築士事務所
南側に公園が広がる住宅地で、閉塞感のあった住まいを建て替えました。周囲からの視線や電車の音に配慮し、リビングを2階に配置。屋根勾配を活かした吹き抜けと、公園の緑へ視線が抜ける大きな窓によって、実際の面積を超える開放感を生み出しています。間仕切り壁を外周から浮かせることで、空間に奥行きも創出。屋根が受け止める光と陰影、窓の向こうに広がる木々の緑が、日々の暮らしにおおらかさをもたらします。
天水の家 zeal architects
有明海と雲仙岳を望む段々畑の中に建つ一戸建て住宅の計画です。豊かな自然景観の中で、周辺環境に寄り添いながら調和することを主題としています。段々畑の地形をなぞるように複数のボリュームを組み合わせ、眺望とプライバシーの両立を図っています。デッキテラスは内と外をつなぐ場として機能し、家族の日常と風景を緩やかに接続します。外装や内部には小国杉を用い、経年変化とともに景色へと溶け込む住まいとしています。
軽井沢テラス 小島光晴建築設計事務所
北向きの傾斜地に建つ、アートコレクターのための別荘です。各室を数珠状につなぎ、移動するたびに異なる景色と出会える構成とすることで、自然を「眺める」のではなく「体感する」ことを目指しました。部屋ごとに窓の形やプロポーションを変え、それぞれに固有の風景を切り取っています。また、1・2階を結ぶ階段をあえて外部に設け、暮らしの中で必ず自然に触れる動線を計画。光や風、湿度や音の変化を五感で受け取りながら、自然と深く向き合える静かな居場所となっています。
羽村の家 望月建築アトリエ
郊外住宅地の角地に建つ住まいです。東側に広がる雑木林のような公園を借景として取り込みながら、道路からのプライバシーに配慮し、生活の中心を2階に置いています。キッチンからダイニング、リビングへ連続する開口部と、変化する天井高が空間に広がりを演出します。リビングには一段高い造り付けソファを設け、眺望を楽しむ書斎コーナーも用意しました。落ち着いた色調のインテリアと、片流れ屋根、素材を切り替えた外観が、静かでモダンな印象をつくります。
淡路島さくらの家 井上久実設計室
淡路島東海岸の豊かな自然に囲まれた敷地に計画された、スポーツ医学を専門とする医師の診療所兼住宅です。大阪湾を望む眺望と山の緑を享受しながら、風や虫、獣害といった自然環境への配慮も重視しました。住居・診療所・浴室の3つのボリュームを、高さの異なる構成で並べ、それらを線状に伸びる“縁側”で接続。縁側は単なる通路ではなく、自然と触れ合うための居場所として機能します。可動式の網メッシュにより通風と防虫性を両立し、風景を楽しみながら快適に過ごせる空間を実現。地域との新たなつながりを育む拠点となることを目指した住まいです。
te to te 龍ヶ崎の家 e do design 一級建築士事務所
茨城県龍ヶ崎市の閑静な住宅街に建つ、ご家族3人のための住まいです。周囲の豊かな環境を取り込みながら、3つの異なるボリューム「玄関棟・個室棟・LDK棟」を組み合わせた構成が特徴。外部との距離感を丁寧に調整し、プライバシーを守りながら自然や家族とのつながりを育む空間を計画しました。吹抜けの階段室を介して、それぞれの場がゆるやかにつながる住まい。「te to te(手と手)」の名の通り、家族や周囲との絆を紡ぐ、温かな暮らしの器です。
傾斜地の小さな平屋 ジュウニミリ建築設計事務所
名古屋市守山区の雑木林に寄り添う傾斜地に建つ、12坪の小さな平屋です。高低差のある敷地の中腹にそっと置かれた正方形の建築は、「小さな中に大きさを包み込む」をテーマに計画されました。室内は仕切りを極力なくしたワンルームとし、暮らしや趣味、愛用の家具までを丁寧に取り込んだ自由度の高い空間です。開口は雑木林に向けて大きく開き、木々越しに移ろう光や風、季節の変化を感じながら過ごせます。自然と静かにつながる、豊かな住まいです。
富士山麓の家 津野建築設計室
別荘地の豊かな自然に抱かれ、既存の傾斜面の肩に二つの箱をずらして配置し、大屋根を架けたシンプルな構成です。敷地の高低差を生かし、北側には鳥の目線で眺望を楽しめる屋根付きテラスと、高天井の落ち着いた空間を設けています。一方、南側には散策の庭へとつながる、明るく水平性を強調した親密な空間を計画しました。都会で暮らす建て主が、親しい人々と自然の中で過ごす多様なシーンを生み出しています。