ワークスペースのある家|設計事務所による注文住宅実例17選 著者:クラスキ編集部
ワークスペースのある家では、仕事や作業のための場所と、家族が過ごす日常の空間との関係が住まいの構成に表れます。リビングの一角に設けたカウンターや、独立した小さな部屋など、ワークスペースのあり方はさまざまです。開放された場所では家族の気配を感じながら過ごせる一方、視線や音を適度に分けることで集中しやすい落ち着いた場所になることもあります。窓からの光や外の景色、収納や家具との組み合わせによって、仕事の場でありながら住宅の一部として自然に馴染む空間が生まれます。ワークスペースのある家が実際の住宅でどのように建築として表現されているのか、設計事務所による注文住宅の実例を紹介します。
大津の住宅 株式会社 イン・エクスデザイン
大津市東部に建つ、二人暮らしのためのコンパクトな住まいです。インナーガレージを備えたシンプルな要望から出発しながら、周囲の環境との関係性を丁寧に読み解くことで独自の空間が生まれました。8.4m四方の正方形を対角線上に貫く構成とし、南東へ大きく開かれた空間に大屋根と吹き抜けを組み合わせ、光と風を取り込みます。シンメトリーな平面と端正なフォルムが、敷地環境に応答しながらも揺るがない存在感を備えた建築を形づくっています。
SOHOハウス 豊田和久建築工房
SOHOとして計画された住まいで、厳しい高さ制限をクリアしながら居住空間と仕事空間を両立させた建築です。湾曲した屋根形状により法規的制約を巧みに回避しつつ、内部にはやわらかな天井の広がりを生み出しています。全体はコンパクトでありながらも圧迫感を感じさせず、光と空気が穏やかに巡る構成としました。住まいと仕事場が自然に溶け合い、柔らかなデザインが日常と創作の両方を包み込む空間です。
家型と回遊動線の事務所兼住宅|polaris ポーラスターデザイン一級建築士事務所
将来、区画整理によって道路や敷地形状が変わることを見据え、環境の変化に左右されない「ふつうの住宅」を模索しました。端正な家型の建物をルーバーで囲み、視線を遮りながら光や風、街の気配を取り込みます。上下階を二つの階段でつなぐ回遊動線に加え、開口部や天窓、床下空調を活かした通風計画も特徴です。カーテンに頼らず過ごせる開放的な1階と、天窓から光が差し込むプライバシーの保たれた2階。普遍性を追求した試験的な住まいです。
ワークスペースのある猫と暮らす住まい 充総合計画一級建築士事務所
新旧の建物が混在する地域に計画された住まいです。北側に長手を持ち厳しい高度斜線制限を受ける中、半分を半地下とするスキップフロア構成とし、敷地効率と空間の豊かさを両立させています。各空間は適度に分節されながらも連続し、天井高の変化とともに面積以上の広がりと多様な居場所を生み出しています。ビルトインガレージから玄関、開放的なダイニング、猫と暮らすリビング、半地下のワークルーム、畳の客間まで、暮らしのシーンを丁寧に編集しています。全館空調や高断熱・制震構造を備え、快適性と性能を両立した住まいです。
S教授の家 佐賀高橋設計室
昔からの落ち着いた住宅街に建つ住まいです。緑豊かな環境との調和を大切にし、外壁には木を用いることで周囲の風景にやわらかく馴染む佇まいとしています。室内からも豊かな緑を楽しめるよう窓の配置を丁寧に検討し、内と外が自然につながる住環境を実現しています。
回遊動線のあるつくばの家 設計事務所アーキプレイス
新旧の住宅地が混在するつくば市に建つ、家族の暮らしと働き方に応える住まいです。玄関土間からリビングへ続く来客動線と、シューズクロークからキッチンへつながる家族用の裏動線を分け、階段とご主人の書斎を介して回遊できる計画としました。書斎は住まいの中心に置き、トップライトから自然光を導入。2階の階段ホールには奥様のワークスペースを設けています。リビングには庭を望むヌックを配し、家族が程よくつながりながら、それぞれの時間を過ごせる住まいです。
保土ヶ谷の家F邸 株式会社 中村高淑建築設計事務所
横浜郊外の高台に建つ、眺望とプライバシーを両立した住まいです。LDKの一角には仕事と子育てを両立できるワークスペースを設け、ロフトを子どもの遊び場や将来のSOHOとして活用できる柔軟な空間に。限られた規模の中に暮らしの変化を受け止める余白をつくりました。高い耐震・耐風圧・防火・断熱性能を備え、長期優良住宅の認定も取得しています。
京都伏見の住まい 木村哲矢建築計画事務所
京都伏見の川辺に建つ、1階をワークスペース、2階を住居とした住まいです。酒蔵の街並みに呼応して外壁には黒い焼杉を用い、内外ともに素材の質感をありのままに表現しています。粗いベニヤの壁・天井や、コンクリートをそのまま生かした土間など、構造と仕上げの境界を曖昧にした素朴な空間が特徴です。職人の丁寧な手仕事が、素材そのものの魅力を引き立てています。
国立の改装 津野建築設計室
第二の人生を見据え、性能・計画・意匠を見直した最上階住戸のフルリノベーションです。勾配屋根を生かした高いコンクリート天井のもと、規約に沿ってロフトを増築。白と落ち着いた濃色の木を基調に、趣味を楽しむお二人の暮らしを緩やかに分節しながらつなげています。バリアフリー、断熱、遮音にも配慮し、これからの生活を心地よく支える住まいに整えました。
母屋と離れの家 望月建築アトリエ
多摩の郊外で地域に根付く薬局の、店舗併用住宅を建て替えました。当初は中庭を囲む一体型の計画でしたが、家相への配慮から敷地を分け、母屋と店舗併用住宅の2棟を設計しています。母屋は大きく軒を出した寄棟屋根の平屋とし、重厚な佇まいに。店舗棟は切妻屋根と印象的なファサードで、軽やかに仕上げました。自然素材を用いた、清潔感と暖かみのある空間です。仕事と暮らしに程よい距離を保ちながら、町の魅力となる店を目指しました。
Y-house 石橋優介建築設計事務所/IAA
東京都有明のタワーマンションを改修し、都会における新しい働き方と暮らし方を提案する住まいです。日々の生活と仕事の場を柔軟に捉え、都市ならではの利便性を享受しながら、自分らしい時間を過ごせる空間を計画しました。住まいの可能性を広げ、これからの都市生活にふさわしい暮らしのかたちを目指しています。
離れのある家 Sデザイン設計 一級建築士事務所
鎌倉の静かな山あいに建つ住まいです。母屋と離れのワークスペースが庭を囲み、どの場所からも緑を身近に感じられる計画としました。吹き抜けのリビングには光と風が巡り、深い軒が四季の変化をやさしく受け止めます。猫のためのステップや、ご夫婦それぞれの書斎、庭越しにつながる離れのワークスペースなど、多彩な居場所を用意。サウナや和風呂を備えた浴室も設け、暮らしと仕事、くつろぎが心地よく調和する住まいです。
Wind Leave 株式会社 ファーイースト・デザイン・ラボ
海と山を望む高台の斜面に建つ、多拠点生活を想定した住まいです。リモートワークの増加をきっかけに、仕事と休暇の両方を過ごせる新たな拠点として計画されました。集中できる書斎や打ち合わせができる空間に加え、家族や友人が滞在できる柔軟なスペースを備えています。建物は木などの自然素材を用い、風景に溶け込むよう配置。窓からの景色も用途に合わせて計画し、海や山の眺めとともにゆったりとした時間を過ごせる住まいとなっています。
スギの無垢床でのーんびりくつろげるお家 kurachiffon 瀧内未来一級建築士事務所
子育てと共働きの日常を見据え、家事効率と収納計画を追求したマンションリノベーションです。将来の個室よりも「今」の暮らしを優先し、一室を大胆にランドリー兼ファミリークローゼットとして活用。造作家具や収納を細やかに設計し、家族が自然と片付けやすい環境を整えました。庭付き住戸の開放感とともに、家事の負担を軽減し、親子がゆったりと過ごせる住まいを実現しています。
swing 西荻窪のマンションリノベーション e do design 一級建築士事務所
大きなシンボルツリーを囲む広場と低層の住棟が街並みのように広がる、西荻窪のマンション。その専用庭付き住戸を、アウトドアを楽しむ家族のためにリノベーションしました。広い土間玄関には自転車やキャンプ道具の収納・メンテナンススペースを設け、廊下にはオリジナルの「うんてい」を配置。LDKの小上がりやワークスペース、回遊できる家事動線が、暮らしの場を自在に切り替えます。趣味、仕事、家族の時間がゆるやかに“swing”する、多様な暮らしを受け止める住まいです。
there *studioLOOP建築設計事務所
夫婦と3人の子どもが暮らす、家族の趣味や居場所を豊かに包み込む住まいです。南西に広がる利根川の土手への眺望を生かし、LDKを敷地の最も良い場所に配置。水回りやWIC、玄関、アトリエをくの字につなぐことで、外部から守られた庭を生み出しています。ワークスペースや畳スペース、モルタルに囲まれたキッチンなど、家族それぞれの時間を楽しめる場を設え、階段を兼ねた本棚がLDKとワークスペースを緩やかにつなぎます。
浜田山の住まい 株式会社 松本直子建築設計事務所
空へと視線が広がる開放感と、身近に感じる緑を大切にした住まいです。2階からも地植えの植栽を楽しめる工夫を施し、暮らしの中に自然の気配を取り込みました。アメリカンブラックチェリーの無垢床や、光を柔らかく受け止める漆喰壁など、素材の質感にもこだわっています。リビングの暖炉の炎や小上がりのワークスペースなど、動線や性能といった基本性能を整えながら、家族の豊かな時間を育むための細やかな工夫を凝縮した住まいです。