ビルトインガレージのある家|設計事務所による注文住宅実例18選 著者:クラスキ編集部
ビルトインガレージのある家は、車を保管するための場所を住まいの一部として取り込んだ住宅です。ガレージが建物と一体化することで、雨の日の出入りがしやすくなるだけでなく、住まい全体の空間構成にも大きな影響を与えます。道路との関係や建物の外観、室内とのつながり方など、ガレージは単なる駐車スペース以上の存在として計画されることがあります。また、車やバイクを趣味として楽しむ人にとっては、愛車を眺められる空間や暮らしの一部として取り込む工夫が見られることもあります。建物の中にガレージを組み込むことで生まれる独特の空間構成は、設計事務所ごとに異なる表現が見られるテーマのひとつです。その魅力が注文住宅の中でどのように形になっているのかを実例から紹介します。
福島の森の家 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
福島市郊外の丘陵地に建つこの住まいは、森や果樹園に囲まれた豊かな自然と、市街地の夜景を望む眺望を享受するために計画されました。深く伸びた軒が美しい水平ラインを描きながら、夏の日差しや雨風をやわらかく受け止めます。室内は北側の開けた景色と南側から差し込む冬の陽光を取り込む南北に伸びやかな構成とし、四季の変化を身近に感じられる心地よい空間を実現。自然と調和しながら穏やかに暮らすための住まいです。
けいはんなの住まい 木村哲矢建築計画事務所
床や壁に比べ、自由度が高く見過ごされがちな「天井」に着目した住まいです。国宝・待庵の変化に富んだ天井に倣い、場所ごとに高さや素材、意匠を細やかに変えました。杉板や竿縁、真鍮の目地棒、あらわし梁などを組み合わせ、玄関から居間、食堂、寝室まで、それぞれ異なる表情を生み出しています。天井の構成が、日々の暮らしに豊かな奥行きと彩りを添えています。
北鎌倉の家 多田建築設計事務所
北鎌倉の谷あいに佇む、藤棚に迎えられる住まいです。敷地と道路の約2.5mの高低差を活かし、地下をRC造、上部を木造とする混構造としています。玄関を抜けると路地のような空間が現れ、そのまま1階リビングへと自然に導かれます。生活動線は1階で完結し、くすの木のダイニングテーブルや鎌倉岩の土を用いた曲面壁を中心に、回遊性のある構成としています。地下には音楽室、北側には三畳の茶室を設け、暮らしに静かな遊びを添えています。外観は入母屋屋根の和の意匠、内観は石やアイアンを用いた有機的な表情でまとめています。
2つのアトリエ 株式会社 中村高淑建築設計事務所
横浜郊外の約16坪の細長い狭小地に建つ、職住一体型の住まいです。LVL木造薄肉ラーメン構造とRC造を組み合わせ、建築家と陶芸家夫妻それぞれのアトリエを確保。玄関を兼ねるガレージは、ギャラリーやイベントスペース、将来の事務所拡張や店舗にも転用できる多目的なバッファゾーンとしました。限られた幅を活かし、時代や用途に応じて更新できる、長く使い続けられる住まいです。
KATANA 充総合計画一級建築士事務所
25坪の敷地に約35坪の生活空間を実現した、都市型コートハウスです。中庭やグレーチングバルコニー、屋上を巧みに組み込み、限られた敷地の中に豊かな広がりを生み出しています。認定防火サッシを採用した木造3階建てとして、周囲の住宅に囲まれた環境でも、光や風、プライバシーを確保する開口計画を追求しました。2台分のビルトインガレージやオートバイ置場、多彩なレベル差や天井構成が住まいに奥行きを与えます。さらに高い耐震性能と制震構造を備え、都市で安心して暮らせる住まいに仕上げています。
帝塚山東の家 井上久実設計室
古い家屋が建ち並ぶ住宅地に計画された住まいです。建物を大小二つのボリュームに分け、低い棟を道路側、高い棟を敷地奥に配置することで、街に対する圧迫感を抑えました。両者の間に設けた中庭と、道路から奥へと続くアプローチが緑の景観を街へと引き込み、住まいと地域を緩やかにつなぎます。街並みに新たなゆとりと潤いをもたらす住まいとなっています。
Tre volte 株式会社 廣部剛司建築研究所
既存の樹木をできるだけ残し、4台の車と親世帯への動線を共存させた住まいです。異なる長さの3つのボリュームを中庭とともに連ね、そこへガレージを貫入させることで、複雑な条件を明快な構成へと導きました。愛車を眺めながら過ごせる「クルマリビング」や、木立に佇むように配置したディーノなど、車への愛着を暮らしの風景として取り込んでいます。ヴォールト状の力強い架構と繊細な素材使いが共存する、建築的な強さを持つ住まいです。
帝塚山東の家 ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
万代池の眺望を取り込みながら、各階へ光と風を届ける三階建てのスキップフロア住宅です。1階には3人の子どもたちがそれぞれの「小屋」を持つような個室を設け、2階にはキッチン・ダイニングと、来客にも対応する二つのリビングを配置。3階には眺望を楽しむヨガ教室とインナーバルコニーを設け、屋上ではBBQも楽しめます。さらに、敷地で大切にされてきたサルスベリの古木を囲むテラスを設け、住まいの各所からその姿を眺められる構成としました。
奥武蔵の家 望月建築アトリエ
埼玉県西部の市街地で、代々続く敷地に二世帯住宅への建替えの計画です。既存の庭は、大きな木々が茂り、街区の残された貴重な緑となっており、その庭の活用と世帯の距離感を配慮した計画です。藤棚を残すことを含め、玄関を一つとして他は完全分離する二世帯で、ビルトインガレージ二台分を設けています。西側の道路に玄関とガレージを配置し、ホールから各世帯に分かれます。各世帯は庭と繋がる屋根勾配を利用したリビングを中心に計画しています。外観は片流れの大屋根とし、軒や天井に西川材の無垢の桧板を用いています。
COCHE 〜愛車を愛でる インナーガレージの家〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
徳島県鳴門市の住宅地に建つ、ビルトインガレージを中心に構成された住まいです。道路に面したガレージの奥に中庭を挿入することで、プライバシーを確保しながら光あふれる居住空間を実現しました。黒い外皮と白い内皮によるシンプルな構成に、高さの異なるボリュームを組み合わせることで、端正でありながら表情豊かな外観を形成。タタミスペースやロフトといった余白の空間が暮らしに奥行きを与えます。夜には住まいの灯りが街へと滲み、地域に穏やかな温かさをもたらします。
帝塚山東の家 Abax Architects
間口5.2m、奥行24.7mの細長い敷地に建つ、鉄骨3階建ての都市型住宅です。南側に広がる老健施設の庭の植栽を借景として取り込み、都市の中にありながら豊かな緑の気配を感じられる計画としています。建物中央には中庭と階段室を配置し、各室へ光と風を導く構成としました。中庭には竹を植え、雨の日には水が薄く溜まり水盤となって、静かな風景をつくり出します。都市の密度の中に、自然の気配を繊細に取り込んだ住まいです。
harmony *studioLOOP建築設計事務所
往来の多い道路に面した敷地に建つこの住まいは、4台分のガレージと大きなテラス、そして高いプライバシー性を実現するために計画されました。ガレージを建物内部へ引き込むことで、安全でゆとりある車の出入りを確保。2階のLDKに連続する大テラスはルーバーで包み込み、光や風を取り込みながら外部からの視線をやわらかく遮ります。居住空間だけでなく、ガレージやテラスといった余白を豊かに設計することで、上質な外観と都市的な暮らしを両立した住まいです。
東生駒の家Ⅱ-版築塀をのぞむ終の住処- 乗松得博設計事務所
生活道の突きあたり、2.5mの高低差を持つ土地に建つ、終の住処です。山並みの先に法隆寺を望む、かつての風景に思いを馳せながら、土地の記憶と向き合うように計画されました。古代から伝わる工法・版築による塀が道からの視線をやわらかく遮り、同時にリビングから眺める風景となります。時を重ねるほど味わいを深める素材に包まれながら、これからの暮らしに穏やかな時間が流れる住まいです。
龍ヶ崎の住まい 株式会社 松本直子建築設計事務所
平屋を中心とした、和の趣を感じる住まいです。一部子供室のみ二階へ配置し、深い軒や離れの和室によって、落ち着きのある佇まいを形成しました。広がりのある平面に対して複数の中庭を設けることで、住まいの隅々まで光と風が巡る豊かな環境を創出しています。リビングは床を少し下げ、庭と近い暮らしを楽しめる居場所に。一方、離れの和室は庭を見渡す高さに設け、内と外のつながりを感じられる空間としました。
南山の家 内田雄介設計室
丘陵地を切り開いた開発地に建つ住まいです。周辺環境の変化に左右されない普遍的な美しさと、時の移ろいを穏やかに受け入れる住まいを目指して計画しました。中庭と吹抜けを効果的に配置することで、建物全体に光と風が巡る開放的な空間を実現。リビングのフルオープン窓は内と外を緩やかにつなぎ、豊かな緑を暮らしの中へ取り込みます。自然の気配を身近に感じながら、四季とともに心地よく暮らせる住まいです。
Kaleidoscope 澤村昌彦建築設計事務所
中庭とルーフテラスを持つ2世帯コートハウス。
団地の家|ガレージに団地の間取りを載せた最小限住宅 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
のどかな村落に計画された小さな住宅で、施主は公団住宅と同じ居住条件を再現することを求めました。玄関に直結するダイニングキッチン、廊下を挟まず隣接する多目的和室、極小の水廻り(洗濯機は二槽式希望)、天井高も団地と同じです。厳しい予算の下、間取りを団地レベルまで切り詰め、構造材と仕上げを兼ねるなど素材・設備コストを最小限に抑えて、1階ガレージ+2階ダンチのガレージハウスが出来上がりました。
廻廂の家 an Archi-Lab. 一級建築士事務所
共働きの夫婦と子どもたちが暮らすための都市型住宅です。限られた敷地に5つの個室や豊富な収納、ガレージ、エレベーターなど高い機能性を求めながらも、建物を巧みに削り取ることで生まれた余白を住環境の質へと転換しました。敷地全体を覆う大きな庇の下には前庭や通路、駐輪スペースを配置し、3層吹抜けの階段室が光と風を導きます。高密度なプログラムと開放感を両立させ、都市住宅に新たな豊かさを提案する住まいです。