ガレージハウス|設計事務所による注文住宅実例12選 著者:クラスキ編集部
ガレージハウスは、車を置く場所と住まいを別々に考えるのではなく、ガレージを建物の一部として取り込んだ住まいです。車の出入りだけでなく、ガレージと玄関、リビングなどがどのようにつながるかによって、住宅全体の空間構成にも特徴が生まれます。ガレージを建物の内部に組み込むことで、外観の印象が大きく変わることもあり、車そのものが住まいの風景の一部になる場合もあります。また、車の保管場所としてだけでなく、趣味の道具を置いたり、作業をしたりする場所として計画されるなど、その使われ方にも幅があります。住まいとガレージが一体になることで生まれる独特の空間は、ガレージハウスならではの魅力です。設計事務所による注文住宅では、車と暮らすことが建築の中でどのように表現されているのか、その実例から空間の特徴を読み解きます。
ガレージを眺める家 望月建築アトリエ
郊外の自然豊かな住宅地に建つ敷地面積を活かした平屋で、単独で車庫の建築が可能な地域のためガレージを別棟で配置しています。リビングと書斎から庭越しにガレージを眺める配置とし、建物をL字型にして中庭を設けプライバシーを確保しています。外観は片流れ屋根のシンプルで軽快なデザインとし、内部は勾配天井の木質系インテリアとしています。
Kiseki no IE 株式会社 ファーイースト・デザイン・ラボ
東京から約1時間、緑豊かな郊外の広い敷地に建つ住まいです。ドイツ人と日本人のご夫婦が、引退後の新しい生活の場として計画しました。既存の樹木を生かしながら庭と建物を一体的に整え、窓からはそれぞれ異なる景色を望むことができます。母屋は庭に大きく開くシンプルな平屋で、深い庇とテラスが内外をゆるやかにつなぎます。さらに、往年のBMWをレストアするためのガレージも備え、趣味と交流を楽しむ暮らしの拠点となっています。
宇治の家 ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
京都府宇治市の住宅密集地に建つ住まいです。限られた環境の中で最大限の採光と眺望を得るため、窓の位置や高さを丁寧に計画しました。ビルトインガレージにはシャッターではなく格子の引戸を採用し、街に対する圧迫感を軽減。2階ダイニングでは、椅子に腰掛けると周囲の建物が視界から消え、窓いっぱいに空だけが広がります。夜にはFIX窓からこぼれる光が天井を照らし、内外に静かな表情を生み出します。
Tre volte 株式会社 廣部剛司建築研究所
既存の樹木をできるだけ残し、4台の車と親世帯への動線を共存させた住まいです。異なる長さの3つのボリュームを中庭とともに連ね、そこへガレージを貫入させることで、複雑な条件を明快な構成へと導きました。愛車を眺めながら過ごせる「クルマリビング」や、木立に佇むように配置したディーノなど、車への愛着を暮らしの風景として取り込んでいます。ヴォールト状の力強い架構と繊細な素材使いが共存する、建築的な強さを持つ住まいです。
スキップフロアをもつガレージハウス 充総合計画一級建築士事務所
約30坪の角地に建つガレージハウスです。敷地の高低差を活かしたスキップフロア構成により、湿気対策を図りながら、多彩で心地よい居場所を生み出しました。明るいビルトインガレージをはじめ、傾斜天井のリビング、シンボルツリーを望むダイニング、オールステンレスのキッチン、大容量パントリー、洋裁工房やロードバイクの収納スペースまで、暮らしの楽しみを丁寧に受け止めています。高い断熱性能と制震構造も備え、趣味と快適性、安心を兼ね備えた住まいです。
鉄骨造の狭小スキップフロアガレージハウス|『』の家 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
下町の狭小地に建つ住宅です。上下移動を制約ではなく体験として捉え、半階ずつずらした床を積層するスキップフロア構成により、多様な空間の連なりを生み出しました。極薄の外壁と鉄骨架構により敷地を最大限活用し、法規条件を調整することで開放的な最上階テラスも実現。コンパクトながら光と風に満ちた、軽やかな住空間を成立させています。
harmony *studioLOOP建築設計事務所
往来の多い道路に面した敷地に建つこの住まいは、4台分のガレージと大きなテラス、そして高いプライバシー性を実現するために計画されました。ガレージを建物内部へ引き込むことで、安全でゆとりある車の出入りを確保。2階のLDKに連続する大テラスはルーバーで包み込み、光や風を取り込みながら外部からの視線をやわらかく遮ります。居住空間だけでなく、ガレージやテラスといった余白を豊かに設計することで、上質な外観と都市的な暮らしを両立した住まいです。
東大阪のガレージハウス 株式会社 イン・エクスデザイン
約30坪の敷地に4台分の駐車スペースを確保した、車を愛するご夫妻のための住まいです。1階の大部分を占めるガレージには、柱のないインナー駐車場を3台分設け、さらに屋外に1台分を確保。限られた敷地条件の中で、建物と構造のバランスを丁寧に検討しながら計画が進められました。生活空間は2階に集約しつつ、大きな目隠しを巧みに用いることで、その構成を外観から感じさせない端正な佇まいを実現。愛車と暮らしが美しく共存する住まいです。
曲げ庇の離れ archialpha
母屋の離れは作業場、荷解き駐車スペース、書庫、閲覧室で構成されています。雨天や積雪時のアクセスに配慮して東側に庇を設け、母屋からのアクセス用1200mm、荷解き用最大2000mm、外壁保護の最小300mmの出寸法を設け、その軒先が15.5mにわたり連なって曲線を描きます。外壁はリシン吹付けと杉板の幅を調整しながら反復させてグラデーションを形成し、母屋の色彩と調和しつつ山並みに溶け込む外観を意図しました。
光の風の塔 井上久実設計室
大阪市生野区の住宅街に建つ住まいです。道路側は開口を抑え、中央階段上部から光と風を取り込む構成としました。東西にスキップフロアを設け、床段差の隙間を通じて空気と光が巡る計画としています。冬季は床下の暖気を階段で循環させ、室内環境を整えます。車庫や玄関土間は外部からの視線を遮りつつ一体的に使える空間とし、古材の既存家具と調和する落ち着いた住まいを実現しています。
COCHE 〜愛車を愛でる インナーガレージの家〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
徳島県鳴門市の住宅地に建つ、ビルトインガレージを中心に構成された住まいです。道路に面したガレージの奥に中庭を挿入することで、プライバシーを確保しながら光あふれる居住空間を実現しました。黒い外皮と白い内皮によるシンプルな構成に、高さの異なるボリュームを組み合わせることで、端正でありながら表情豊かな外観を形成。タタミスペースやロフトといった余白の空間が暮らしに奥行きを与えます。夜には住まいの灯りが街へと滲み、地域に穏やかな温かさをもたらします。
聖蹟桜ヶ丘の家 株式会社 中村高淑建築設計事務所
多摩市・聖蹟桜ヶ丘の丘の上に建つ、眺望を楽しむ同居型二世帯のガレージハウスです。2階のリビングには中庭型のデッキを設け、目の前に立つ大きな桜を借景として取り込みながら、プライバシーと開放感を両立。家族共用の書庫に加え、夫婦それぞれの仕事場や趣味室を備え、出版関係の仕事にも配慮します。将来のホームエレベーター設置にも対応した、世代の異なる家族が心地よい距離感で暮らせる住まいです。