家事動線を考えた家|設計事務所による注文住宅実例14選 著者:クラスキ編集部
毎日の家事は、料理や洗濯、片付け、収納など、いくつもの動きが重なって成り立っています。家事動線を考えた家では、こうした日常の動きとキッチンや洗面室、浴室、収納などの位置関係が、住宅の空間構成に表れています。キッチンから洗面室へ移動しやすい配置や、洗濯に関わる場所と物干しスペースのつながりなど、家の中を行き来する流れは住まい方そのものに関わる要素です。一方で、家事だけを優先するのではなく、リビングやダイニングとの距離、家族が過ごす場所との関係によって、日常の風景は変わります。目に見えるデザインだけでなく、部屋と部屋のつながりや人の動きにも建築の工夫が表れるテーマです。設計事務所による注文住宅の実例から、家事に関わる場所がどのようにつながり、暮らしの動線として形づくられているのかを読み解きます。
風が吹き抜けるマンションリノベーション|吹き流しの家 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
大阪市中心部にある南北両面に大きな開口をもつ高層マンションのリノベーションです。大きなLDKから将来子供室となる書斎、プレイルーム、川の字で眠る寝室を直列に並べ南北の通風経路を確保しました。十分な収納と耐久性の高いクロス・複合フローリング、断熱・防音対策を施しています。
yet yet つくば春風台の家 e do design 一級建築士事務所
つくば春風台の緑豊かな街並みに佇む、家族3人のための住まいです。片流れ屋根を重ねたファサードが、空へ伸びるような印象を与える外観。その内部には、本に囲まれて暮らしたいというご夫婦の想いから、家族が自由に読書を楽しめる大きな壁面本棚を設けました。吹抜けや小上がり、可変性のある空間が多様な暮らし方を受け止め、家族の成長や変化を包み込む、余白を持った住まいです。
ルーバー天井の家/2戸→1戸に 株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
隣り合う2住戸を一体化し、明るさと開放感を追求したマンションリノベーションです。南西の角にダイニングを配置することで住戸全体に光を導き、中央のリビングを伸びやかな家族の居場所として計画しました。リビングに設けたルーバー天井が、内と外の境界を曖昧にし、テラスのような開放感を演出しています。木漏れ日のような光が広がる、心地よい住まいです。
緑あふれるアトリエのある家 設計事務所アーキプレイス
都内の住宅街にありながら、南側に豊かな緑が広がる敷地に建つ、デザイナー夫妻のためのアトリエ併設住宅です。1階には、陶芸家ルーシー・リーのアトリエを思わせる端正な陶芸空間と、ガーデニングを楽しむ庭を配置。2階はLDKを中心とした生活の場とし、吹抜けを介した回遊動線によってアトリエとのつながりを深めています。緑へと開かれたデッキテラスや螺旋階段が内外を緩やかに結び、創作と暮らしが自然に交差する住まいとなっています。
子どもも大人も回れる家 kurachiffon 瀧内未来一級建築士事務所
築30年の純和風住宅を、子育て世代のための住まいへと刷新した戸建てリノベーションです。砂壁の和室や建具、欄間などの趣ある意匠を受け継ぎながら、共働き夫婦の暮らしに寄り添う家事動線と豊富な収納計画を実現。増築した玄関や立体的につながる空間構成により、子どもたちが家中を自由に巡り、のびのびと遊べる住環境を生み出しました。伝統と遊び心が調和した、家族の成長を包み込む住まいです。
voice *studioLOOP建築設計事務所
分譲地の北側に位置し、周囲を住宅に囲まれた敷地で、開放性とプライバシーの両立を図った住まいです。各階南側に全開口の窓を設け、1階は内部縁側と外部デッキを庭へ連続させています。深い屋根と袖壁が日差しや視線を遮り、2階は壁で守られたテラスと東西・上部の開口で光を取り込みます。吹抜けや開口を介して各空間をつなぐことで、家族の気配や声が自然に行き交い、どこにいてもつながりを感じられる住まいです。
I-house 石橋優介建築設計事務所/IAA
周囲を建物に囲まれた敷地条件を生かし、住まいの中心に中庭を設けました。各室に光と風を届けながら、洗面脱衣室から中庭へ直接つながる動線で、洗濯をはじめとする家事もスムーズに。さらに、将来2室に分けられる子ども部屋や、玄関の土間収納、キッチンに隣接したパントリーなど、暮らしの変化に対応する収納を計画しています。30年先まで見据え、日々の使いやすさを丁寧に整えた住まいです。
塚原の家 天工舎一級建築士事務所
東西に長い敷地に建つ2LDKの住まいです。寝室に加え、広いシューズクローゼットやパントリー、家事室、書斎を備え、単なる間取り以上のゆとりを確保しています。敷地条件として東側道路と西側ののり面、北側斜線の制限があり、配置計画と外部との関係性が重要となりました。1階の一部に中庭を設け、24帖のLDKに光と広がりをもたらしています。階段を中心に回遊動線を構成し、家事空間と居住空間を分節しながらも緩やかにつないでいます。断熱・省エネ・耐震性能にも配慮した住まいです。
習志野の家 望月建築アトリエ
敷地は宅地開発された東南角地で日当りが良く、角地の道路からのプライバシーに配慮しています。南面に向けた三角形の平面に軒の深い片流れ屋根を掛けました。平面は1階にLDK・寝室・水回り・ファミリークロークや収納を家事動線を考慮し配置し、2階に子供室と書斎を設けています。少し下がったリビングは地窓越しに庭を眺められ、奥に籠もりスペースを備え床はカーペット敷きとしています。シラス左官の外壁、建物の断熱や気密など環境とエネルギーに配慮しています。
富士の家 佐賀高橋設計室
ビルトインガレージやペット室、オープンなキッチンに加え、富士山を望むデッキテラスを備えた、住む人の夢をかたちにした住まいです。キッチンからパントリー、バックヤード、洗濯室へとダイレクトにつながる動線により、ダイニングを介さずに家事を効率的に行える計画としています。暮らしの楽しさと機能性が両立した住宅です。
里山の家 株式会社 富谷洋介建築設計
土地探しから計画した、都市で働きながら北海道の自然を身近に感じられる住まいです。札幌郊外の高台に建物を北側へ寄せ、南側には広い庭を確保。大きな窓で庭と室内をつなぎ、リビングからはスキー場の風景を望めます。吹き抜けのLDKや広い土間、効率的な家事動線に加え、高断熱・高気密性能とハイブリッド熱源を採用。薪ストーブや雪景色を愉しみながら、四季の移ろいと快適な暮らしを両立しています。
風乃家-くらしの中に風景のある住まい- 乗松得博設計事務所
土地探しから検討を重ねて実現した住まいです。北側には公園の緑、その先には瀬戸内の風景が広がり、穏やかに移ろう景色を暮らしの中へ取り込みました。北へ大きく開き、南側の開口を抑えることで、光と風を心地よく調整。深いテラスが内と外を緩やかにつなぎ、安心感と空間の奥行きを生み出しています。日々の何気ない時間の中で、豊かな風景とともに過ごせる住まいです。
丁寧に暮らす家(リノベーション) 芦田成人建築設計事務所
定年後を見据え、ご夫婦二人のこれからの暮らしを整えるリノベーションです。「丁寧に暮らしたい」という住まい手の想いを受け、落ち着きのある上質な空間を目指しました。計画では、日常の中で自然とこもりたくなる“余白の居場所”を設け、住まいに多様な過ごし方を生み出しています。素材や天井高、開口部の形状や配置を丁寧に調整することで、場所ごとに異なる景色や居心地を演出。時間を重ねるほど愛着が深まる住まいです。
ニコイチハウス 祐成大秀建築設計事務所
古くからの住宅や畑が残る穏やかな地域に建つ平屋住宅です。隣接するフランス料理店の歴史や佇まいに呼応するよう、外観のデザインコードを共有しながら素材を変え、時間とともに異なる表情を育む関係性をつくりました。愛犬との暮らしや同一敷地内に住むご両親との程よい距離感にも配慮し、土間や複数の出入口を設けることで豊かな日常を実現。新旧の建築が寄り添いながら、一つの風景を織りなす住まいです。