雑木の庭のある家|設計事務所による注文住宅実例18選 著者:クラスキ編集部
雑木の庭のある家では、庭は単なる外構ではなく、住まいの風景を形づくる大切な要素として計画されています。さまざまな樹木が自然に生えているように見える庭は、四季の変化を感じさせるだけでなく、室内から眺める景色にも豊かな表情を与えます。窓の配置や開口部の大きさ、室内との距離感によって、庭は暮らしの一部として取り込まれていきます。また、木漏れ日や風に揺れる枝葉は、時間帯や季節によって異なる雰囲気を生み出します。建物と庭を別々に考えるのではなく、一体の空間として計画することで生まれる魅力が、雑木の庭のある住まいには見られます。設計事務所による注文住宅の実例を通して、雑木の庭が建築とどのように関わりながら豊かな住環境をつくり出しているのかを紹介します。
はるひ野の家 株式会社 中村高淑建築設計事務所
中層マンションに囲まれた住宅地に建つ、アウトドア好きの家族のための住まいです。開放性の高い敷地条件を活かしながら、5つのデッキやテラスを外部との緩衝帯として配置。BBQテラスや縁側のようなウッドデッキ、バスコートなど、緑や光、風を身近に感じられる場所を随所に設けました。子どもがのびのび過ごせるだけでなく、長く大人も楽しめる、自然と暮らす住まいです。
中庭のある家 芦田成人建築設計事務所
周囲にゆとりある環境を持ちながらも、隣接するオフィスやアパートからの視線に配慮して計画された住まいです。建物の配置や開口部を丁寧に検討し、外部とのつながりを保ちながらも落ち着いて過ごせる中庭を中心に構成。風や光、草木の変化を身近に感じられる空間が、暮らしに豊かな季節感をもたらします。窓の先に広がる景色や遠くを走る列車の音、虫の声まで楽しめる、静かで心地よい日常を育む住まいです。
北三国ヶ丘の家 Abax Architects
鉄筋コンクリート造2階建て住宅のフルリノベーションです。既存の片流れ大屋根の空間を活かし、開放的なリビングダイニングへと再構成しています。敷地に残るイロハモミジと桜を丁寧に残し、それらを取り込むようにテラスを新設することで、内と外が緩やかにつながる計画としました。さらに浴室は半屋外とし、自然を感じながらくつろげるリゾートのような空間を実現しています。既存の魅力を引き出しながら、暮らしの質を高めた再生住宅です。
傾斜地の小さな平屋 ジュウニミリ建築設計事務所
名古屋市守山区の雑木林に寄り添う傾斜地に建つ、12坪の小さな平屋です。高低差のある敷地の中腹にそっと置かれた正方形の建築は、「小さな中に大きさを包み込む」をテーマに計画されました。室内は仕切りを極力なくしたワンルームとし、暮らしや趣味、愛用の家具までを丁寧に取り込んだ自由度の高い空間です。開口は雑木林に向けて大きく開き、木々越しに移ろう光や風、季節の変化を感じながら過ごせます。自然と静かにつながる、豊かな住まいです。
Forest Living 吉デザイン設計事務所
深い森に囲まれた場所に建つ平屋の住宅「Forest Living」。外壁には日本の伝統的な焼杉を用い、黒く落ち着いた表情が周囲の森の風景に自然と溶け込みます。建物はワンフロアで構成され、すべての部屋から森の景色を望める計画。窓越しに広がる緑を身近に感じながら、静かで穏やかな暮らしを叶える住まいです。
starry *studioLOOP建築設計事務所
群馬県伊勢崎市の郊外に建つ、三世代の暮らしをつなぐ住まいです。中心にLDKを据え、各室が放射状に広がる構成とすることで、家族の気配を自然に感じられる交流の核をつくりました。南北の吹き抜けから光と風を招き、庭へ視線を導く低い開口部と、空を望む北側の大きな窓を配置。風車のような凹凸のある形状が、季節の変化と豊かな日々を受け止めます。
奥武蔵の家 望月建築アトリエ
埼玉県西部の市街地で、代々続く敷地に二世帯住宅への建替えの計画です。既存の庭は、大きな木々が茂り、街区の残された貴重な緑となっており、その庭の活用と世帯の距離感を配慮した計画です。藤棚を残すことを含め、玄関を一つとして他は完全分離する二世帯で、ビルトインガレージ二台分を設けています。西側の道路に玄関とガレージを配置し、ホールから各世帯に分かれます。各世帯は庭と繋がる屋根勾配を利用したリビングを中心に計画しています。外観は片流れの大屋根とし、軒や天井に西川材の無垢の桧板を用いています。
八雲の家 内田雄介設計室
閑静な住宅地に建つ「八雲の家」は、家族それぞれの居場所を確保しながら、互いの気配を感じられる距離感を大切にした住まいです。外観は要素を抑えた端正な構成とし、静かで凛とした佇まいを形成しています。内部には光や風、緑を穏やかに取り込み、素材の質感や細部の美しい納まりによって、控えめながら豊かな空間を創出しました。日々の暮らしの中に、心地よい時間が流れる住まいです。
山陰の住まい 木村哲矢建築計画事務所
二方を道路に囲まれた敷地に建つ、落ち着きと品格を備えた平屋の住まいです。通風と採光のために庭を随所に配し、主庭に沿って室を雁行させることで、視線の広がりと豊かな回遊動線を生み出しました。深い軒を持つ大屋根が室内をおおらかに包み、天窓からの光は障子と壁を介して柔らかく拡散します。素材の表情と陰影を丁寧に重ね、時を重ねるほど味わいを増す、品格ある住まいです。
岩崎の二世帯住宅 祐成大秀建築設計事務所
岐阜市北部、山々に囲まれた穏やかな環境に建つ住まいです。くの字に折れた敷地形状に呼応するよう、玄関と居住部分を折り曲げて配置し、土地の個性をそのまま建築へと取り込みました。南側には遠く金華山を望むことができ、窓の配置にも工夫を凝らすことで、その雄大な景色を室内から楽しめるよう計画しています。周囲の自然と土地の形状に寄り添いながら、風景と暮らしが穏やかにつながる住まいです。
浜田山の住まい 株式会社 松本直子建築設計事務所
空へと視線が広がる開放感と、身近に感じる緑を大切にした住まいです。2階からも地植えの植栽を楽しめる工夫を施し、暮らしの中に自然の気配を取り込みました。アメリカンブラックチェリーの無垢床や、光を柔らかく受け止める漆喰壁など、素材の質感にもこだわっています。リビングの暖炉の炎や小上がりのワークスペースなど、動線や性能といった基本性能を整えながら、家族の豊かな時間を育むための細やかな工夫を凝縮した住まいです。
下鴨の家 越前良太デザイン研究所
京都・下鴨の歴史ある街並みに寄り添い、日本建築が持つ曖昧さや可変性を現代的に再解釈した住まいです。軒や通り土間、濡れ縁などを通して内と外を緩やかにつなぎ、光や風、季節の移ろいを暮らしへ取り込みました。用途を限定しない余白のある空間構成により、住まい手の成長や時間の変化に柔軟に応答。住宅を完成された器ではなく、人と環境、そして暮らしの関係性を育み続ける「場」として設計した住まいです。
植物と暮らす家 根岸達己建築室
土地探しからお手伝いした住宅です。施主は仕事の拘束時間が長く、余暇を植物とくつろぐ、流行に左右されない空間を望まれました。敷地特性を生かし、リビング、ワインや外ごはんを楽しむデッキ、花と緑の庭をひとつながりに配置し、境界を曖昧にしています。内外が一体となり、植物と暮らす住まいとなりました。
ZUTOCHI 〜雑木林に住む〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
愛媛県松山市の住宅地に建つ、雑木林に包まれるような暮らしを実現した住まいです。プライバシーを担う三つの箱型ボリュームを敷地に点在させ、その間に豊かな植栽を配置。中心となるLDKは高い天井と大きなガラス開口を備え、三方に広がる緑を身近に感じられる空間としました。庭を眺めるのではなく、緑に囲まれて暮らすという発想から生まれた構成が、住宅地でありながら森の中にいるような心地よさをもたらします。四季の変化とともに日々を豊かに育む住まいです。
アトリエのあるすまい ティー設計室
設計アトリエを併設する自邸です。かつて散歩道として親しんだ場所に建ち、松林に覆われた浜辺の風景の記憶を継承するように、厚みのある木材で外壁を覆っています。白く塗装することで柔らかさを加え、周囲の環境に静かに馴染む佇まいとしています。内部は床や天井の高低差によって、アトリエや個の場、共有空間を緩やかに分節。ロフトやルーフバルコニー、植栽、階段が内外の広がりを多層的に生み出しています。
House OTF 株式会社 ファーイースト・デザイン・ラボ
三姉妹を育てるご夫妻のために計画された住宅です。毎年沖縄で過ごす夏休みの思い出から、家族で長く夏を楽しめる住まいを目指しました。敷地にはプールとアウトドアリビングを設け、南の島のヴィラのような過ごし方を日常に取り入れています。庇や開口部の配置を工夫することで、夏は日陰と風を感じながら快適に過ごせる空間としました。子どもたちとの時間や季節の思い出を積み重ねていく住まいです。
PHASE DANCE 株式会社 廣部剛司建築研究所
鬱蒼とした傾斜地に立つ、ヒメシャラの大樹との共存を目指した住宅です。樹木を中心に据えながら、各空間に応じて角度やボリュームを自在に調整し、対称性にとらわれない求心的な構成としています。RC造の基盤に木造架構を載せ、三角形構面の頂点を操作して屋根形状を連続的に変化させました。中央のピークから絞り込まれる両端は、中2階や吹抜を介して1階とつながり、内部に連続的なシーンを生み出しています。
吹抜けで家族が繋がる高性能住宅|袖ヶ浦・蔵波台の住まい タイラヤスヒロ建築設計事務所
家の中心に大きな吹き抜けを据え、人・光・風が立体的に巡る回遊性の高い住まいです。南側をセットバックして設けたウッドデッキは、造園家による植栽と緩やかにつながり、内と外を心地よく結びます。吹き抜けに面した2階の通路は、庇として日射を調整しながら耐震性にも寄与。耐震等級3、UA値0.47、C値0.30の高性能を備え、大空間と快適性を両立しています。シンプルな切妻屋根と深い軒が古い町並みに調和し、端正で落ち着いた佇まいをつくり出しています。