レトロモダンな家|設計事務所による注文住宅実例7選 著者:クラスキ編集部
レトロモダンな家は、懐かしさを感じさせるデザインと現代的な住まいの快適さを組み合わせた住空間です。木製の建具や味わいのある素材、どこか親しみを感じる色使いなどが取り入れられながらも、空間全体は現代の暮らしに合わせて整理されています。古さを再現することが目的ではなく、過去のデザインが持つ魅力を現代的な感覚で取り入れている点が特徴です。また、家具や照明だけでなく、窓の形や素材の組み合わせなど、建築そのものにもレトロモダンらしい表現が見られます。新しさと懐かしさが共存する空間は、住まいに独自の個性を与えています。設計事務所による注文住宅の実例を通して、レトロモダンというテーマが建築の中でどのように表現されているのかを紹介します。
浜寺の家 一級建築士事務所 Coo Planning
大阪府堺市の閑静な住宅街に建つ住まいです。南側に広がる神社の緑を最大限に取り込みながら、「パリのアパルトマン」のような伸びやかな空間を目指しました。スキップフロアによる立体的な構成と高い天井が、住まいに豊かな広がりをもたらします。東西の壁面いっぱいに設えた本棚は暮らしの中心となり、十字框の窓やトップライトから差し込む光、風、緑が空間に彩りを添えます。素材の風合いとともに、家族の時間を重ねながら深みを増していく住まいです。
音楽と天体観測の家 ユウ建築設計室
住宅に囲まれた路地状敷地に建つ、音楽と天体観測を愛するご夫婦のための住まいです。ピアノとトランペットに対応する高性能な防音室を設け、吸音パネルによって演奏環境を細やかに調整できるよう計画しました。建築全体には五線譜をモチーフとしたデザインをさりげなく取り入れ、趣味への愛着を空間に反映しています。2階には広い空を望むバルコニーを設け、都市部にありながら天体観測も楽しめる環境を実現。畳敷きのリビングとレトロモダンなインテリアが、心地よい暮らしを演出しています。
賃貸向け一戸建て住宅の最小限リノベーション|借家の家 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
本作は賃貸用として購入された中古物件のリノベーションです。最低限の性能更新を行い、古い仕上げ材の残す部分と交換する部分を慎重に仕分けし、新旧のバランスを取りながら色柄を加えて空間を引き締めました。
H邸 SUR都市建築事務所
SUR設計の2件目の免震住宅です。クライアントの強い希望で免震を採用し、地震時は最大約30cm動きます。収まりを工夫して基礎断熱と床下の室内化を実現し、吹き抜け周りの構造材に古材を用いて全体を統一したデザインとしています。温熱性能は高く、省エネ志向の暮らしにより5kW未満の太陽光でも発電量の約半分のエネルギーしか使っておらず、リアルZEHをはるかに超えています。
閑待居-私設美術館としての終の住処- 乗松得博設計事務所
北に美しい山並みを望む敷地に建つ、夫婦二人のための終の住処です。移築された昭和初期の古民家や枝垂れ桜、煤竹、大正期のステンドグラスなど、長い歳月を重ねてきた素材や風景を受け継ぎながら計画されました。瓦や石、土壁、漆喰、無垢材といった伝統的な素材を、現代の職人技術によって丁寧に再構築。歴史への敬意とこれからの快適な住環境を両立し、時を紡ぎながら穏やかに暮らすための住まいとなっています。
大きな土間床のある暮らし|西山の住まい タイラヤスヒロ建築設計事務所
のどかな田園風景に寄り添うこの住まいは、古民家に見られる土間を現代の暮らしへと再解釈した一邸です。玄関からキッチン、ダイニングへとフラットにつながる土間が、内と外の境界を曖昧にしながら空間を緩やかに結びます。廊下を設けず、土間・ダイニング・リビングを回遊性の高い構成とすることで、シンプルで合理的な暮らしを実現。構造材には新潟県産の越後杉を用い、地域資源を活かした地産地消の家づくりが、豊かな風景とともに息づいています。
都会の民家 根岸達己建築室
骨董を愛する奥様の民家のような住まいと、息子さんの求めるRC打放しの堅牢な住宅という相反する要望を調和させて計画した住まいです。現代的な打放しの門構えの先には古材の蔵戸が設けられ、開けば荒木田土の土間が広がる吹抜空間へと続きます。長野で選び抜いた古材梁や杉板の床が、都市にいながらも懐かしさと安らぎをもたらし、時間の流れを穏やかに感じさせる住まいとなっています。