壁面本棚のある家|設計事務所による注文住宅実例10選 著者:クラスキ編集部
本棚は本を収納するための家具ですが、壁一面に設けられた本棚は、住まいの空間そのものを特徴づける存在になります。壁面本棚のある家では、本が並ぶ風景がリビングや書斎などの背景となり、暮らしの中に自然に溶け込んでいきます。床から天井まで続く本棚や、階段まわりの壁を利用した本棚など、その形や配置によって空間の印象はさまざまです。本の背表紙が並ぶことで色や高さに変化が生まれ、収納でありながらインテリアの一部としても機能します。また、本棚の前に読書のための居場所が設けられるなど、本を中心にした空間がつくられることもあります。好きな本を身近に置いて暮らすことが、住宅のデザインそのものに表れる点が大きな魅力です。設計事務所による注文住宅の実例を通して、壁面本棚が住まいの中でどのような空間をつくっているのかを紹介します。
薪ストーブと太陽光発電、井戸水利用のエコな2世帯住宅 一級建築士事務所 光設計
真言宗の住職を務めるご家族のために計画された、地域に開かれた二世帯住宅です。大きな土間玄関には和室の小上がりを設け、檀家の方々が気軽に集える場を創出。既存の井戸を活かした配置計画や、散水・トイレ用水への再利用など、土地の記憶を未来へとつなぎます。太陽光発電や薪ストーブも取り入れ、環境に配慮した暮らしを実現。住まいでありながら、人々の交流と地域とのつながりを育む、温かな拠点となっています。
there *studioLOOP建築設計事務所
夫婦と3人の子どもが暮らす、家族の趣味や居場所を豊かに包み込む住まいです。南西に広がる利根川の土手への眺望を生かし、LDKを敷地の最も良い場所に配置。水回りやWIC、玄関、アトリエをくの字につなぐことで、外部から守られた庭を生み出しています。ワークスペースや畳スペース、モルタルに囲まれたキッチンなど、家族それぞれの時間を楽しめる場を設え、階段を兼ねた本棚がLDKとワークスペースを緩やかにつなぎます。
スキップフロアの家 根岸達己建築室
敷地の高低差を活かしたスキップフロアの住まいです。半階ずつずれた空間が縦横に広がり、吹き抜けを介して家族の気配がゆるやかにつながります。キッチンを中心に自然なコミュニケーションが生まれる、開放的な和モダンの空間です。玄関と一体的に計画された茶室や、壁一面に広がる大容量の本棚など、趣味を楽しむための工夫も随所に散りばめられています。さらに屋上には、読書とビールを楽しむための特別な居場所を用意。日常に小さな贅沢を重ねる、遊び心あふれる住まいです。
PHASE DANCE 株式会社 廣部剛司建築研究所
鬱蒼とした傾斜地に立つ、ヒメシャラの大樹との共存を目指した住宅です。樹木を中心に据えながら、各空間に応じて角度やボリュームを自在に調整し、対称性にとらわれない求心的な構成としています。RC造の基盤に木造架構を載せ、三角形構面の頂点を操作して屋根形状を連続的に変化させました。中央のピークから絞り込まれる両端は、中2階や吹抜を介して1階とつながり、内部に連続的なシーンを生み出しています。
大中小3つの筐が連なる小さな家|つづらの家 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
郊外の広い敷地に建つ、単身者のためのコンパクトな住宅です。就寝・食事・仕事などの機能を集約した大きな空間をカーテンで緩やかに仕切り、効率的な生活動線を実現しました。水回りや収納、ゲストルームを組み合わせた大小のボリュームが重なり合う構成としています。建物は敷地中央に配置し、周辺環境と距離を確保。高気密高断熱の性能を備え、郊外における新たな住まい方を示しています。
yet yet つくば春風台の家 e do design 一級建築士事務所
つくば春風台の緑豊かな街並みに佇む、家族3人のための住まいです。片流れ屋根を重ねたファサードが、空へ伸びるような印象を与える外観。その内部には、本に囲まれて暮らしたいというご夫婦の想いから、家族が自由に読書を楽しめる大きな壁面本棚を設けました。吹抜けや小上がり、可変性のある空間が多様な暮らし方を受け止め、家族の成長や変化を包み込む、余白を持った住まいです。
本の栖 充総合計画一級建築士事務所
商業地域の高密度な街区に計画した木造住宅です。プライバシーを確保しながら通風・採光を丁寧に確保し、見えない部分にコストと性能を注ぎ込むことで適正価格の住宅を目指しています。吹抜けの壁面は数万冊の蔵書により覆われ、住まいそのものが本の森のような空間となります。都市の喧噪を背景にしながらも、内部には豊かな知の気配が満ちています。
浜寺の家 一級建築士事務所 Coo Planning
大阪府堺市の閑静な住宅街に建つ住まいです。南側に広がる神社の緑を最大限に取り込みながら、「パリのアパルトマン」のような伸びやかな空間を目指しました。スキップフロアによる立体的な構成と高い天井が、住まいに豊かな広がりをもたらします。東西の壁面いっぱいに設えた本棚は暮らしの中心となり、十字框の窓やトップライトから差し込む光、風、緑が空間に彩りを添えます。素材の風合いとともに、家族の時間を重ねながら深みを増していく住まいです。
下鴨の住宅 株式会社 イン・エクスデザイン
約18.7坪のコンパクトな敷地に建つ、言葉とともに暮らすための住まいです。くの字に曲がる敷地形状を活かし、エントランスから続く階段と書架が空間の中心を形成。書架はそのまま2階へと連続し、書斎を包み込むように配置されています。1階のリビングからは庭の景色とともに本棚が視界に入り、日常の中で自然と本や言葉の存在を感じられる設計に。限られた面積の中に、知的な豊かさと静かな居心地を丁寧に織り込んだ一邸です。
はるひ野の家 株式会社 中村高淑建築設計事務所
中層マンションに囲まれた住宅地に建つ、アウトドア好きの家族のための住まいです。開放性の高い敷地条件を活かしながら、5つのデッキやテラスを外部との緩衝帯として配置。BBQテラスや縁側のようなウッドデッキ、バスコートなど、緑や光、風を身近に感じられる場所を随所に設けました。子どもがのびのび過ごせるだけでなく、長く大人も楽しめる、自然と暮らす住まいです。