ウッドデッキのある家|設計事務所による注文住宅実例17選 著者:クラスキ編集部
ウッドデッキは、室内と庭の間に設けられる木の床のような空間です。リビングからそのまま外へ出られる場所として計画されることも多く、室内と庭をつなぐ中間的な場所として住まいに広がりを与えます。窓を開けたときに床が連続して見えることで、室内が実際よりも広く感じられたり、庭の緑や光を身近に感じられたりすることもあります。椅子やテーブルを置いて過ごす場所としてだけでなく、室内から庭を眺めるための縁側のような役割を持つ場合もあり、その表情は住宅ごとに異なります。木の素材感は外部空間に温かみを与え、建物と庭の間に自然なつながりをつくります。ウッドデッキのある家には、屋内と屋外をひと続きの暮らしとして捉えたさまざまな建築表現があります。設計事務所による注文住宅の実例から、その空間のつながりを紹介します。
遠藤の家 暮らしの醸造所
四方を住宅に囲まれた敷地条件に応え、コの字型の中庭を中心に光と緑を取り込む住まいです。東庭の手法を用い、東からの光と南からの採光を確保しながら、延床26坪とは思えない開放感を実現しました。リビングとフラットにつながるデッキは、暮らしを外へと広げる心地よい居場所となっています。ヤマモミジやオリーブなどの木々が四季を彩り、家族が穏やかに時を重ねる住まいに仕上がりました。
森窓の家 株式会社 富谷洋介建築設計
「森が見える暮らし」を求め、土地探しから約2年をかけて出会った、東側に自然林が広がる住まいです。森を眺めるだけでなく、暮らしそのものを森へひらくことをテーマに、玄関土間やスキップフロア、スケルトン階段を介して、移動するたび異なる風景と出会える構成としました。薪ストーブやヌック、木の素材を生かした静かな空間が、自然を身近に感じる時間を育みます。高断熱性能と太陽光発電なども備え、四季とともに豊かさを深める住まいです。
エリンギ 株式会社 MuFF
周辺環境を考慮し、抜けを確保できる2階にリビングを配置しました。屋上には物見台を設置し花火が見えるように設計しました。
中庭のある住まい 木村哲矢建築計画事務所
大阪近郊の住宅地に建つ、家族の暮らしを中庭で包み込む住まいです。土地選びから計画し、東西の道路と中庭を生かして、光と風を家の奥まで導きました。1.5層分の天井高を持つ居間は、子ども室やロフトと立体的につながり、家族の気配を感じながら暮らせます。坪庭越しには隣地の大樹を望み、木製格子や杉板張りが、和の趣を感じさせる穏やかな表情をつくっています。
ぞうのいえ 小島光晴建築設計事務所
内と外に大小さまざまな居場所と庭をちりばめた住まいです。季節や気分に合わせて心地よい場所を選びながら過ごせる一方で、家族の気配を緩やかに感じられる空間構成としています。視線や音、香りを通して自然につながり、近づいたり離れたりできる距離感が、この家の豊かさを生み出しています。モバイル化によって暮らしの場所が自由になった現代だからこそ、自分らしく過ごしながら家族や風景の存在を感じられる環境を追求。おおらかな空間は、娘さんが名付けた「ぞうのいえ」の愛称にふさわしい住まいとなっています。
Tea House I 設計室
幹線道路に近い住宅地に建つ住まいです。前面道路側に広がる公園の緑を取り込みながら、中庭を設けて光と風を住まいの奥へ導く構成としました。床座の視線の高さを意識して空間を緩やかに区切り、人と風、家具やものとの距離感を丁寧にデザインしています。壁で明確に仕切るのではなく、光や風、気配といった目に見えない「間合い」を建築として表現した、静かなつながりを生む住まいです。
雪国の増築 佐藤宏尚建築デザイン株式会社
雪国に建つ既存の母屋に、家族が集うダイニングと2つのベッドルームを増築した住まいです。増築部分は既存の屋根勾配をそのまま延長することで、母屋との連続性を保ち、落ち着いた佇まいに仕上げています。無垢のスチール柱による大開口は全面開放が可能で、季節や暮らしに応じた柔軟な使い方を実現。トップライトとミラーが光を室内へ広げ、雪国の住まいに明るさと開放感をもたらしています。
米原の家Ⅱ 若林秀典建築設計事務所
滋賀県米原市、伊吹山麓の豪雪地に建つ子世帯の住宅です。夏の山風を取り入れつつ冬の寒さを抑えるため、北側は開口を小さく、南側は大きく開く配置とし、敷地北寄せのL字型で母屋と中庭を囲むように配置しました。低めの廊下から吹抜のLDKへと連なり、南側の大開口が中庭や2階室と連続して家族の気配を繋ぎます。玄関の地窓から中庭とリビングの足元が垣間見える構成です。
細長変形地の二世帯コートハウス 設計事務所アーキプレイス
都心の住宅密集地に建つ、完全分離型の二世帯住宅です。三方を建物に囲まれた細長い変形敷地という条件の中で、唯一視界の抜ける南西側にコートやデッキテラスを配置。木造3階建てのコートハウスとすることで、周囲からの視線を遮りながらも、光や風を取り込む開放的な住環境を実現しています。音楽を楽しむ共働き夫婦の家族と愛猫と暮らす叔母、それぞれの暮らしを尊重しながら、都市の中で自然を身近に感じられる住まいです。
life *studioLOOP建築設計事務所
田畑に囲まれた角地に建つ、周囲の自然を暮らしに取り込む住まいです。コの字型の外郭に「穴」を持つ壁を設け、光と風を導きながら外部からの視線をやわらかく遮っています。外郭と建物の間には立体的な中庭が生まれ、暮らしの場を豊かに拡張。壁の開口からは田畑や林が切り取られ、四季の風景を映す大きな絵画のように室内へ取り込まれます。中庭と開口を介して、自然の気配を身近に感じられる住まいです。
nestle 石岡の平屋 e do design 一級建築士事務所
奥様のご実家に隣接する敷地に建てた、家族と愛犬のための平屋の住まいです。湘南から移住したご夫婦は、在宅勤務をきっかけに、海の近くでの暮らしを選択。サーフィンを楽しむご主人と、庭を駆け回る愛犬のための環境を求め、新たな生活の場をつくりました。南向きのウッドデッキに面したLDKを中心に、各空間がゆるやかにつながるワンルームのような構成。家族が自然に寄り添い、穏やかな時間を育む「nestle」な住まいです。
サクラノキ 株式会社 松本直子建築設計事務所
思い入れのある土地を受け継ぎながら、二つの住まいへと再構築した計画です。一つの敷地を二分し、それぞれに賃貸部分を備えた住宅を配置。親世帯と子世帯が適度な距離を保ちながらも、同じ場所を共有するつながりを感じられる構成としました。限られた敷地の中で広がりを生み出し、それぞれの暮らしが心地よく営まれる住環境を丁寧に整えた住まいです。
海辺のシェルハウス 株式会社 廣部剛司建築研究所
南房総市の海岸近くに建つ週末住宅です。海水浴場や防波堤、隣接する住宅地に囲まれた敷地で、周囲の視線を遮りながら海と空を取り込む中庭を計画しています。浜辺の貝殻に着想を得て、壁から屋根へ連続する木造の多面体シェルを構成しました。構造体を室内に露出させ、トップライトや中庭からの光、波音とともに変化する空間を生み出しています。
戸田の家 KASA ARCHITECTS 一級建築士事務所
埼玉県戸田市に建つ住宅です。工場や倉庫が立ち並び交通量の多い環境に配慮し、道路側には建物を閉じる構成としました。内部には中庭を設け、外部から距離を保ちながら光や風を取り込み、落ち着きのある住環境を生み出しています。周囲の環境と向き合いながら、内側に豊かな暮らしの場をつくり出した住まいです。
高野川の別荘 越前良太デザイン研究所
京都・高野川沿い、松ヶ崎丘陵を望む100㎡の敷地に建つ住まいです。特別修景地区の厳しい条件のなかで、限られた床面積を最大限に活かしながら、伸びやかな空間を実現しました。RC・木・鉄それぞれの特性を活かした架構が、風や光、音、周囲の風景を住まいへと取り込みます。内と外のあいだに多様な居場所を生み出し、都市と自然を緩やかにつなぐ、開放感に満ちた住まいです。
坂道の家 天工舎一級建築士事務所
神奈川県小田原市城山の閑静な住宅地に計画された新築住宅です。広さ約93坪の敷地ながら、接道は狭く急勾配の坂道で、出入口の拡幅工事から着手しています。西側の崖に対する安全性を確保するため高基礎と離隔を設け、建物は敷地中央に配置しました。既存樹木は整理しつつも柿の木を残し、庭と暮らしの象徴としています。外壁やデッキにはアピトン材を用い、木々との調和を図りました。吹き抜けと大開口により内外を緩やかに繋ぎ、木の質感が全体を包み込む柔らかな住まいです。
緑地に佇む音楽小屋 充総合計画一級建築士事務所
音楽を愛する人のために計画された、小さな演奏空間を備えたサテライトの小屋です。建物の約3分の2を吹き抜けの傾斜天井とすることで、高さを抑えながらも伸びやかな空間を実現しました。周囲の環境に穏やかに佇む屋根形状は、そのまま室内の音響設計にも活かされています。グランドピアノやさまざまな楽器、声楽の響きが心地よく拡散し、ソロからアンサンブルまで豊かな音に包まれる空間です。建築と音楽が静かに共鳴する、上質な小さな音楽堂となっています。