板張り天井の家|設計事務所による注文住宅実例16選 著者:クラスキ編集部
天井は床や壁に比べて普段あまり意識されない場所ですが、仕上げによって室内の印象を大きく変えることがあります。板張り天井の家では、木の一枚一枚がつくる質感や並び方が視界に入り、空間に温かみや落ち着きを与えます。木の色や表情は、同じ板張りでも使う素材や光の当たり方によって異なる印象を生み出します。また、壁や床にも木を使うのか、あえて異なる素材と組み合わせるのかによって、室内の雰囲気は大きく変化します。勾配のある天井や梁と組み合わせることで、木の存在感をより感じられる空間になる場合もあります。板張り天井は単なる仕上げではなく、住宅の中で視線を受け止める大きな面として、空間の個性を形づくる要素です。設計事務所による注文住宅の実例から、木の天井が住まいにどのような表情を与えているのかを紹介します。
羽村の家 望月建築アトリエ
敷地は郊外住宅地の角地で東側に雑木林のような公園が広がります。生活の中心を2階に置き、キッチンからダイニング・リビングへと連続する開口部で借景を取り込み、天井高を変化させています。リビングを一段高くして造り付けソファと眺めの良い書斎コーナーを設けています。外観は片流れ屋根と横長窓、上下で外壁素材を切り替えています。インテリアは落ち着いたトーンで統一しています。
吹抜けで家族が繋がる高性能住宅|袖ヶ浦・蔵波台の住まい タイラヤスヒロ建築設計事務所
家の中心に大きな吹き抜けを据え、人・光・風が立体的に巡る回遊性の高い住まいです。南側をセットバックして設けたウッドデッキは、造園家による植栽と緩やかにつながり、内と外を心地よく結びます。吹き抜けに面した2階の通路は、庇として日射を調整しながら耐震性にも寄与。耐震等級3、UA値0.47、C値0.30の高性能を備え、大空間と快適性を両立しています。シンプルな切妻屋根と深い軒が古い町並みに調和し、端正で落ち着いた佇まいをつくり出しています。
上野芝の家 Abax Architects
閑静な住宅地の高台に建つ、約40坪の住まいです。西側に広がる眺望を最大限に活かすため、2階にリビングダイニングを配置し、豊かな光と風景を室内へと取り込みました。内装には木をふんだんに用い、温もりのある落ち着いた空間をつくり上げています。キッチンをはじめとする家具はオリジナルで製作し、空間と一体となるよう丁寧に計画されています。眺望と素材感が調和した、心地よい時間が流れる住まいです。
芦屋の家 井上久実設計室
JR芦屋駅近くの閑静な住宅地に建つ住宅の改築計画です。既存の地下駐車場躯体を活かし、上部の大規模な木造を解体して、コンパクトな木造2階建てへと再構成しました。道路側外壁に角度を持たせることで圧迫感を軽減し、街並みに調和する佇まいとしています。生まれた余白には草花を配し、周囲を彩ることで、この場所に新たな風景を育む住まいとなっています。
東員の平屋 祐成大秀建築設計事務所
ダイニング横の小部屋を、子どもの勉強や読書、リモートワークにも使える多目的な居場所として計画した住まいです。さらに、はしごで上がる小屋裏のロフトには、一人で静かに過ごせるこもり空間や趣味の場を設けました。リビング・ダイニングと緩やかにつながりながら、それぞれが異なる距離感で過ごせる構成が特徴です。家族の気配を感じつつ、必要なときには一人の時間も楽しめる、心地よい暮らしの場となっています。
エリンギ 株式会社 MuFF
周辺環境を考慮し、抜けを確保できる2階にリビングを配置しました。屋上には物見台を設置し花火が見えるように設計しました。
独立した二世帯が集う家 設計事務所アーキプレイス
親世帯と子世帯が互いのプライバシーを尊重しながら、心地よい距離感で暮らせる二世帯住宅です。ホームエレベーターを備え、親世帯を3階、共働きの子世帯を1・2階に配置。陽当たりと眺望に恵まれた南角には、それぞれのLDKを設け、明るく開放的な暮らしを実現しています。また、各世帯に役割を持たせた外部空間を計画することで、家族同士のつながりだけでなく、近隣との自然な交流も育む構成としました。世代を超えて快適に暮らし続けられる住まいです。
犬と暮らす自然素材の小振りな木の家 一級建築士事務所 光設計
松戸市の26坪の狭小地に建つ、愛犬と暮らすための木の住まいです。コンパクトな規模ながら、将来の暮らしの変化にも対応できる柔軟な間取りを採用。大きな杉の大黒柱を中心に、障子によって個室にもなる開放的なワンルーム空間が広がります。造作キッチンや書斎コーナーなど、和モダンの工夫も随所に取り入れました。無垢材や自然素材をふんだんに用い、森林浴をするような心地よい空気に包まれた、健やかな暮らしを育む住まいです。
Message from the sky 佐藤宏尚建築デザイン株式会社
「空を感じたい」という願いから生まれた、都心の住まいです。トップライトから取り込まれる光が、朝の澄んだ空や夏の日差し、夕暮れ、雪や雨上がりの景色を室内に映し出し、刻々と変化する空の表情を暮らしの中へ導きます。天然スレートの外壁や杉、土壁など自然素材を用い、コンクリートの蓄熱性を活かした床暖房も採用。光と影、素材の質感が響き合う、豊かな住環境をつくり出しています。
廊下のない家|親から子へ、子から孫へ 株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
生まれ育った実家へ、ご夫婦とお子様が戻り新たな暮らしを始めるためのリノベーション計画です。将来世代へ引き継げる住まいとすることを目的に、既存を活かしたハーフリノベーションとし、コストと性能のバランスを重視しています。廊下をなくすことで空間を再編し、キッチンとダイニングを取り込んだ広がりあるリビングを実現しました。Ⅱ型キッチンにより家族を見渡せる構成としています。断熱材やサッシも刷新し、省エネ性能と快適性を向上させています。窓の高さや配置を見直した、安全性と防犯性にも配慮した住まいです。
大蔵の家 ことこと設計室
有機農業に取り組むご夫婦のために設計された、自然と調和する住まいです。暮らしの理念やものづくりへの姿勢に寄り添い、畑仕事の疲れをやさしく癒やす空間を目指しました。無垢の杉材や珪藻土など自然素材を用い、四季の移ろいや光の変化を感じられる開口計画を採用。外観も木の質感を活かし、時間とともに深まる風合いを楽しめます。さらに高性能な断熱仕様と放射冷暖房システムにより、一年を通じて快適な室内環境を実現。自然循環の思想を住まいにも反映した、穏やかで豊かな住宅です。
小高の離れ 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
築30年の数寄屋門を備えた平屋住宅を、避難先から故郷へ戻る家族の新たな暮らしの拠点として再生したリノベーションです。和室中心だった間取りを見直し、廊下をなくして広々としたLDKを創出。既存の南庭園に向かって大きく開くことで、光や風、緑を存分に取り込む明るく心地よい空間へと生まれ変わりました。さらに庭との間にはデッキテラスを設け、内と外を緩やかにつなぐ多目的な居場所を形成。故郷の風景とともに、新しい日常を育む住まいです。
陸前高田の住まい ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市で、文房具店を併設した住まいを再建する計画です。現地の気候や風土、地域の慣習を丁寧に読み解き、少しでもかつての風景を取り戻しながら、家族が安心して暮らせる住まいを目指しました。将来は定年後に趣味を生かした雑貨店を営むことも見据え、大きな土間や特徴的な曲がり屋根を設けています。過去の記憶を受け継ぎ、これからの暮らしを育む住まいです。
篠山の家 澤村昌彦建築設計事務所
目の前にある山を借景として取り込んだ、自然と調和した平屋住宅です。
東生駒の家Ⅱ-版築塀をのぞむ終の住処- 乗松得博設計事務所
生活道の突きあたり、2.5mの高低差を持つ土地に建つ、終の住処です。山並みの先に法隆寺を望む、かつての風景に思いを馳せながら、土地の記憶と向き合うように計画されました。古代から伝わる工法・版築による塀が道からの視線をやわらかく遮り、同時にリビングから眺める風景となります。時を重ねるほど味わいを深める素材に包まれながら、これからの暮らしに穏やかな時間が流れる住まいです。
丁寧に暮らす家(リノベーション) 芦田成人建築設計事務所
定年後を見据え、ご夫婦二人のこれからの暮らしを整えるリノベーションです。「丁寧に暮らしたい」という住まい手の想いを受け、落ち着きのある上質な空間を目指しました。計画では、日常の中で自然とこもりたくなる“余白の居場所”を設け、住まいに多様な過ごし方を生み出しています。素材や天井高、開口部の形状や配置を丁寧に調整することで、場所ごとに異なる景色や居心地を演出。時間を重ねるほど愛着が深まる住まいです。