庭のある家|設計事務所による注文住宅実例24選 著者:クラスキ編集部
庭のある家では、庭が単なる外部空間ではなく、住まいの一部としてどのように取り込まれているかが空間の印象を左右します。リビングやダイニングから緑を眺める構成や、室内と庭の間にテラスを設ける構成など、建築と自然の関係にはさまざまな表現があります。窓越しに見える植栽や、光と風の変化が室内にもたらす表情によって、暮らしの中に季節の移ろいが感じられることもあります。庭との距離や視線のつながりによって生まれる空間の広がりも、庭のある住まいの魅力です。庭と建築の関係が実際の住宅でどのように表現されているのか、設計事務所による注文住宅の実例を紹介します。
U邸 SUR都市建築事務所
2017日本エコハウス大賞優秀賞・会場賞を受賞した、池袋近くの都市型3階建てゼロエネ住宅です。変形敷地の余白を生かして多様な外部空間を内部に取り込み、シンプルな矩形平面に変化と奥行きを与えています。SII(環境共生イニシアティブ)認定のZEHで、全館をゼロエネルギーで365日快適に保てます。
稲城の家 内田雄介設計室
郊外の市街地に建つ、4人家族のための住まいです。隣家が迫る環境の中で、南側に設けた小さな庭と住空間を緩やかにつなぎ、光と緑を暮らしの中心へ取り込みました。フルオープンする木製窓によって内外が一体となり、リビングの窓辺には境界の曖昧な心地よい居場所が生まれています。漆喰壁に映る繊細な光のグラデーションや吹抜けの広がりが、住まいに豊かな表情と安心感をもたらす住まいです。
創エネルギーの近未来型エコハウス 一級建築士事務所 光設計
太陽光発電と家庭用燃料電池「エネファーム」を組み合わせ、使用電力の約80%を自家発電でまかなう創エネルギー住宅です。外断熱と自然素材の断熱材による高い断熱性能に加え、高性能な開口部や気密施工によって快適な室内環境を実現。さらに、LED照明や省エネルギー性に優れた全館空調システムを採用し、創り出したエネルギーを効率よく活用しています。環境性能と快適性を高い次元で両立した、長期優良住宅認定の住まいです。
光里の家-コンパクトにひろがる子育て世代の家- 乗松得博設計事務所
生後半年の男の子を迎えた家族のために計画された、成長とともに育つ住まいです。玄関と駐車スペースをつなぐ通り土間は、洗面や浴室、ランドリーへと連続し、日々の暮らしを快適に支えます。南庭と坪庭という趣の異なる二つの庭が、住まいに豊かな奥行きと変化をもたらし、光や風をやさしく取り込みます。コンパクトな構成の中に伸びやかな広がりを備え、自然を身近に感じながら暮らせる住まいです。
里山の家 株式会社 富谷洋介建築設計
土地探しから計画した、都市で働きながら北海道の自然を身近に感じられる住まいです。札幌郊外の高台に建物を北側へ寄せ、南側には広い庭を確保。大きな窓で庭と室内をつなぎ、リビングからはスキー場の風景を望めます。吹き抜けのLDKや広い土間、効率的な家事動線に加え、高断熱・高気密性能とハイブリッド熱源を採用。薪ストーブや雪景色を愉しみながら、四季の移ろいと快適な暮らしを両立しています。
starry *studioLOOP建築設計事務所
群馬県伊勢崎市の郊外に建つ、三世代の暮らしをつなぐ住まいです。中心にLDKを据え、各室が放射状に広がる構成とすることで、家族の気配を自然に感じられる交流の核をつくりました。南北の吹き抜けから光と風を招き、庭へ視線を導く低い開口部と、空を望む北側の大きな窓を配置。風車のような凹凸のある形状が、季節の変化と豊かな日々を受け止めます。
植物と暮らす家 根岸達己建築室
土地探しからお手伝いした住宅です。施主は仕事の拘束時間が長く、余暇を植物とくつろぐ、流行に左右されない空間を望まれました。敷地特性を生かし、リビング、ワインや外ごはんを楽しむデッキ、花と緑の庭をひとつながりに配置し、境界を曖昧にしています。内外が一体となり、植物と暮らす住まいとなりました。
西岡本の家 Abax Architects
神戸市の山手、高級住宅街に建つ住まいです。屋根は六甲山の稜線に呼応するように架けられ、周囲の風景に静かに溶け込む佇まいとしています。リビングは南の広い庭と中庭テラスに挟まれ、たっぷりと光が差し込む開放的な空間です。敷地内に散りばめられた植栽が時間とともに成長し、四季の移ろいとともに住まいの表情を豊かにしていきます。自然と都市が響き合う、穏やかな暮らしの器となっています。
Hillside house 株式会社 ファーイースト・デザイン・ラボ
多摩丘陵の斜面に広がる住宅地に建つ住まいです。道路より半層下がった敷地条件を生かし、道路レベルと敷地レベルに2層のフロアを設け、それらをスキップさせてつなぐことで、約2.5層分の高さをもつ開放的な空間を実現しました。各フロアからは街のパノラマが広がり、上階からは空を感じる眺望を楽しめます。道路から半層下がった庭とつながるリビングは、プライバシーを保ちながらも伸びやかな空間となっています。
家族を感じるいくつもの居場所 小島光晴建築設計事務所
家族が同じ時間を共有しつつ各々の居場所を大切にした住まいです。光や視線、素材の質感で日常を風景とし、囲われた芝生の庭を中心に屋内から半屋外、屋外へ連続させています。子どもはダイニングのテーブルで勉強し、隣の書棚のあるオープン書斎やリビング上部のホビースペース、個室へ移動できます。両面ガラスの薪ストーブが中心となり、季節に応じて庭のルーバーを開放しガレージ前と一体で使える計画です。
IH house 市井洋右建築研究所
東大阪南部の古い街並みに建つ、築100年超の茅葺き住宅を建て替えた住まいです。玄関を中心に、親族が集う座敷と家族のLDKをL字型に配置し、動線を分けています。縦格子の和空間と、空洞レンガ越しに広がるモダンな空間がアプローチで対比され、庭もそれぞれ異なる表情を見せます。既存住宅の大黒柱を削って再利用した床柱や、街の新たな象徴となる軽やかな大屋根が、歴史の継承を印象づけています。
三世代で住み継ぐ回遊動線の家|ancha ポーラスターデザイン一級建築士事務所
一つの庭を共有し、母屋と離れのように三世代が暮らす住まいの建替えです。現在は子世帯、将来は親世帯が暮らすことを想定し、最小限の手間で間取りを更新できる可変性を備えました。1階は浴室も回遊動線に組み込み、車椅子利用にも配慮。壁付けキッチンから洗面・脱衣までを一続きのカウンターでつなぎ、空間を広く使います。2階には共有のスタディスペースを設け、庭の百日紅を望む窓が、家族と母屋をゆるやかにつなぎます。
町田の家 望月建築アトリエ
幹線道路沿いでありながら、敷地内には木々に囲まれた静かな環境が広がっていました。北側の道路と南側の母屋、既存の庭との関係を丁寧に読み取り、安心感のあるくの字型の平屋を計画。中央に玄関を設け、リビングを中心に各室を配置し、廊下にはワークスペースを設けて北側への視界と風の抜けを確保しています。深い軒の片流れ屋根に包まれた空間は、板張り天井と白壁が穏やかな住まいの表情をつくります。軒下のデッキにも、旧母屋の縁側と同じような心地よい陽だまりが生まれます。
十二所の家 佐賀高橋設計室
ご両親が大切に手入れをされてきた美しい庭の一部に計画された住宅です。周囲の豊かな景色をどのように切り取るかを丁寧に検討し、庭との関係性を大切にしながら空間を構成しています。今回、ダイニングテーブルやベッド、置き家具に至るまでデザインを手がけ、住まい全体として統一された世界観を実現しています。
東浦の家 後藤耕太建築工房
知多半島の昔ながらの住宅街に建つ住まいです。地域とのつながりを大切にしながら、掘りごたつのある暮らしを望んだ施主の想いをかたちにしました。リビングの床を一部高くして掘りごたつを設け、南側からの視線と室内からの視線をずらすことで、開放感とプライバシーを両立しています。杉の無垢材を多用した空間は、時を重ねるほどに味わいを深めます。周囲の街並みに穏やかに馴染み、地域の風景とともに育っていく住まいです。
山陰の住まい 木村哲矢建築計画事務所
二方を道路に囲まれた敷地に建つ、落ち着きと品格を備えた平屋の住まいです。通風と採光のために庭を随所に配し、主庭に沿って室を雁行させることで、視線の広がりと豊かな回遊動線を生み出しました。深い軒を持つ大屋根が室内をおおらかに包み、天窓からの光は障子と壁を介して柔らかく拡散します。素材の表情と陰影を丁寧に重ね、時を重ねるほど味わいを増す、品格ある住まいです。
妙香寺台の住まい 株式会社 松本直子建築設計事務所
横浜市の高台に建つ、豊かな眺望を楽しむスキップフロアの住まいです。高低差を活かした空間構成により、各階から広がる景色とプライバシーを両立しました。海外で暮らした時間を物語るタペストリーや小物が空間に彩りを添え、上階には充実した書庫を配置。住まい手の記憶や趣味を大切にしながら、眺望と暮らしが調和する、個性豊かな住まいです。
POCCO 〜住まいのインテリアコーディネーション コンテスト 優秀賞〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
廊下や階段といった「移動のための空間」に新たな価値を見出した住まいです。住宅の中心には、トップライトから光が降り注ぐ吹抜けの「ウチ庭」を配置。玄関や階段の機能を担いながら、実際に植物を育てられる内なる庭として計画されています。コンクリート仕上げの床や内外を曖昧にする構成によって、自然を身近に感じる環境を実現。個室を単に並べるのではなく、豊かな共用空間で緩やかにつなぐことで、家族の気配や暮らしの連続性を育む住まいとなっています。
しだれ桜と暮らす家 設計事務所アーキプレイス
なだらかな山並みと田園風景に囲まれた広島県の中山間地域に建つ、三世代5人家族の住まいです。庭には、地域の人々にも親しまれてきた大きなしだれ桜があります。雪解けの頃には友人や知人が集まり、桜の下で食事や語らいを楽しみ、泊まっていく風景が受け継がれてきました。その存在を暮らしの中心に据え、家族の成長を見守り、人と人をつなぐ桜とともに、地域に根ざした営みを次世代へつなぐ住まいです。
小谷の家 暮らしの醸造所
三叉路に面する敷地に建つ夫婦+猫のための住宅で、左右の棟の高さを抑え三叉路からの圧迫感を軽減する計画です。既存植栽を生かし、2階居間は北側の畑越しに桜の大木を望む開口を配しています。南側は開口を低くし視線を下の植栽に向ける設計で、1階寝室群は光を抑えた落ち着いた空間としています。洗面・浴室は左右の棟より道路側に引き、濡れ縁を設け明るい水廻りとしています。道路側にはユズ、ビワ、シラカシ等を植えています。
te to te 龍ヶ崎の家 e do design 一級建築士事務所
茨城県龍ヶ崎市の閑静な住宅街に建つ、ご家族3人のための住まいです。周囲の豊かな環境を取り込みながら、3つの異なるボリューム「玄関棟・個室棟・LDK棟」を組み合わせた構成が特徴。外部との距離感を丁寧に調整し、プライバシーを守りながら自然や家族とのつながりを育む空間を計画しました。吹抜けの階段室を介して、それぞれの場がゆるやかにつながる住まい。「te to te(手と手)」の名の通り、家族や周囲との絆を紡ぐ、温かな暮らしの器です。
茅ヶ崎東海岸北の家 多田建築設計事務所
茅ヶ崎の雄三通り沿いに建つ二世帯住宅です。防犯性と堅牢性を備えながら、自然や家族のつながりを暮らしの中に取り込むことをテーマに計画されました。住まいの中心には、中庭を囲むコートハウス型の構成を採用。既存の庭から移植した樹木やウッドデッキが親世帯と子世帯をゆるやかにつなぎます。各所に設けた開口から光や風、緑を取り込み、世帯間の程よい距離感と豊かなコミュニケーションを実現。機能性と心地よさが調和した住まいです。
秋保の家 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
既存の石庭を暮らしに取り込み、豊かな自然とともに過ごすために計画された住まいです。大きな吹き抜けを中心に、1階のLDKやアトリエと2階の居室が立体的につながり、家族の気配を感じながらも伸びやかな開放感を生み出しています。窓辺には庭の風景や緑が広がり、自然の風が心地よく室内を巡る設計に。趣味や創作活動を楽しみながら、時間に縛られずゆったりと過ごせる、健やかで豊かな日常を育む住まいです。
新居浜の家 澤村昌彦建築設計事務所
北欧スタイルの家