薪ストーブのある家|設計事務所による注文住宅実例23選 著者:クラスキ編集部
薪ストーブのある家では、薪ストーブが暖房設備としてだけでなく、家族が集まる場所をつくる存在として空間の中心に表れることがあります。リビングに設けられたストーブを囲むように家具が配置されることで、炎を眺めながら過ごす時間が住まいの風景になります。ストーブ本体だけでなく、煙突や薪を置く場所、周囲の床や壁なども空間を構成する要素となり、素材の質感や光との組み合わせによって独特の表情が生まれます。火を囲む場所と家族が過ごす場所がゆるやかにつながることで、暖かさと団らんが重なる住空間になることもあります。薪ストーブのある家が実際の住宅でどのように建築として表現されているのか、設計事務所による注文住宅の実例を紹介します。
米原の家Ⅱ 若林秀典建築設計事務所
滋賀県米原市、伊吹山麓の豪雪地に建つ子世帯の住宅です。夏の山風を取り入れつつ冬の寒さを抑えるため、北側は開口を小さく、南側は大きく開く配置とし、敷地北寄せのL字型で母屋と中庭を囲むように配置しました。低めの廊下から吹抜のLDKへと連なり、南側の大開口が中庭や2階室と連続して家族の気配を繋ぎます。玄関の地窓から中庭とリビングの足元が垣間見える構成です。
豊中緑丘の家 井上久実設計室
郊外の街並みに並ぶ大きなカーポートに着目し、住宅・植栽・車庫を並列に配置した住まいです。間口9mの縦長敷地と高低差を活かし、通り側には高さを抑えた個室、奥には伸びやかな家族空間を設けることで、人に寄り添うスケール感を大切にしています。車庫はパーゴラで覆われ、クレマチスやジャスミンが育つことで、住宅と一体となった緑豊かなファサードを形成。時間とともに街並みに新たな風景を育む住まいを目指しています。
Ok house 市井洋右建築研究所
兵庫県中央付近の田園風景に建つ、約250坪の敷地を生かした住まいです。南北に二つの庭を設け、通り土間と大きな窓を介してLDKにつなげました。南側は庇と板塀に守られた庭、北側は芝生と家庭菜園の開放的な空間です。木の表情豊かなLDKには、薪ストーブや大階段を配し、読書や勉強の場も生み出しています。ステップフロアが、山並みを望むバルコニーまで伸びやかな空間の連続を描きます。
薪ストーブのある自然素材の平屋の住まい 一級建築士事務所 光設計
ご夫婦二人のために計画された、中庭を中心とする平屋の住まいです。住まいの中央に設けた中庭から光と風を取り込み、四季の移ろいを映すヤマボウシが日常に豊かな表情を添えます。リビングには薪ストーブを据え、ゆったりとした時間が流れる空間を実現しました。キッチンや洗面台、書斎デスクなどは造作家具で統一し、暮らしに寄り添う設えに。自然素材を活かした快適な室内環境と高い性能を備えた、長期優良住宅認定の住まいです。
軽井沢の家 暮らしの醸造所
軽井沢の静かな別荘地に建つ、定年後の夫婦と愛猫のための住まいです。小川のせせらぎや木々の揺らぎが感じられる豊かな自然環境に寄り添い、建築が風景を主張しすぎないよう慎ましく計画されました。橋を渡りながら玄関へと向かうアプローチは、景色の変化を楽しむ体験そのものとなっています。窓から望む四季折々の風景や光と影の移ろいが、日々の暮らしに静かな感動をもたらす住まいです。
田園調布の2世帯住宅 株式会社 一級建築士事務所 アトリエマナ
樹齢70年を超えるソメイヨシノを残し、2世帯が適度な距離感で暮らせる住まいを計画しました。親世帯棟と子世帯棟を分け、屋外空間を介して配置。異なる生活時間に配慮しつつ、2階には桜を望む和室と、家族や子どもが使えるワークスペースを設けています。四季の移ろいを楽しみ、互いの気配を感じながら暮らせる住まいです。
芦屋の家 Abax Architects
芦屋市の高級住宅街に建つ、地下1階・木造2階建ての住まいです。リビングダイニングからの眺望を確保するため、1階を地盤から約1.5m持ち上げ、その下に地下室を計画しています。道路側の棟は軒を低く抑えることで圧迫感を軽減し、街並みに穏やかに馴染む外観としました。二つのスキップする棟を階段室でつなぎ、動きのある構成としています。玄関ホールの先には水盤を設け、全体としてアジアのリゾートを思わせる静けさと豊かさを演出した住まいです。
秋川の家 ことこと設計室
秋川丘陵の豊かな自然を望む傾斜地に建つ、暮らしとアウトドアが緩やかに溶け合う住まいです。芝生の中庭を中心に、LDKを備えた母屋と水廻り・ガレージを備えた離れを配置し、自然を身近に感じられる構成としました。空間の中心にはシンクを組み込んだ全長5mのダイニングテーブルを据え、家族や友人が集う場を創出。あえて造り込み過ぎないインテリアは、住まい手自身が手を加えながら育てていく余白を残しています。時間とともに風景も暮らしも成熟していく住まいです。
秦野の家 株式会社 中村高淑建築設計事務所
広々としたガレージと暖炉(薪ストーブ)を備えた、アクティブなご夫婦の住まいです。自転車雑誌の編集長を務めていたご主人は、12台もの自転車を所有し、現在も増殖中。バイクやクルマ、登山、DIYなど、多彩な趣味を楽しめる空間が広がります。2階は寝室と一体になったワンスペース・リビング。3.2mの高い天井が、日本の住宅とは思えない開放感を生み出しています。
森の中の別荘 Sデザイン設計 一級建築士事務所
富士山の麓、豊かな森に抱かれるように建つ別荘です。森の風景そのものを魅力として取り込み、自然に包まれながら快適に過ごせる空間を目指しました。照明は浮遊感と奥行きを意識して計画し、夕暮れとともに建物が森の中に浮かび上がるような時空間を演出しています。非日常的で上質なひとときを、ゆったりと楽しめる住まいです。
木立に佇む家 設計事務所アーキプレイス
木立に囲まれた敷地に建つ、30代のご夫婦とお子さまのための住まいです。内と外が緩やかにつながる構成とし、リビングやダイニングから庭や周囲の緑を望めるよう計画しました。水まわりは南側や坪庭に面して明るさと風通しを確保。和室は茶会や宿泊に配慮し、LDKから少し距離を置いています。2階の書斎では、木立の向こうの景色を眺めながら、読書や仕事を楽しめます。光や風、四季の移ろいを身近に感じる住まいです。
森窓の家 株式会社 富谷洋介建築設計
「森が見える暮らし」を求め、土地探しから約2年をかけて出会った、東側に自然林が広がる住まいです。森を眺めるだけでなく、暮らしそのものを森へひらくことをテーマに、玄関土間やスキップフロア、スケルトン階段を介して、移動するたび異なる風景と出会える構成としました。薪ストーブやヌック、木の素材を生かした静かな空間が、自然を身近に感じる時間を育みます。高断熱性能と太陽光発電なども備え、四季とともに豊かさを深める住まいです。
陸前高田の住まい ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市で、文房具店を併設した住まいを再建する計画です。現地の気候や風土、地域の慣習を丁寧に読み解き、少しでもかつての風景を取り戻しながら、家族が安心して暮らせる住まいを目指しました。将来は定年後に趣味を生かした雑貨店を営むことも見据え、大きな土間や特徴的な曲がり屋根を設けています。過去の記憶を受け継ぎ、これからの暮らしを育む住まいです。
徳島の家 子世帯-二世帯の暮らしを包み、光を与える屋根- 乗松得博設計事務所
屋根は、この場所にどのようにあるべきか。住まいとして、街に対してどう佇むべきかを考えた住まいです。寄棟、切妻、片流れ、越屋根など、異なる屋根が重なり、つながりながら二世帯の暮らしを包み込みます。屋根の形は室内の天井となって現れ、室内の豊かな表情が外観にもにじみ出ます。多面の天井と深い軒裏が光を受け止め、反射し、吸収することで、光と影が織りなす陰影豊かな住まいとなっています。
妙香寺台の住まい 株式会社 松本直子建築設計事務所
横浜市の高台に建つ、豊かな眺望を楽しむスキップフロアの住まいです。高低差を活かした空間構成により、各階から広がる景色とプライバシーを両立しました。海外で暮らした時間を物語るタペストリーや小物が空間に彩りを添え、上階には充実した書庫を配置。住まい手の記憶や趣味を大切にしながら、眺望と暮らしが調和する、個性豊かな住まいです。
薪ストーブのある家 根岸達己建築室
かつて高架線の影響で北側に庭、南側に建物を寄せた「南北逆転の家」が並ぶ地域での建て替え計画です。旧来の住まいは日中も照明が必要で冬は寒く、明るく暖かな住環境が強い要望でした。30坪弱の敷地条件の中、プライベート空間を効率よくまとめ、パブリック空間にゆとりを確保しています。隣家が近接するためハイサイドライトやトップライト、縦格子から柔らかな光を取り込みました。キッチンは施主による制作で、小さくも機能的な空間となり、日々の料理が楽しみになる住まいです。
奥武蔵の家 望月建築アトリエ
埼玉県西部の市街地に建つ、代々受け継がれてきた庭を生かした二世帯住宅です。玄関を一つにしながら、住空間は完全分離とし、藤棚や大きな木々の残る庭を各世帯のリビングから望める計画としました。西側道路に面して玄関と2台分のビルトインガレージを配置。片流れの大屋根で建物のボリュームを軽やかに整え、軒や天井には地元・西川材の無垢の桧板を用いています。庭の移ろいを感じながら、家族が穏やかに過ごせる住まいです。
金沢・宝町の家 澤村昌彦建築設計事務所
金沢市の高台に建つ平屋建て住宅です。アウトドアがご趣味のクライアントで、庭にアウトドアリビングやバーベキュースペースを設けました。リビングは全面ガラス張りですが、日射を遮るために1.8mの庇を設けています。また、趣味室として、インナーゴルフ室を設けています。
U邸 SUR都市建築事務所
2017日本エコハウス大賞優秀賞・会場賞を受賞した、池袋近くの都市型3階建てゼロエネ住宅です。変形敷地の余白を生かして多様な外部空間を内部に取り込み、シンプルな矩形平面に変化と奥行きを与えています。SII(環境共生イニシアティブ)認定のZEHで、全館をゼロエネルギーで365日快適に保てます。
大屋根の下に集う暮らし 株式会社 MuFF
丹波篠山の豊かな自然に囲まれた里山に建つ住まいです。山並みや雑木林を望む恵まれた環境の中で、建築と自然が穏やかに溶け合うあり方を追求しました。土の塊のような三つのボリュームを配置し、その間に生まれた空間を自然へ開かれたリビングとして計画。囲炉裏や薪ストーブを囲みながら、人と人が集い、火を眺め、季節の移ろいを感じる時間が流れます。自然との深い関係性を暮らしの中心に据えた、原風景を思わせる住まいです。
川原子の家 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
山形県天童市の果樹園近くに建ち、南に水晶山などの山並み、北にホタルの小川や菜園・竹林が広がる環境です。敷地には築40年の母屋と築50年の小屋が一体化し、東に渡り廊下で繋がる音楽室とガレージがあります。計画では北側の景観を遮る築50年の二階建てを撤去し、遊び場や四季の借景を得るとともに、外壁に間引き材の屋敷杉を張り、施主が珪藻土塗りや塗装、ポーチや下屋の施工に参加した手作りのリノベーションを行っています。
桜山の家 佐賀高橋設計室
1階には薪ストーブを備えた応接間と個室を配置し、落ち着いた時間を過ごせる構成としています。2階にはLDKと家族全員で共有するワークスペースを設け、日常と仕事がゆるやかに交わる場としています。海辺という立地を生かし、開放感とおおらかさに満ちた空間が広がる住まいです。
鱗の家 佐藤宏尚建築デザイン株式会社
代沢の丘に建つ木造3階建ての住宅です。敷地の隅をR形状とし、連続する大壁でプライバシー性の高い内部と、公共性のある外部をやわらかに分節。斜め葺きのガルバリウム鋼板が、鱗のような表情を生み出します。6層の床による豊かな断面構成に、天井高4.2mのリビングや、内外が一体となる木製サッシを設置。古材を生かした和室、自然光を導く階段、書斎、薪ストーブと床暖房が、快適で伸びやかな暮らしを支えます。