玄関土間のある家|設計事務所による注文住宅実例18選 著者:クラスキ編集部
玄関は住まいの入口であると同時に、外から帰ってきた人を迎え入れる大切な場所です。玄関土間のある家では、この空間が単なる出入りの場にとどまらず、暮らしを支える多目的な場所として計画されています。広めの土間は靴を履き替えるためだけでなく、自転車やベビーカー、アウトドア用品などを置くスペースとして活用されることもあります。また、室内との段差や視線のつながり方によって、玄関そのものが住まいの印象を特徴づける空間になることも少なくありません。庭やリビングとの関係を意識した計画では、土間が住まい全体をつなぐ役割を担うこともあります。設計事務所による注文住宅では、玄関土間がどのように暮らしと結びつき、魅力的な空間として表現されているのかを実例から見ていきます。
土間の家|自転車も収納、土間空間 株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
狭小かつ奥行きのある敷地条件に向き合い、光と開放感を丁寧に導いた住まいです。周囲を住宅に囲まれた環境の中で、バルコニーを設けず屋上を活用することで、限られた敷地を有効に計画。屋上へと続く階段は光の通り道となり、明るさをリビングへと届けます。広々とした玄関土間には自転車やベビーカー、ゴルフバッグなどを収納でき、都市住宅に求められる機能性も確保。コンパクトな敷地の制約を、豊かな暮らしへと転換した住まいです。
豊四季の家 ユウ建築設計室
柏市の旗竿敷地に建つ、延床約26坪のコンパクトな住まいです。周囲を住宅に囲まれた環境の中で、光を最大限に取り込むために2階リビングを採用しました。バルコニーに面する開口部は斜めの壁で視線を巧みにコントロールし、明るさとプライバシーを両立しています。モルタル調サイディングの外観に、梁や柱を現しとした温もりのあるインテリアが調和。DIYも取り入れながらコストを抑え、工夫と創意によって豊かな暮らしを実現した住まいです。
旗竿地の家 ジュウニミリ建築設計事務所
敷地は40〜50年前に位置指定道路によって宅地化された5区画の一画で、四方を隣地に囲まれた旗竿地です。開放性とプライバシーが共存する「本当に贅沢な空間」をテーマに、明るく守られた住まいが求められました。1階中央に食堂を据え、台所や和室、居間、縁側などが取り囲む構成とし、吹抜けにより上階から採光を確保。日本的な距離感の調整を暮らしに取り込み、日々の変化を楽しむ住まいとしています。
大型犬2匹のためのスロープハウス 充総合計画一級建築士事務所
大型犬2匹と快適に暮らすために計画された、屋上まで続くスロープのある住まいです。愛犬たちは階段を使うことなく、住まい全体を自由に行き来できます。通常、スロープは長い動線と広い床面積を必要としますが、本住宅では人用の緩やかな階段を併設することで、空間効率とコストのバランスを実現しました。愛犬へのやさしさと建築的合理性を両立した設計です。さらに、耐震等級の向上に加え、繰り返しの地震に備える制震構造を採用し、安心して長く暮らせる住まいに仕上げています。
富雄の家 井上久実設計室
風致地区ならではの統一感ある街並みが広がる奈良市富雄の住宅地に建つ、夫婦それぞれのアトリエを併設した住まいです。家族の暮らしや趣味、創作活動を受け止める場として計画され、住まい手の個性を建築に丁寧に映し出しました。周囲の景観との調和を大切にしながらも、画一的ではない豊かな表情を備え、多様な暮らしが街に彩りと活気をもたらすことを目指した住宅です。
SOMMELIER FLAT kurachiffon 瀧内未来一級建築士事務所
築33年・102㎡の庭付きマンションを、家族の暮らしに合わせて再編集したリノベーションです。風と光が通り抜ける開放的な間取りへと再構成し、斜めに設えたリビングドアが庭の緑へと視線を導きます。住まいの中心となるキッチンカウンターには、家事や仕事、子どもの成長を支える工夫を集約。収納や動線を丁寧に整え、忙しい毎日を心地よく支える住まいを実現しました。
西大海道の家 後藤耕太建築工房
一宮市の住宅地に建つ住まいです。敷地の東側には幼稚園があり、人通りの多い道路にも面していたため、外部の視線や環境を適度に遮ることが求められました。東側に大きな壁を設けて開口を抑え、中庭や坪庭を配置することで、外部からの視線を遮りながら自然を取り込む計画としています。外観は落ち着いた佇まいですが、内部には庭に囲まれた開放的な空間が広がります。適所に設けた庇が日射や雨を和らげ、リビングからは誰にも邪魔されない中庭の景色を楽しめる、リゾートのような心地よさを備えた住まいです。
里山の家 株式会社 富谷洋介建築設計
土地探しから計画した、都市で働きながら北海道の自然を身近に感じられる住まいです。札幌郊外の高台に建物を北側へ寄せ、南側には広い庭を確保。大きな窓で庭と室内をつなぎ、リビングからはスキー場の風景を望めます。吹き抜けのLDKや広い土間、効率的な家事動線に加え、高断熱・高気密性能とハイブリッド熱源を採用。薪ストーブや雪景色を愉しみながら、四季の移ろいと快適な暮らしを両立しています。
ぞうのいえ 小島光晴建築設計事務所
内と外に大小さまざまな居場所と庭をちりばめた住まいです。季節や気分に合わせて心地よい場所を選びながら過ごせる一方で、家族の気配を緩やかに感じられる空間構成としています。視線や音、香りを通して自然につながり、近づいたり離れたりできる距離感が、この家の豊かさを生み出しています。モバイル化によって暮らしの場所が自由になった現代だからこそ、自分らしく過ごしながら家族や風景の存在を感じられる環境を追求。おおらかな空間は、娘さんが名付けた「ぞうのいえ」の愛称にふさわしい住まいとなっています。
薪ストーブと太陽光発電、井戸水利用のエコな2世帯住宅 一級建築士事務所 光設計
真言宗の住職を務めるご家族のために計画された、地域に開かれた二世帯住宅です。大きな土間玄関には和室の小上がりを設け、檀家の方々が気軽に集える場を創出。既存の井戸を活かした配置計画や、散水・トイレ用水への再利用など、土地の記憶を未来へとつなぎます。太陽光発電や薪ストーブも取り入れ、環境に配慮した暮らしを実現。住まいでありながら、人々の交流と地域とのつながりを育む、温かな拠点となっています。
都会の民家 根岸達己建築室
骨董を愛する奥様の民家のような住まいと、息子さんの求めるRC打放しの堅牢な住宅という相反する要望を調和させて計画した住まいです。現代的な打放しの門構えの先には古材の蔵戸が設けられ、開けば荒木田土の土間が広がる吹抜空間へと続きます。長野で選び抜いた古材梁や杉板の床が、都市にいながらも懐かしさと安らぎをもたらし、時間の流れを穏やかに感じさせる住まいとなっています。
八潮のガレージハウス ことこと設計室
三方向を隣家に囲まれた住宅地に建つ、5人家族のための住まいです。プライバシーの確保と開放感の両立をテーマに、1階にはバイクガレージを備えたコンクリート打放しの趣味空間を、2階には木の温もりに包まれた大らかなLDKを配置しました。中央の螺旋階段が空間を立体的につなぎ、トップライトから降り注ぐ光が住まい全体に広がりをもたらします。道路側に開口を設けない構成でありながら、素材や光の扱いを丁寧に積み重ねることで、明るく伸びやかな住環境を実現しています。
YAMANARI 〜山の稜線を取り込む家〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
徳島の豊かな山並みに抱かれる、すだち農家の若夫婦のための住まいです。高台という立地を活かし、2階リビングや畳コーナーから雄大な緑を望む開放的な空間を計画しました。母屋との関係には、大きな土間や吹抜けを介して緩やかなつながりを持たせながら、視線を適度にコントロールすることで心地よい距離感を実現しています。ラワン合板や無垢のアカシア材など自然素材を用いたインテリアが周囲の風景と呼応し、四季の移ろいを身近に感じられる住まいとなっています。
旭ヶ丘の家 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
仙台市街を見渡す高台の住宅地に建つ、光と風、風景を楽しむための住まいです。大きな窓を備えたコモンスペースや、ペレットストーブのある土間続きのLDKからは、伸びやかな眺望が広がります。暮らしの中心にはキッチンとテーブルを一体化した大きな「みんなのキッチン」を配置し、吹き抜けを介して各室が緩やかにつながる構成に。家族が適度な距離感を保ちながら集い、それぞれの趣味や創作活動を楽しめる、開放的で心地よい住まいです。
つくばみらいの家 内田雄介設計室
新しい住宅が建ち並ぶ郊外の住宅地に建つ住まいです。北側に広がる農地と、その先に続く大きな空を暮らしの中へ取り込むことをテーマに計画しました。キッチンからダイニング、リビングへと連なる空間は、遠景へと視線を導く伸びやかな構成としています。シンプルな屋根が生み出すゆとりある天井と、印象的な出窓が空間に奥行きを与え、窓辺にはいつも穏やかな時間が流れます。風景とともに安らぎを育む住まいです。
狛江の家Y邸 株式会社 中村高淑建築設計事務所
ハーレーダビッドソンを愛でるバイクガレージを、玄関と一体化して設けた住まいです。スペースを共有することで、コストと法規制による面積の制約を抑え、コンパクトにまとめています。壁と外壁の一部には大谷石を採用し、門扉を兼ねる大型可動フェンスが外部との緩やかな境界をつくります。吹き抜けのあるLDKには竹薮越しの光が届き、あらわしの構造材が素朴で温かな雰囲気を添えています。
岩井のビーチハウス 多田建築設計事務所
遠浅の岩井海岸と漁港を望む穏やかな環境に建つビーチハウスです。都会の喧騒から離れ、家族や仲間とゆったりとした時間を過ごすための場として計画されました。白く塗装した無垢材の外壁が海辺の風景に映え、大開口からは海と山の眺望を取り込みます。建物中央にはパティオを設け、玄関から続く土間と海側のテラスを緩やかにつなげました。木製サッシがもたらす温もりと自然光に包まれた空間は、海辺の暮らしを豊かに彩ります。
入れ子構造の古民家改修|透き間の家 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
奈良市に建つ大正期の住宅を再生したリノベーションです。雨漏りや蟻害で傷んだ建物に対し、建替えが難しい条件と町家への思いから改修を選択。中心にコンパクトな居間を据え、耐震・断熱性能を現代的に強化しました。周囲を玄関や縁側、書庫などの半屋外空間で包む入れ子状の構成とし、内外が緩やかにつながる町家らしい空間を継承しています。