料理を楽しむ家|設計事務所による注文住宅実例19選 著者:クラスキ編集部
料理を楽しむ家では、キッチンが食事をつくるためだけの場所ではなく、家族が集まり、会話や時間を共有する空間として住宅の中心に置かれることがあります。キッチンとダイニングを連続させたり、リビングまで視線が抜ける構成にしたりすることで、料理をしながら周囲の気配を感じられる住まいもあります。作業台や収納、家電の配置が一体となったキッチンは、調理の風景そのものを室内の景色として見せることもあります。窓からの光や庭とのつながりが加わることで、食事を囲む時間まで含めた豊かな暮らしの場が生まれます。料理を楽しむ家というテーマが実際の住宅でどのように建築として表現されているのか、設計事務所による注文住宅の実例を紹介します。
KAN 充総合計画一級建築士事務所
10階からの眺望を最大限に活かしたマンションリノベーションです。東側には都心の景色、南西側には富士山を望む恵まれた立地に対し、個室やキッチンの配置を見直すことで、日常の中で景観を楽しめる住まいへと再構成しました。共用スペースは眺望に向かって大きく開かれ、これまで活用されていなかった東側のデッキはキッチンとつながるアウタールームとして再生。可動間仕切りも取り入れ、開放性と柔軟な使い方を両立した住空間を実現しています。
IMAGINE 吉デザイン設計事務所
リノベーションで生まれた「IMAGIN」は、日常にささやかな物語性を添え、想像力を刺激する住まいです。空間の中心には家族が集う全長約5メートルの開放的なキッチンを配置。シンデレラの階段をイメージした遊び心溢れるシューズルーム、幾何学的なデスクが佇む読書スペース、そしてホテルライクなマスターベッドルームがシームレスに繋がります。機能性の中に楽しさをデザインした、暮らしの美学が息づく建築です。
美しが丘西の家I邸 株式会社 中村高淑建築設計事務所
アートディレクター・デザイナーであり、アーティストでもある伊波サチヨさんとご家族、2匹の猫が暮らす住まいです。建築をこよなく愛し、自邸を建築家に依頼することを夢見ていた伊波さんの人柄を映す、明るく品のある家。丘と空を望むLDKは、料理をしながら家族や友人と過ごせる開放的な空間とし、将来は子ども室をアトリエやSOHOに転用できるなど、家族の変化にも柔軟に対応します。週末には友人や仕事仲間が集う、猫たちとともに暮らしを楽しむ住まいです。
回遊性メゾネットの更新|更紗の家 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
建築家・遠藤剛生氏設計の集合住宅の一室を対象としたリノベーションです。特徴的なメゾネット構成や回遊性のある動線を活かしつつ、老朽化した設備や断熱・防音性能の更新に対応しました。長年住み続けてきた使い慣れた間取りを尊重しながら、問題点を丁寧に改善。既存の設計思想を継承しつつ発展させる“接ぎ木”のようなリノベーションの形を提案しました。
なごみキッチン 海いろ 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
遠く仙台港を望む小高い丘の上に建つ、夫婦のための終の棲家です。牧歌的な風景に包まれた敷地に、穏やかで心豊かな暮らしを育むコンパクトな住まいが計画されました。限られた面積の中でも快適性を高めるため、諸室の配置や動線を丁寧に整理し、行き止まりのない回遊性のあるプランを採用。日々の移動を自然で心地よいものにしながら、暮らしにゆとりと広がりをもたらしています。風景とともに静かに歳月を重ねる、上質な住まいです。
cherry blossom 株式会社 一級建築士事務所 アトリエマナ
高層ビル群を望みながら、下町の風情と旧宣教師館、大桜が残る歴史豊かな環境に建つ住宅です。共働きの夫婦が、ワインや料理、車を楽しみながら寛げるよう、住まいはシンプルなコートハウスに。各室から桜を感じられるよう、前面には有効レンガのファサードを設け、陰影越しに空と大桜を望める構成としました。周囲との調和を図り、落ち着いた色調で、明るさを抑えたラグジュアリーな空間を実現しています。
UEHARA APARTMENT kurachiffon 瀧内未来一級建築士事務所
築17年・38㎡のマンションを、夫婦の豊かな家時間を育む住まいへと再構成したリノベーションです。既存の魅力を活かしながら、収納や家具、キッチンを丁寧に刷新。視線が対角線に抜ける開放的な空間構成や、多目的に使える造作家具によって、限られた面積以上の広がりを実現しました。友人たちを招いて食卓を囲み、料理と会話を楽しむ、パリのアパルトマンのような心地よい暮らしが広がっています。
つくばみどりのの家 ユウ建築設計室
新たな街並みが広がる開発エリアに建つ、コーヒースタンドを併設した住まいです。住宅と店舗が自然に共存する構成とし、住宅部分にはガルバリウム鋼板、店舗部分には焼杉を採用することで、素材の対比を活かしながら周辺環境に調和する外観を実現しました。断熱等級5のZEH水準に加え、樹脂サッシや床下を活用した第一種換気システムを採用し、一年を通して快適な室内環境を確保。暮らしと仕事、地域とのつながりを心地よく育む住まいです。
館山の家 多田建築設計事務所
千葉県館山市の国定公園内に建つ、海と自然を楽しむためのセカンドハウスです。防風林越しに水平線を望む恵まれた環境を活かし、海側に大きく開いた開口と、隣家側を抑えた端正な構成を採用しました。釣りを楽しむための広い土間や、深い軒の濡れ縁が内外を緩やかにつなぎます。建具によって空間の使い方を柔軟に変えられるほか、特徴的な屋根架構が伸びやかな室内に個性を与えています。無駄を削ぎ落としたミニマルな住まいは、海風とともに豊かな時間を育みます。
囲炉裏のある趣味満載の家 設計事務所アーキプレイス
南北に長く高低差のある敷地に建つ、ご夫婦のための終の住まいです。3つのボリュームに同じ勾配の屋根を架け、周囲に調和する端正な外観としました。住まいの中心には掘り炬燵式の囲炉裏を備えた和室を設け、語らいや趣味を楽しむ場としています。吹抜けやスキップフロアで各室を立体的につなぎ、家族の気配を感じられる開放的な空間を実現。耐震等級3とHEAT20 G2レベルの断熱性能も備えた、快適に永く暮らせる住まいです。
薪ストーブのある家 根岸達己建築室
かつて高架線の影響で北側に庭、南側に建物を寄せた「南北逆転の家」が並ぶ地域での建て替え計画です。旧来の住まいは日中も照明が必要で冬は寒く、明るく暖かな住環境が強い要望でした。30坪弱の敷地条件の中、プライベート空間を効率よくまとめ、パブリック空間にゆとりを確保しています。隣家が近接するためハイサイドライトやトップライト、縦格子から柔らかな光を取り込みました。キッチンは施主による制作で、小さくも機能的な空間となり、日々の料理が楽しみになる住まいです。
hideaway 水戸のビルリノベーション e do design 一級建築士事務所
「大人の隠れ家」をテーマに、かつてテナントや事務所だった空間を、ご夫婦2人のための住まいへとリノベーションしました。広々としたLDKは、仕事仲間や友人が集うバーのような雰囲気を持ちながら、料理や会話を楽しむ夫婦の場所にも。フルオーダーのキッチンや壁面収納が、落ち着きと上質な時間を演出します。仕事と暮らし、趣味と休息が心地よく共存する、日常に少しの非日常を添えた住まいです。
LOLO 〜キッチン空間アイデア デザインコンテスト 最優秀賞〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
大きな中庭を中心に据えた、ロの字型の住まいです。二層分の壁に囲まれた中庭は外部からの視線を遮りながら、光や風を住まいの奥まで導きます。リビング・ダイニングは、緑豊かな外庭とデッキを備えた中庭に挟まれ、四季の変化を身近に感じられる贅沢な空間に。中庭を巡る回廊が日常の動線に豊かな景色をもたらし、暮らしに心地よいリズムを生み出します。バスコートや屋上デッキも備え、住まい全体で自然とつながる開放的な暮らしを実現しています。
凹と凸 小島光晴建築設計事務所
住宅密集地の角地に建つ住まいです。東西を収納帯とすることで周囲との距離を確保し、その中央に家族のための大らかなワンルーム空間を配置しました。光や風、視線を丁寧にコントロールしながら、床レベルの変化や階段、スロープが多彩な居場所を生み出しています。一方で個室はテラスへと開き、近隣との緩やかな交流を促す構成としました。一般的な住宅の「家族室を開き、個室を閉じる」という関係を反転させることで、家族の親密さと地域とのつながりを同時に育む住まいとなっています。
三鷹の家 望月建築アトリエ
緑豊かで静かな住宅地に佇む、プライベートな中庭を抱く住まいです。室内に入ると中庭とLDKが広がり、1階には庭を望むキッチン、吹抜けのダイニング、一段下がった造付けソファのリビング、水回りを配置。2階にはピアノ・図書スペースと個室を設けています。外壁には無機質な窯業系パネルを用い、内部は桧の天井板やシックイ塗装で仕上げました。自然な暮らしに寄り添う、優しく洗練された住まいです。
Ue house 市井洋右建築研究所
閑静な住宅地に建つ、長く使われていなかった隣家をセカンドハウスへと改修しました。来客をもてなす場であり、趣味の読書に没頭できる空間でもあります。落ち着いたトーンのLDKには、壁一面の本棚や暖炉を組み込み、静けさの中に豊かな表情を添えました。宙に浮くようなキッチンカウンターは、ワインを楽しむ場やフード付きの鉄板焼きテーブルとしても機能し、日常を離れた上質な時間を生み出しています。
上野芝の家 Abax Architects
閑静な住宅地の高台に建つ、約40坪の住まいです。西側に広がる眺望を最大限に活かすため、2階にリビングダイニングを配置し、豊かな光と風景を室内へと取り込みました。内装には木をふんだんに用い、温もりのある落ち着いた空間をつくり上げています。キッチンをはじめとする家具はオリジナルで製作し、空間と一体となるよう丁寧に計画されています。眺望と素材感が調和した、心地よい時間が流れる住まいです。
小さな写真室のある家 佐賀高橋設計室
既存の間仕切りを解体し、大きなワンルームとして再構成することで、家族が一体となって過ごせる住まいを目指しました。空間の中心には約3メートルの大きなテーブルを据え、日常の場の核としています。黒板塗料を施した青い壁や、来客時に空間を柔軟に仕切る可動式壁など、暮らしを楽しく変化させる仕掛けを随所に取り入れた住まいです。
双奏の家 株式会社 富谷洋介建築設計
都市部の住宅街に建つ住まいです。周囲からの視線を抑えながら、2階LDKとハイサイドライトから自然光を取り込み、穏やかで開放的な空間をつくりました。住まいの中心には造作キッチンを据え、家族が料理や食卓を囲む時間を暮らしの軸に。一方、1階には愛車や趣味を愉しむガレージを設けています。それぞれの時間を大切にしながら、互いの気配を感じられる住まいです。断熱性能にも配慮し、快適性と省エネルギー性を両立しています。