設計事務所アーキプレイス
和モダンな家|設計事務所による注文住宅実例17選|日本の美と現代の暮らしが交わる住まい
著者:クラスキ編集部
和モダンとは、日本の伝統的な建築や意匠が持つ美意識、間の感覚、素材の質感、光と影の対比を現代的な空間設計と融合させたスタイルです。漆喰や木・石・和紙といった自然素材を現代的な構法で用いること、格子や引き戸などの和の建具を現代的な空間に取り込むこと、水平ラインと低い目線が生む落ち着きのある空間構成など、その表現は多岐にわたります。設計事務所は「和」を表面的な装飾として扱うのではなく、空間の本質から丁寧に設計することで、時代を超えて美しく、日本の風土に根付いた住まいを実現します。静かな豊かさを宿す和モダンの事例をご紹介します。
龍ヶ崎の住まい
株式会社 松本直子建築設計事務所
平屋を中心とした、和の趣を感じる住まいです。一部子供室のみ二階へ配置し、深い軒や離れの和室によって、落ち着きのある佇まいを形成しました。広がりのある平面に対して複数の中庭を設けることで、住まいの隅々まで光と風が巡る豊かな環境を創出しています。リビングは床を少し下げ、庭と近い暮らしを楽しめる居場所に。一方、離れの和室は庭を見渡す高さに設け、内と外のつながりを感じられる空間としました。
小高の母屋
株式会社 SPAZIO建築設計事務所
小高の改修は、「離れ」「母屋」「広場」からなる段階的なリノベーション計画です。2016年に「離れ」を住居として再生し帰還の拠点を整備、その後、親族の交流を担う「母屋」と「広場」を改修し、2019年に完成しました。「離れ」は現代的に一新する一方、「母屋」は囲炉裏や客間を保存し、煤竹や古材を再活用することで、歴史と記憶を継承しています。
鵜沼の家
後藤耕太建築工房
濃尾平野の北端、山地へと切り替わる高低差のある敷地に建つ建築家の自邸です。正方形の平面を45度振ることで、主要道路や隣家からの視線を避けながら開放感とプライバシーを両立しました。敷地の高低差を活かし、2階を主な生活空間として計画。コンクリートと木による混構造とし、素材そのものの質感を生かしています。ダイニングを中心に回遊性のある暮らしを実現し、無垢材や真鍮、石など経年変化を楽しめる素材を採用。南に広がる田園風景と調和しながら、時とともに風景に馴染む住まいを目指しました。
下鴨の家
越前良太デザイン研究所
京都・下鴨の歴史ある街並みに寄り添い、日本建築が持つ曖昧さや可変性を現代的に再解釈した住まいです。軒や通り土間、濡れ縁などを通して内と外を緩やかにつなぎ、光や風、季節の移ろいを暮らしへ取り込みました。用途を限定しない余白のある空間構成により、住まい手の成長や時間の変化に柔軟に応答。住宅を完成された器ではなく、人と環境、そして暮らしの関係性を育み続ける「場」として設計した住まいです。
薪ストーブと太陽光発電、井戸水利用のエコな2世帯住宅
一級建築士事務所 光設計
真言宗の住職を務めるご家族のために計画された、地域に開かれた二世帯住宅です。大きな土間玄関には和室の小上がりを設け、檀家の方々が気軽に集える場を創出。既存の井戸を活かした配置計画や、散水・トイレ用水への再利用など、土地の記憶を未来へとつなぎます。太陽光発電や薪ストーブも取り入れ、環境に配慮した暮らしを実現。住まいでありながら、人々の交流と地域とのつながりを育む、温かな拠点となっています。
浄明寺リノベ
佐賀高橋設計室
築60年の木造平屋をリノベーションした住まいです。既存の平面に斜めの木の壁を作り、一部を勾配天井とすることで空間にリズムを与えています。猫間障子からやわらかな光が差し込み、グレーの壁は黒板としても機能します。壁には愛猫のための小さな通路を設け、家具的なキッチンと業務用キッチンを組み合わせるなど、細やかな工夫が随所に散りばめられた住まいです。
もくかみハコの家|練馬のジャパンディな戸建てリノベーション
株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
中古住宅を購入した施主とともに既存の魅力を丁寧に読み解き、再構築したリノベーションです。小屋裏収納を開放的なロフトへと変え、吹抜けとつながる伸びやかな空間を実現しました。収納を兼ねた箱階段や障子、既存の古材を活かしながら、土間やコンパクトな和室を設けることで暮らしの幅を広げています。和の趣と北欧的な心地よさが調和する、ジャパンディスタイルの住まいです。
淡路島さくらの家
井上久実設計室
淡路島東海岸の豊かな自然に囲まれた敷地に計画された、スポーツ医学を専門とする医師の診療所兼住宅です。大阪湾を望む眺望と山の緑を享受しながら、風や虫、獣害といった自然環境への配慮も重視しました。住居・診療所・浴室の3つのボリュームを、高さの異なる構成で並べ、それらを線状に伸びる“縁側”で接続。縁側は単なる通路ではなく、自然と触れ合うための居場所として機能します。可動式の網メッシュにより通風と防虫性を両立し、風景を楽しみながら快適に過ごせる空間を実現。地域との新たなつながりを育む拠点となることを目指した住まいです。
南山の家
内田雄介設計室
丘陵地を切り開いた開発地に建つ住まいです。周辺環境の変化に左右されない普遍的な美しさと、時の移ろいを穏やかに受け入れる住まいを目指して計画しました。中庭と吹抜けを効果的に配置することで、建物全体に光と風が巡る開放的な空間を実現。リビングのフルオープン窓は内と外を緩やかにつなぎ、豊かな緑を暮らしの中へ取り込みます。自然の気配を身近に感じながら、四季とともに心地よく暮らせる住まいです。
雪国の増築
佐藤宏尚建築デザイン株式会社
雪国に建つ既存の母屋に、家族が集うダイニングと2つのベッドルームを増築した住まいです。増築部分は既存の屋根勾配をそのまま延長することで、母屋との連続性を保ち、落ち着いた佇まいに仕上げています。無垢のスチール柱による大開口は全面開放が可能で、季節や暮らしに応じた柔軟な使い方を実現。トップライトとミラーが光を室内へ広げ、雪国の住まいに明るさと開放感をもたらしています。
西京極の住宅
株式会社 イン・エクスデザイン
生まれ育った実家へ戻る家族と母親のために計画された、築40年の木造住宅の二世帯リノベーションです。状態の良い既存躯体を活かしながら、必要最小限の構造改修と耐震補強を施し、新たな暮らしにふさわしい住空間へと再生しました。父親が手がけた庭も大切に残し、その風景と室内が呼応する構成に。古材や既存の木組みを随所に活かしながら、将来の可変性や本家としての受容力も備え、家族の記憶と新しい時間が穏やかに重なる住まいとなっています。
北鎌倉の家
多田建築設計事務所
北鎌倉の谷あいに佇む、藤棚に迎えられる住まいです。敷地と道路の約2.5mの高低差を活かし、地下をRC造、上部を木造とする混構造としています。玄関を抜けると路地のような空間が現れ、そのまま1階リビングへと自然に導かれます。生活動線は1階で完結し、くすの木のダイニングテーブルや鎌倉岩の土を用いた曲面壁を中心に、回遊性のある構成としています。地下には音楽室、北側には三畳の茶室を設け、暮らしに静かな遊びを添えています。外観は入母屋屋根の和の意匠、内観は石やアイアンを用いた有機的な表情でまとめています。
けいはんなの住まい
木村哲矢建築計画事務所
床や壁に比べ、自由度が高く見過ごされがちな「天井」に着目した住まいです。国宝・待庵の変化に富んだ天井に倣い、場所ごとに高さや素材、意匠を細やかに変えました。杉板や竿縁、真鍮の目地棒、あらわし梁などを組み合わせ、玄関から居間、食堂、寝室まで、それぞれ異なる表情を生み出しています。天井の構成が、日々の暮らしに豊かな奥行きと彩りを添えています。
丁寧に暮らす家(リノベーション)
芦田成人建築設計事務所
定年後を見据え、ご夫婦二人のこれからの暮らしを整えるリノベーションです。「丁寧に暮らしたい」という住まい手の想いを受け、落ち着きのある上質な空間を目指しました。計画では、日常の中で自然とこもりたくなる“余白の居場所”を設け、住まいに多様な過ごし方を生み出しています。素材や天井高、開口部の形状や配置を丁寧に調整することで、場所ごとに異なる景色や居心地を演出。時間を重ねるほど愛着が深まる住まいです。
甲子園の家
Abax Architects
街の記憶を宿す石垣をそのまま残し、鉄筋コンクリート造で構成した住宅です。ふたつの小さな中庭を介して光と風を巧みに取り込みながら、外部からの視線を遮り高いプライバシーを確保しています。柔らかな質感の素材を用いることで、堅牢な構造の中にも穏やかで優しい空間で構成された住まいです。
草臥の家|戦前のニコイチ長屋の片側リノベーション|草臥れの家
株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
奈良県橿原市八木町の昭和戦前期築のニコイチ長屋の東半分を改修した住宅です。東半分をスケルトンにしてベタ基礎を敷設し、柱梁を入れ替え・継ぎ接ぎして耐震補強を行いました。玄関は解体のうえ再利用可能な部材で組み直しています。南北の庭に開いた風通しの良い居間を中心に回遊性の高い間取りへ変更しました。床・壁・天井に断熱施工を行い、設備と外部建具は全て交換し、木製建具は可能な限り補修して再利用しました。
旗竿地の家
ジュウニミリ建築設計事務所
敷地は40〜50年前に位置指定道路によって宅地化された5区画の一画で、四方を隣地に囲まれた旗竿地です。開放性とプライバシーが共存する「本当に贅沢な空間」をテーマに、明るく守られた住まいが求められました。1階中央に食堂を据え、台所や和室、居間、縁側などが取り囲む構成とし、吹抜けにより上階から採光を確保。日本的な距離感の調整を暮らしに取り込み、日々の変化を楽しむ住まいとしています。
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