横並びダイニングの家|設計事務所による注文住宅実例11選 著者:クラスキ編集部
キッチンとダイニングを横一列に並べた空間は、食事の準備から片付けまでの動きが一つの方向につながり、すっきりとした印象を生み出します。横並びダイニングの家では、キッチンと食卓の距離が近くなることで、料理をする人と食事をする人が同じ空間を共有しやすくなります。また、家具の配置が整いやすく、リビングや庭など別の空間とのつながりもつくりやすい点が特徴です。キッチン、ダイニング、リビングがどのような順序で並ぶかによって、視線の抜け方や家族の気配も変わります。単に設備を横に並べるだけではなく、住宅全体の動線や窓からの景色、収納との関係まで含めて計画されることで、暮らしの風景が形づくられます。設計事務所による注文住宅の実例を通して、横並びダイニングが住まいの空間構成にどのような特徴をもたらしているのかを紹介します。
大垣の平屋 祐成大秀建築設計事務所
分譲地の角地に建つ、インナーガレージを備えた平屋住宅です。ガレージは趣味の車やバイクのメンテナンスを楽しめる、暮らしの一部となる場所として計画しました。南側は建物が敷地いっぱいに建つため開口を抑えつつ、東西や上下に窓を設けることで視線の抜けと光を確保。さらに隣家の植栽を借景として取り込むことで、リビングに心地よい緑の景色を生み出しています。限られた条件の中で、明るさと広がりを感じる住まいです。
Circle House 吉デザイン設計事務所
つくば市に建つ「Circle House」は、夫婦と3人の子どものために設計された住まいです。水面に広がる波紋を思わせる層状の外壁が建物全体を包み込み、外部からの視線をやわらかく遮りながら光と風を取り込みます。白い壁のレイヤーが生み出す奥行きある外観に、レッドシダーのアクセントが印象的。内部はオーク材や畳、モルタル仕上げのキッチンを用い、和の趣とモダンヴィンテージが調和する、落ち着きと開放感を兼ね備えた住まいです。
Nezu Flat kurachiffon 瀧内未来一級建築士事務所
築35年の2DKを、4人家族のための住まいへと再生したスケルトンリノベーションです。限られた面積を立体的に活用し、小上がりやロフトを設けることで広がりのある空間を実現。視線が窓の先まで抜ける動線計画や、白を基調とした内装、天井を現しとする手法によって開放感を高めました。家電をキッチンカウンター内に収めた機能的な収納計画も特徴で、家族が自然と料理に参加できる、暮らしに寄り添う住まいとなっています。
世帯をつなぐ《間》のある家 AtelierMA
東京都大田区の住宅地に建つ、親世帯と子世帯が心地よい距離感で暮らす二世帯住宅です。複数のボリュームを組み合わせることで、それぞれの生活領域を緩やかに分けながら、一つの住まいとしての一体感を実現しました。中央に設けたバルコニーは、家族が自然に集い交流を深める共有の場。独立性とつながりを両立し、世代を超えた豊かな関係性を育む住まいとなっています。
集光の家 株式会社 富谷洋介建築設計
札幌市中心部に近い住宅密集地に建つ住まいです。将来、周囲に建物が増えても自然光を確保できるよう、南側の中庭と吹き抜け、2階の大開口、3階高さのハイサイドライトを組み合わせ、異なる高さから光を導く構成としました。中庭に面する壁の形状によって反射光や間接光も取り込み、階段室は自然換気塔として機能。都市のプライバシーを守りながら、光と風に満たされた開放的な住環境を実現しています。
中庭のある家 根岸達己建築室
中庭を中心に計画された、自然とともに暮らす住まいです。家のどの場所にいてもシンボルツリーの姿を感じられるように設計され、窓越しに広がる緑が日々の暮らしに穏やかな彩りを添えます。見る場所によって異なる表情を見せる庭の風景は、季節や時間の移ろいとともに変化し、住まいに豊かな奥行きをもたらします。内と外が緩やかにつながる空間の中で、四季の気配を身近に感じながら過ごせる、静かで心地よい住まいです。
白金の家 株式会社 中村高淑建築設計事務所
白金の閑静な住宅地に建つ、東京の眺望を暮らしに取り込んだ住まいです。高低差のある敷地を活かし、3階には東京タワーや六本木ヒルズ、周囲の緑を望む眺望デッキを設置。2階のLDKにはL型の出窓やたたみコーナーを設け、吹抜けとスケルトン階段によって光と視線が上下階をつなぎます。限られた敷地の中に、都心ならではの眺望と開放感を巧みに取り込んだ住まいです。
下鴨の家-テラスのあるマンションリノベーション- 乗松得博設計事務所
シンプルでモノトーンなインテリアを基調に再構成した住まいです。既存の間取りを見直し、寝室と二つの子ども部屋、書斎を確保しながら、ダイニングキッチンをテラスに寄り添う位置へ移設しました。躯体や開口の魅力を活かしつつ間仕切りを丁寧に調整することで、テラスの先に広がる鴨川の風景へと視線が抜ける開放的な空間を実現。愛犬と過ごすリビングを中心に、家族が自然と集う心地よい暮らしの場となっています。
南森町の家 Abax Architects
ビル最上階に計画されたペントハウス住宅です。住まいの中心には中庭を設け、バーベキューを楽しめるテラスとして開放的な外部空間をつくり出しています。浴室はテラスに面して配置し、湯に浸かりながら植栽を眺められる構成とすることで、都市の中にいながらリゾートのような時間を味わえる住まいとしました。内と外が緩やかにつながることで、日常に特別な非日常性をもたらしています。
芦屋の家 井上久実設計室
JR芦屋駅近くの閑静な住宅地に建つ住宅の改築計画です。既存の地下駐車場躯体を活かし、上部の大規模な木造を解体して、コンパクトな木造2階建てへと再構成しました。道路側外壁に角度を持たせることで圧迫感を軽減し、街並みに調和する佇まいとしています。生まれた余白には草花を配し、周囲を彩ることで、この場所に新たな風景を育む住まいとなっています。
凹と凸 小島光晴建築設計事務所
住宅密集地の角地に建つ住まいです。東西を収納帯とすることで周囲との距離を確保し、その中央に家族のための大らかなワンルーム空間を配置しました。光や風、視線を丁寧にコントロールしながら、床レベルの変化や階段、スロープが多彩な居場所を生み出しています。一方で個室はテラスへと開き、近隣との緩やかな交流を促す構成としました。一般的な住宅の「家族室を開き、個室を閉じる」という関係を反転させることで、家族の親密さと地域とのつながりを同時に育む住まいとなっています。