根岸達己建築室
アンティーク好きの家|設計事務所による注文住宅7選|時を重ねた品々と生きる住まい
著者:クラスキ編集部
年月を経た家具や器、建具に宿る風合いを愛するアンティーク好きにとって、住まいの設計は「どう飾るか」以上に「どう共存するか」という問いかけになります。既製の住宅では、天井高や開口部の比率、床や壁の素材感がアンティーク品の雰囲気と合わないと感じることも少なくありません。設計事務所は、施主が大切にしているコレクションや家具の寸法・色調を考慮しながら、空間全体のトーンを慎重に調整します。古材を構造や仕上げに用いたり、時代を超えた素材同士の対話を意識した空間構成を提案することも。新しい建築の中に、時間の記憶が自然に息づく住まいの事例を紹介します。
House K/S
吉原環建築設計
本リノベーションは三世代家族の住み継ぎに合わせ、欄間・長押・貫穴などの従来ディテールを残し、上部に旧家の間取りを保存しつつ、自由な平面へ改修しています。真鍮で新旧木部を継ぎ、客間をLDKの大広間とし、モジュールと可動障子でハレとケを分離可能な可変空間としています。
小高の母屋
株式会社 SPAZIO建築設計事務所
小高の改修は、「離れ」「母屋」「広場」からなる段階的なリノベーション計画です。2016年に「離れ」を住居として再生し帰還の拠点を整備、その後、親族の交流を担う「母屋」と「広場」を改修し、2019年に完成しました。「離れ」は現代的に一新する一方、「母屋」は囲炉裏や客間を保存し、煤竹や古材を再活用することで、歴史と記憶を継承しています。
大きな土間床のある暮らし|西山の住まい
タイラヤスヒロ建築設計事務所
のどかな田園風景に建つ住宅で、古民家に見られる土間を現代の生活の一部として取り込んでいます。玄関からキッチン・ダイニングまで土間をフラットに繋ぎ、廊下をなくして土間・キッチン・ダイニング・リビングを田の字型に配置し回遊性を確保しています。柱・梁は新潟県産の越後杉を用い、『ふるさと越後の家づくり事業』の補助金を受ける事で、新潟での地産地消の安全・安心な家づくりを目指しました。
光の風の塔
井上久実設計室
大阪市生野区の住宅街に建つ住まいです。道路側は開口を抑え、中央階段上部から光と風を取り込む構成としました。東西にスキップフロアを設け、床段差の隙間を通じて空気と光が巡る計画としています。冬季は床下の暖気を階段で循環させ、室内環境を整えます。車庫や玄関土間は外部からの視線を遮りつつ一体的に使える空間とし、古材の既存家具と調和する落ち着いた住まいを実現しています。
西京極の住宅
株式会社 イン・エクスデザイン
本案件はクライアントの実家に母を迎えて単世帯から2世帯住宅とするリノベーションです。築40年の木造躯体は良好に残り、一部柱の移設と梁の架け替え以外はほぼ現状のまま再利用しつつ効果的な耐震補強を行っています。父が造った庭は基本的に剪定手入れで維持され、当時の庭景と新しい内部空間との関係を検討しています。個別設備の全改修、将来の間取り可変性、古い部材の再利用、木造躯体の露出と本家としてのキャパシティー確保を計画しています。
都会の民家
根岸達己建築室
施主の要望により、古材を用いた民家的要素とRC打放しの現代的外観をバランスよく組み合わさるように計画しています。門構えは現代的な打放しとし、大きな古材の蔵戸を開けると荒木田土を叩いた吹抜けの土間が広がります。長野で調達した古材梁と杉板の床、戸に植物性の自然油を塗った仕上げを採用しています。
住み慣れた住まいをより良く・より快適に|愛でる家
株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
奈良市北部に建つ築約40年の数寄屋風住宅のリノベーションです。耐震補強と断熱改修を行い、天井裏を活用して明るく開放的な居間を創出しました。和室は茶室へと再構成し、用途別の十分な収納を整備しています。既存の意匠を生かしながら、趣味の美術や骨董、庭を楽しめる環境を整え、将来にわたり快適に暮らせる住まいへと再生しました。
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