株式会社 イン・エクスデザイン
回遊動線|設計事務所による注文住宅9選|ぐるりとつながる、暮らしやすさの設計
著者:クラスキ編集部
回遊動線とは、住まいの中を一方通行ではなくぐるりと回れる動線計画のことで、間取りの自由度と暮らしやすさを高める設計手法のひとつです。キッチンを中心にパントリー・洗面・洗濯室をつなぐ家事動線の効率化、子どもが室内を走り回れる遊び場としての機能、複数の経路を持つことで風の通り道が生まれる通風計画など、回遊動線がもたらす恩恵は多岐にわたります。設計事務所は家族構成や一日の生活リズム、家事のスタイルを丁寧に把握しながら、動きやすく、ストレスのない動線を空間のデザインと一体で設計します。毎日の暮らしが自然とスムーズに流れる住まいの事例を紹介します。
倉敷の住宅
株式会社 イン・エクスデザイン
倉敷の美観地区へと続く幹線道路沿いに建つ、街並みとの関係性とプライバシーを丁寧に両立した住まいです。大半を占める平屋部分は、屋根を水平スリットで浮かせることで軽やかな表情を生み出しながら、外部には閉じた落ち着きある佇まいを形成。アプローチは中庭に沿って玄関へと導かれ、その周囲を包み込むように生活空間が配置されています。ほぼ平屋で完結する暮らしと、外部の視線を遮る中庭が、歴史ある街並みの中に静かで豊かな居場所をつくり出しています。
秋川の家
ことこと設計室
秋川丘陵の豊かな自然を望む傾斜地に建つ、暮らしとアウトドアが緩やかに溶け合う住まいです。芝生の中庭を中心に、LDKを備えた母屋と水廻り・ガレージを備えた離れを配置し、自然を身近に感じられる構成としました。空間の中心にはシンクを組み込んだ全長5mのダイニングテーブルを据え、家族や友人が集う場を創出。あえて造り込み過ぎないインテリアは、住まい手自身が手を加えながら育てていく余白を残しています。時間とともに風景も暮らしも成熟していく住まいです。
福田町の立体テラス
株式会社 SPAZIO建築設計事務所
商業地域に建つ木造3階建ての複合住宅です。1階をテナント、2・3階を住居とする構成とし、都市部ならではの制約に応えながら、木造ならではの温かみを活かした空間を実現しています。住居部分には吹き抜けや立体的なテラスを巧みに配置し、自然光や風を建物の奥まで取り込んでいます。家族の気配を感じられる緩やかなつながりを生み出しながら、周囲からの視線を遮ることでプライバシーも確保しています。都市の中で開放的に暮らすための工夫が詰まった住まいです。
緑あふれるアトリエのある家
設計事務所アーキプレイス
都内の住宅街にありながら、南側に豊かな緑が広がる敷地に建つ、デザイナー夫妻のためのアトリエ併設住宅です。1階には、陶芸家ルーシー・リーのアトリエを思わせる端正な陶芸空間と、ガーデニングを楽しむ庭を配置。2階はLDKを中心とした生活の場とし、吹抜けを介した回遊動線によってアトリエとのつながりを深めています。緑へと開かれたデッキテラスや螺旋階段が内外を緩やかに結び、創作と暮らしが自然に交差する住まいとなっています。
Kaleidoscope
澤村昌彦建築設計事務所
中庭とルーフテラスを持つ2世帯コートハウス。
鵜沼の家
後藤耕太建築工房
濃尾平野の北端、山地へと切り替わる高低差のある敷地に建つ建築家の自邸です。正方形の平面を45度振ることで、主要道路や隣家からの視線を避けながら開放感とプライバシーを両立しました。敷地の高低差を活かし、2階を主な生活空間として計画。コンクリートと木による混構造とし、素材そのものの質感を生かしています。ダイニングを中心に回遊性のある暮らしを実現し、無垢材や真鍮、石など経年変化を楽しめる素材を採用。南に広がる田園風景と調和しながら、時とともに風景に馴染む住まいを目指しました。
八ヶ岳のセカンドハウス
根岸達己建築室
標高1600mの八ヶ岳に建つ、自然と創作のための山荘です。冬には氷点下20℃にもなる厳しい環境に応えるため、深い軒を持つ寄棟屋根を採用し、雄大な自然に穏やかに溶け込む佇まいとしました。泥や雪、水を伴う山暮らしに対応するため、収納を中心に回遊できる動線を計画。建具の開閉によって風除室や来客用動線へと柔軟に切り替えられます。機能性と快適性を丁寧に磨き上げた空間は、四季折々の自然を楽しみながら創作に向き合うための静かな拠点となっています。
FOLD
充総合計画一級建築士事務所
耐震等級3に制震工法を付加した、高断熱仕様の完全分離型二世帯住宅です。周囲は建売住宅や隣家が迫り、良好な眺望が得にくい環境のため、コートハウス形式を採用し、プライバシーを確保しながら採光と通風を取り込む計画としています。道路側は街並みに配慮してボリュームを抑え、傾斜壁によって地域との関係性を表現しています。内部は回遊性のある動線と床レベルの変化、天井高の操作により多様な居場所を生み出し、自然素材とともに心地よい住環境を構成しています。
北鎌倉の家
多田建築設計事務所
北鎌倉の谷あいに佇む、藤棚に迎えられる住まいです。敷地と道路の約2.5mの高低差を活かし、地下をRC造、上部を木造とする混構造としています。玄関を抜けると路地のような空間が現れ、そのまま1階リビングへと自然に導かれます。生活動線は1階で完結し、くすの木のダイニングテーブルや鎌倉岩の土を用いた曲面壁を中心に、回遊性のある構成としています。地下には音楽室、北側には三畳の茶室を設け、暮らしに静かな遊びを添えています。外観は入母屋屋根の和の意匠、内観は石やアイアンを用いた有機的な表情でまとめています。
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