ホテルライクの家|設計事務所による注文住宅実例15選 著者:クラスキ編集部
ホテルライクの家は、日常の住まいでありながら、ホテルで過ごすような落ち着きや上質さを感じられる空間が特徴です。その魅力は高級感のある設備だけではなく、空間全体の整え方にあります。余計なものが視界に入りにくい収納計画や、素材や色合いを統一したデザイン、ゆとりのある動線などによって、すっきりとした心地よい空間がつくられています。また、照明の使い方や天井の高さ、窓からの景色の見せ方なども住まいの印象を左右する重要な要素です。ホテルのような空間は華やかさを競うものではなく、日々の暮らしを穏やかに支える環境として計画されることも少なくありません。設計事務所による注文住宅では、ホテルライクというテーマがどのように建築へ落とし込まれているのか、その実例を通して空間の魅力を探ります。
ヴィンテージマンションのリノベーション 佐藤宏尚建築デザイン株式会社
港区に建つ、日本初の高層マンションを現代に継ぐスケルトン・リノベーションです。既存の建築的価値を活かしながら、ガラスブロックやミラーによって光と視線が連続する伸びやかな空間を構成。イタリアンスタッコや貝灰漆喰、ウォールナットなど素材の質感を丁寧に重ね、既存の木製突板や大理石も再利用しています。さらに真空ガラスや独自の地中熱ヒートポンプを採用し、建築の記憶と快適性、環境性能を両立させています。
堺 槇塚台の家 井上久実設計室
堺市南区の高台の住宅地に建つ住まいです。南東に広がる眺望を最大限に活かすため、テラスを囲むL字型の平面構成を採用しました。厳しい斜線制限や高低差のある敷地条件に対応しながら、黒い勾配屋根のボリュームと白い壁のボリュームをレベル差でつなぎ、スキップフロアによる立体的な空間を実現しています。半地下の音楽室や駐車場、プライベートゾーンを段階的に配置し、最上階には眺望を楽しめるリビングと小上がりの和室を設けました。敷地の特性を活かしながら、多彩な居場所と豊かな景観を取り込んだ住まいです。
Villa Escargot 株式会社 廣部剛司建築研究所
海岸から約200mの高台に建つ週末住居です。崖と樹木を背に、東京湾を望む敷地に、三角形の袖壁が連続する自立的なボリュームを構築しました。玄関から光のグラデーションを経て、折板状の空間を進むと海と空が大きく開けます。半円形の水廻りや浴室を含む内部は、旋律のようなシークエンスでつながります。眠り目地の合板が連続する面を際立たせ、巻貝のような佇まいを生み出しています。
帝塚山東の家 Abax Architects
間口5.2m、奥行24.7mの細長い敷地に建つ、鉄骨3階建ての都市型住宅です。南側に広がる老健施設の庭の植栽を借景として取り込み、都市の中にありながら豊かな緑の気配を感じられる計画としています。建物中央には中庭と階段室を配置し、各室へ光と風を導く構成としました。中庭には竹を植え、雨の日には水が薄く溜まり水盤となって、静かな風景をつくり出します。都市の密度の中に、自然の気配を繊細に取り込んだ住まいです。
Wind Leave 株式会社 ファーイースト・デザイン・ラボ
海と山を望む高台の斜面に建つ、多拠点生活を想定した住まいです。リモートワークの増加をきっかけに、仕事と休暇の両方を過ごせる新たな拠点として計画されました。集中できる書斎や打ち合わせができる空間に加え、家族や友人が滞在できる柔軟なスペースを備えています。建物は木などの自然素材を用い、風景に溶け込むよう配置。窓からの景色も用途に合わせて計画し、海や山の眺めとともにゆったりとした時間を過ごせる住まいとなっています。
羽曳野の住宅 一級建築士事務所 Coo Planning
大阪府羽曳野市の角地に建つ木造平屋建ての住宅です。計画の見直しにより2階を省き、切妻屋根の勾配を活かした斜め天井で開放的な空間を実現しました。中庭を介してLDKをずらしながら連続させ、視線の広がりと多様な居場所を創出。個室を分散配置することで家族の適度な距離感を保ちます。黒を基調とした内装により、落ち着きあるホテルライクな住まいとしています。
lani *studioLOOP建築設計事務所
車4台分のガレージと、夏はプール、冬は水盤として使える水景を内包した住まいです。居住空間を大地から切り離し、下階は四隅に柱や壁のないピロティ形式の駐車スペースとしています。閉じた外観の1階から上階へ上がると、水面がアイレベルに広がります。白で統一した2階には水盤を囲むように居室を配し、反射光が室内の天井に揺らめきを描きます。ガラス張りの中庭では、空と水、反射による幾つもの水盤が重なります。
川辺の秘密基地 株式会社 MuFF
川辺に建つ週末住宅。高床式で湿気などの影響を最小限に抑えています。
ことのは 小島光晴建築設計事務所
豊かな木々に囲まれた敷地に建つ、自然と寄り添うことをテーマにした住まいです。舞い降りた葉が重なり合う情景になぞらえ、4枚の屋根を寄せ集め、その下に家族の暮らしの場を広げました。屋根は空間をやさしく包み込みながら、壁や屋根の隙間を通して木々や空、大地といった周囲の自然へ視線や意識を導きます。光や風の移ろいを日常の中に取り込み、季節や時間の変化を感じながら過ごせる設えとすることで、家族と自然が穏やかにつながる豊かな住環境を実現しています。
景色へとひらくデッキのある家 AtelierMA
高台の敷地条件を活かし、内と外、そして遠景を緩やかにつなぐ住まいです。シンプルな箱型の外観の内側には、大きなウッドデッキと一体となった開放的なLDKが広がり、視線は遠くの景色へと伸びていきます。浴室やストリップ階段を巧みに配置することで、光や風の流れを住空間全体に取り込みました。外付けブラインドや水平窓が環境を繊細に調整し、日常に豊かな広がりと心地よい余白をもたらしています。
Clip Box 吉デザイン設計事務所
都市の住宅地に建つ「Clip Box」は、コンパクトな規模の中に豊かな空間体験を生み出した住まいです。3枚の白い壁とモルタル仕上げの壁が重なり合う外観は、壁のレイヤーが生む陰影により、奥行きのある表情を与えています。内部はダイニングから階段を介して繋がるスキップフロア形式のリビング。必要な機能を収めたスムーズな動線によって、快適な生活空間が実現されています。
八ヶ岳のセカンドハウス 根岸達己建築室
標高1600mの八ヶ岳に建つ、自然と創作のための山荘です。冬には氷点下20℃にもなる厳しい環境に応えるため、深い軒を持つ寄棟屋根を採用し、雄大な自然に穏やかに溶け込む佇まいとしました。泥や雪、水を伴う山暮らしに対応するため、収納を中心に回遊できる動線を計画。建具の開閉によって風除室や来客用動線へと柔軟に切り替えられます。機能性と快適性を丁寧に磨き上げた空間は、四季折々の自然を楽しみながら創作に向き合うための静かな拠点となっています。
+UMI 〜リフォームデザインコンテスト 審査員特別賞/TDYリモデルスマイル作品コンテスト(TOTO) 優秀賞〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
瀬戸内海を望む住まいを、景色と暮らしが響き合う空間へと刷新したリノベーションです。海に向かって大きく開くデッキをアウトドアリビングとして設け、室内からも常に海の気配を感じられる構成としました。住まいの中心にはオープンキッチンを配置し、景色や会話を楽しみながら料理ができる環境を実現。映画鑑賞を楽しむシアタールームも備え、ゲストを招く際には一体的な大空間として活用できます。海とともに過ごす豊かな時間を丁寧にかたちにした住まいです。
創エネルギーの近未来型エコハウス 一級建築士事務所 光設計
太陽光発電と家庭用燃料電池「エネファーム」を組み合わせ、使用電力の約80%を自家発電でまかなう創エネルギー住宅です。外断熱と自然素材の断熱材による高い断熱性能に加え、高性能な開口部や気密施工によって快適な室内環境を実現。さらに、LED照明や省エネルギー性に優れた全館空調システムを採用し、創り出したエネルギーを効率よく活用しています。環境性能と快適性を高い次元で両立した、長期優良住宅認定の住まいです。
next つくば市 中庭のあるRC造の家 e do design 一級建築士事務所
「next」―60歳から始まる、次の人生を楽しむためのセカンドハウスです。これまで築き上げたビジネスを手放し、新たなステージへ進むための場所として、創作活動を楽しむスタジオやシアター機能を備えた空間、ゆったりと過ごせるLDK、サウナやトレーニングルームなどを計画しました。仕事、趣味、健康、暮らしのすべてを豊かに包み込み、これからの時間を思い切り楽しむための住まい。人生の新たな扉を開く、わくわくに満ちた「next」です。