インナーバルコニーのある家|設計事務所による注文住宅実例12選 著者:クラスキ編集部
バルコニーは屋外空間のひとつですが、建物の内側に包み込まれるように設けられたインナーバルコニーには独特の魅力があります。屋根や壁に守られた空間は、外の空気や光を感じながらも、室内に近い感覚で過ごせる場所となります。リビングと連続して計画されることで住まいに広がりが生まれたり、周囲からの視線をやわらげながら開放感を確保したりと、建築的にもさまざまな役割を担っています。また、天候の影響を受けにくいことから、暮らしの中で活用される場面も多く見られます。建物の外に張り出すバルコニーとは異なる空間体験を生み出す点も特徴です。設計事務所による注文住宅では、この半屋外空間がどのように住まいと結びつき、豊かな居場所として表現されているのかを実例から見ていきます。
彩都粟生南の家 ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
新しく開発されたニュータウンに建つ住まいです。周囲に建ち並ぶ住宅からプライバシーを守るため、2階のLDKやバスルーム、テラスを外壁で囲み、コートハウスのような内向きの構成としました。外部からの視線を抑えながら、採光と通風は上部から取り込むことで、閉鎖感のない心地よい住環境を実現しています。1階はピロティ状の車路とし、駐車スペースを通り抜けられる計画に。敷地条件を生かし、暮らしやすさとプライバシーを両立した住まいです。
泉佐野の家 井上久実設計室
前面道路に続く美しい桜並木を最大限に活かすため、LDKを2階に配置した住まいです。窓の先には四季折々に表情を変える風景が広がり、家族の日常を豊かに彩ります。1階にはピロティ空間を設け、駐車場としての機能に加え、寝室からつながるウッドデッキを計画。サウナ後に利用できる水風呂も備え、住まいの中で心身を整える時間を楽しめます。眺望と趣味、そしてくつろぎを丁寧に織り込んだ住まいです。
桜並木と暮らす家 設計事務所アーキプレイス
都内の区画整理された閑静な住宅街に建つ、子育て世代の4人家族のための住まいです。隣接するご両親や親戚との程よい距離感を保ちながら、道路沿いに広がる桜並木の景色を室内へ取り込み、四季の移ろいを身近に感じられるよう計画されています。2階には開放的なワンルームのLDKを配置し、こだわりのキッチンを中心に家族が集う空間を実現。南側のウッドデッキテラスとつながり、食事やバーベキューを楽しみながら、人とのつながりを育む住まいとなっています。
立川の家 内田雄介設計室
郊外の住宅地に建つ、玄関共有型の二世帯住宅です。ゆとりある敷地と良好な日照環境を活かし、空の広がりや屋外とのつながりを感じられる住まいを計画しました。角地ならではの開放感を活かしながら、外部からの視線をやわらかく調整し、安心感と開放感のバランスを追求しています。内と外をつなぐインナーバルコニーや連続する天井が境界を曖昧にし、光や風を取り込む伸びやかな空間を実現。日常の中でふと空を見上げたくなるような住まいです。
岩崎の二世帯住宅 祐成大秀建築設計事務所
岐阜市北部、山々に囲まれた穏やかな環境に建つ住まいです。くの字に折れた敷地形状に呼応するよう、玄関と居住部分を折り曲げて配置し、土地の個性をそのまま建築へと取り込みました。南側には遠く金華山を望むことができ、窓の配置にも工夫を凝らすことで、その雄大な景色を室内から楽しめるよう計画しています。周囲の自然と土地の形状に寄り添いながら、風景と暮らしが穏やかにつながる住まいです。
はるひ野の家 株式会社 中村高淑建築設計事務所
中層マンションに囲まれた住宅地に建つ、アウトドア好きの家族のための住まいです。開放性の高い敷地条件を活かしながら、5つのデッキやテラスを外部との緩衝帯として配置。BBQテラスや縁側のようなウッドデッキ、バスコートなど、緑や光、風を身近に感じられる場所を随所に設けました。子どもがのびのび過ごせるだけでなく、長く大人も楽しめる、自然と暮らす住まいです。
越谷の家 望月建築アトリエ
敷地は駅近の二方向道路の角地で、道路からの見え方とプライバシーを考慮して設計しています。周辺環境を取込むのではなく、敷地内で余白となる中庭を設け光・風・緑を取り込む計画としています。1階に個室・収納・水回り、2階にリビング・ダイニング・キッチンを配し、天井の構造垂木を表しにして屋根を覆っています。中庭にはシマトネリコを植え、住まい手のインテリアやホームシアターと共に各居室が中庭を介して繋がる構成としています。
上野芝の家 Abax Architects
閑静な住宅地の高台に建つ、約40坪の住まいです。西側に広がる眺望を最大限に活かすため、2階にリビングダイニングを配置し、豊かな光と風景を室内へと取り込みました。内装には木をふんだんに用い、温もりのある落ち着いた空間をつくり上げています。キッチンをはじめとする家具はオリジナルで製作し、空間と一体となるよう丁寧に計画されています。眺望と素材感が調和した、心地よい時間が流れる住まいです。
風乃家-くらしの中に風景のある住まい- 乗松得博設計事務所
土地探しから検討を重ねて実現した住まいです。北側には公園の緑、その先には瀬戸内の風景が広がり、穏やかに移ろう景色を暮らしの中へ取り込みました。北へ大きく開き、南側の開口を抑えることで、光と風を心地よく調整。深いテラスが内と外を緩やかにつなぎ、安心感と空間の奥行きを生み出しています。日々の何気ない時間の中で、豊かな風景とともに過ごせる住まいです。
植物と暮らす家 根岸達己建築室
土地探しからお手伝いした住宅です。施主は仕事の拘束時間が長く、余暇を植物とくつろぐ、流行に左右されない空間を望まれました。敷地特性を生かし、リビング、ワインや外ごはんを楽しむデッキ、花と緑の庭をひとつながりに配置し、境界を曖昧にしています。内外が一体となり、植物と暮らす住まいとなりました。
HE10 〜AICA施工例コンテスト 優秀賞〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
生駒山の中腹に建つ、雄大な眺望を暮らしに取り込んだ住まいです。大阪湾や六甲連山まで見渡せる景色を最大限に活かすため、LDKを2階に配置。天井の高い開放的な空間と、奥行きのあるバルコニーが内と外を緩やかにつなぎ、風景を暮らしの一部として引き込みます。玄関から階段を上がるにつれて視界が開ける構成は、景色への期待感を高める巧みな演出です。建築を過度に主張させることなく、移ろう自然の美しさを素直に受け止める住まいとなっています。
福島の森の家 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
福島市郊外の丘陵地に建つこの住まいは、森や果樹園に囲まれた豊かな自然と、市街地の夜景を望む眺望を享受するために計画されました。深く伸びた軒が美しい水平ラインを描きながら、夏の日差しや雨風をやわらかく受け止めます。室内は北側の開けた景色と南側から差し込む冬の陽光を取り込む南北に伸びやかな構成とし、四季の変化を身近に感じられる心地よい空間を実現。自然と調和しながら穏やかに暮らすための住まいです。