板張り外壁の家|設計事務所による注文住宅実例15選 著者:クラスキ編集部
板張り外壁の家は、木の素材感を建物の外観に取り入れることで、周囲の景色にもなじみやすい表情をつくります。板の幅や並べ方、木の色合いによって印象は変わり、水平に張るか縦に張るかによっても建物の見え方に違いが生まれます。時間の経過とともに木の色が変化することも、板張り外壁ならではの特徴です。外壁の一部だけに木を使うことでアクセントをつくったり、建物全体を板張りとして素材の存在感を生かしたりと、住宅によって表現はさまざまです。窓や屋根、玄関などとの組み合わせも、外観の印象を形づくる大切な要素になります。木という身近な素材が建物の輪郭にどのような表情を与えるのか。設計事務所による注文住宅の実例を通して、板張り外壁と建築の関係を紹介します。
軽井沢の家 暮らしの醸造所
軽井沢の静かな別荘地に建つ、定年後の夫婦と愛猫のための住まいです。小川のせせらぎや木々の揺らぎが感じられる豊かな自然環境に寄り添い、建築が風景を主張しすぎないよう慎ましく計画されました。橋を渡りながら玄関へと向かうアプローチは、景色の変化を楽しむ体験そのものとなっています。窓から望む四季折々の風景や光と影の移ろいが、日々の暮らしに静かな感動をもたらす住まいです。
天水の家 zeal architects
有明海と雲仙岳を望む段々畑の中に建つ一戸建て住宅の計画です。豊かな自然景観の中で、周辺環境に寄り添いながら調和することを主題としています。段々畑の地形をなぞるように複数のボリュームを組み合わせ、眺望とプライバシーの両立を図っています。デッキテラスは内と外をつなぐ場として機能し、家族の日常と風景を緩やかに接続します。外装や内部には小国杉を用い、経年変化とともに景色へと溶け込む住まいとしています。
Steps V 佐藤宏尚建築デザイン株式会社
木造2階建てでありながら、5層の床によって空間を緩やかにつないだ住まいです。吹き抜けやロフト、床下収納、テラスなどを高低差の中に組み込み、限られたボリュームに豊かな広がりと機能性を生み出しています。1階から屋上までを連続させることで、家族の気配や声が自然に届く一体感のある暮らしを実現。外壁には焼杉を用い、蓄熱式床暖房によって快適性と省エネ性も両立しています。
希望の家 多田建築設計事務所
築50年の住宅を改修し、一人の時間を豊かに過ごすためのプライベートハウスとして再生した住まいです。トップライトから降り注ぐ光を活かし、1階は土間を基調としたワンルーム空間に。居間やワークスペース、キッチン、バスルームが緩やかにつながり、奥行きのある開放的な構成となっています。2階にはダンススタジオのようなトレーニングスペースを設け、日常的に身体を動かせる工夫を随所に採用。自分らしい時間を楽しみながら、心身を整えるための静かな隠れ家です。
坂道の家 天工舎一級建築士事務所
神奈川県小田原市城山の閑静な住宅地に計画された新築住宅です。広さ約93坪の敷地ながら、接道は狭く急勾配の坂道で、出入口の拡幅工事から着手しています。西側の崖に対する安全性を確保するため高基礎と離隔を設け、建物は敷地中央に配置しました。既存樹木は整理しつつも柿の木を残し、庭と暮らしの象徴としています。外壁やデッキにはアピトン材を用い、木々との調和を図りました。吹き抜けと大開口により内外を緩やかに繋ぎ、木の質感が全体を包み込む柔らかな住まいです。
千代崎の家 一級建築士事務所 Coo Planning
大阪市西区の角地に建つ、延床約13坪の狭小住宅です。わずか8坪の変形敷地に対し、木造2階建てをスキップフロアで構成することで、3層にわたる立体的な住空間を実現しました。1階は約4mの高天井とし、中2階に水まわり、上階に主寝室と屋上テラスを配置。階段が各フロアを緩やかにつなぎ、限られた面積の中に豊かな広がりと多様な居場所を生み出しています。都市の狭小敷地ならではの条件を活かし、コンパクトながら伸びやかな暮らしを提案する住まいです。
木立に佇む家 設計事務所アーキプレイス
30代夫婦と男の子の3人家族のための住まいです。木立に囲まれ、北側には浅間山を望む敷地の特性を生かし、内外が一体となる空間構成としました。水廻りは南側と坪庭に面して配置し、明るく風通しの良い環境を確保。茶会や宿泊に対応する和室はLDKから離し、水廻り近くに設けています。2階の書斎は家族で眺望を楽しむ場とし、自然とともに暮らす住まいを実現しています。
moment *studioLOOP建築設計事務所
500㎡の広い敷地に建つ、5人家族のための平屋です。北側に広がる田園風景を生かし、水辺や森の中の美術館を思わせる抽象的なイメージを、建築とランドスケープに落とし込みました。東西に伸びるボリュームが視界を一度遮り、玄関を開けた瞬間に水盤と風景が広がる構成が、非日常的な体験を生み出します。LDKを中心に各室を配し、深い軒や構造現しの梁が光と風を導きながら、自然と寄り添う穏やかな暮らしを描いています。
yet yet つくば春風台の家 e do design 一級建築士事務所
つくば春風台の緑豊かな街並みに佇む、家族3人のための住まいです。片流れ屋根を重ねたファサードが、空へ伸びるような印象を与える外観。その内部には、本に囲まれて暮らしたいというご夫婦の想いから、家族が自由に読書を楽しめる大きな壁面本棚を設けました。吹抜けや小上がり、可変性のある空間が多様な暮らし方を受け止め、家族の成長や変化を包み込む、余白を持った住まいです。
東の南House I 設計室
遠くに山並みを望む田園風景の中に建つ、農家型コートハウスです。中庭を囲むように住まいとアトリエ、作業スペースを配置し、農家の暮らしを現代的に再構成しました。八角形の中庭は「屋根のないリビング」として、空や風を身近に感じる回遊空間に。キッチンを中心に家族の居場所を緩やかにつなぎ、建具を開けば縁側と中庭が一体となります。風景に開きながら、家族の気配も感じられる住まいです。
S教授の家 佐賀高橋設計室
昔からの落ち着いた住宅街に建つ住まいです。緑豊かな環境との調和を大切にし、外壁には木を用いることで周囲の風景にやわらかく馴染む佇まいとしています。室内からも豊かな緑を楽しめるよう窓の配置を丁寧に検討し、内と外が自然につながる住環境を実現しています。
川原子の家 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
山形県天童市の果樹園近くに建ち、南に水晶山などの山並み、北にホタルの小川や菜園・竹林が広がる環境です。敷地には築40年の母屋と築50年の小屋が一体化し、東に渡り廊下で繋がる音楽室とガレージがあります。計画では北側の景観を遮る築50年の二階建てを撤去し、遊び場や四季の借景を得るとともに、外壁に間引き材の屋敷杉を張り、施主が珪藻土塗りや塗装、ポーチや下屋の施工に参加した手作りのリノベーションを行っています。
富田林の家 井上久実設計室
既存住宅の家具や照明、庭石、植栽を受け継ぎながら、新たな暮らしの場を紡いだ住まいです。住まい手とモノ、それぞれにふさわしい居場所を与えることをテーマに、母娘二人の程よい距離感を丁寧に設計しました。住まいの中心にLDKを据え、その周囲に個室を配置。個室同士をつなぐアルコーブ空間が、新旧の家具や調度品を受け止める場となり、空間に豊かな奥行きを生み出しています。受け継がれた庭石や生垣と新しい建築が響き合い、記憶と未来を穏やかにつなぐ、温もりある住まいとなっています。
大蔵の家 ことこと設計室
有機農業に取り組むご夫婦のために設計された、自然と調和する住まいです。暮らしの理念やものづくりへの姿勢に寄り添い、畑仕事の疲れをやさしく癒やす空間を目指しました。無垢の杉材や珪藻土など自然素材を用い、四季の移ろいや光の変化を感じられる開口計画を採用。外観も木の質感を活かし、時間とともに深まる風合いを楽しめます。さらに高性能な断熱仕様と放射冷暖房システムにより、一年を通じて快適な室内環境を実現。自然循環の思想を住まいにも反映した、穏やかで豊かな住宅です。
大樹のある山荘 株式会社 イン・エクスデザイン
北白川の山裾に佇む、小さくも豊かな住まいです。計画の出発点となったのは、敷地に根を張る大きな既存樹木とともに暮らしたいという家族の願いでした。樹木を守る配置計画に加え、外壁には小幅の杉材を丁寧に張り巡らせ、建物自体も自然とともに歳月を重ねていく存在としてデザイン。周囲の風景に静かに溶け込みながら、時間の経過とともに味わいを深めていきます。土地に刻まれた記憶を受け継ぎ、新たな時間を育む住まいです。