和モダンな家|設計事務所による注文住宅実例18選 著者:クラスキ編集部
和モダンな家は、日本の住まいに受け継がれてきた要素と、現代的な空間デザインを組み合わせた住まいです。木や石、和紙のような自然素材の質感を生かしながら、空間はすっきりと整理され、落ち着きのある雰囲気がつくられています。障子や格子、深い軒といった伝統的な要素が取り入れられることもありますが、その表現方法は住宅ごとにさまざまです。また、庭とのつながりや光と影の移ろいを感じられる空間づくりも、和モダンならではの魅力として見られます。華やかな装飾に頼るのではなく、素材や空間の余白によって豊かさを表現する考え方は、日本の建築文化とも深く関わっています。設計事務所による注文住宅では、和の要素が現代の暮らしにどのように溶け込み、新しい住まいの形として表現されているのかを実例から紹介します。
斜格子の家 an Archi-Lab. 一級建築士事務所
代々受け継がれてきた土地に建つ、子育て世代のための建替え住宅です。周囲を建物や塀に囲まれた密集地という厳しい条件に対し、建物を敷地に対して斜めに配置することで、多方向から光と風を取り込みました。生まれた余白は周囲との適度な距離感をつくり、地域コミュニティとの緩やかなつながりも育みます。内部では視線や動線を巧みに操作し、外部からの視線を意識させない落ち着いた居住環境を実現。新旧の暮らしが交差する土地に、懐かしさと新しさが共存する住まいです。
徳島の家 子世帯-二世帯の暮らしを包み、光を与える屋根- 乗松得博設計事務所
屋根は、この場所にどのようにあるべきか。住まいとして、街に対してどう佇むべきかを考えた住まいです。寄棟、切妻、片流れ、越屋根など、異なる屋根が重なり、つながりながら二世帯の暮らしを包み込みます。屋根の形は室内の天井となって現れ、室内の豊かな表情が外観にもにじみ出ます。多面の天井と深い軒裏が光を受け止め、反射し、吸収することで、光と影が織りなす陰影豊かな住まいとなっています。
市中に残された蔵のある邸宅の改修|阿倍野の屋敷 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
阿倍野の旧邸宅は複数棟で複雑な入母屋架構や大断面の太鼓梁、無垢の分厚い床板が残っていました。母屋中央に天井の高いLDKを配し、玄関・水回りを挟む回遊性のある動線計画としました。式台や床板を階段や造作材に転用、障子・框戸を補修し、配置を組み替えて再利用。増築部分や離れを撤去して、防水・構造耐力・採光を整理しました。
八ヶ岳のセカンドハウス 根岸達己建築室
標高1600mの八ヶ岳に建つ、自然と創作のための山荘です。冬には氷点下20℃にもなる厳しい環境に応えるため、深い軒を持つ寄棟屋根を採用し、雄大な自然に穏やかに溶け込む佇まいとしました。泥や雪、水を伴う山暮らしに対応するため、収納を中心に回遊できる動線を計画。建具の開閉によって風除室や来客用動線へと柔軟に切り替えられます。機能性と快適性を丁寧に磨き上げた空間は、四季折々の自然を楽しみながら創作に向き合うための静かな拠点となっています。
木立に佇む家 設計事務所アーキプレイス
30代夫婦と男の子の3人家族のための住まいです。木立に囲まれ、北側には浅間山を望む敷地の特性を生かし、内外が一体となる空間構成としました。水廻りは南側と坪庭に面して配置し、明るく風通しの良い環境を確保。茶会や宿泊に対応する和室はLDKから離し、水廻り近くに設けています。2階の書斎は家族で眺望を楽しむ場とし、自然とともに暮らす住まいを実現しています。
小高の離れ 株式会社 SPAZIO建築設計事務所
築30年の数寄屋門を備えた平屋住宅を、避難先から故郷へ戻る家族の新たな暮らしの拠点として再生したリノベーションです。和室中心だった間取りを見直し、廊下をなくして広々としたLDKを創出。既存の南庭園に向かって大きく開くことで、光や風、緑を存分に取り込む明るく心地よい空間へと生まれ変わりました。さらに庭との間にはデッキテラスを設け、内と外を緩やかにつなぐ多目的な居場所を形成。故郷の風景とともに、新しい日常を育む住まいです。
小浜の民家再生 木村哲矢建築計画事務所
明治12年築の民家を、二世代の暮らしに合わせて再生しました。使われていなかった玄関土間を床張りのリビングダイニングへと改修し、天井を高くすることで光が降り注ぐ開放的な空間としています。和室との床高の違いを生かし、視線が庭へと抜ける構成に。豪壮な小屋組みを残した旧板間は、光と闇の対比が美しい趣ある玄関として蘇らせました。構造の補強や断熱にも配慮し、歴史ある民家の魅力を受け継いでいます。
南山の家 内田雄介設計室
丘陵地を切り開いた開発地に建つ住まいです。周辺環境の変化に左右されない普遍的な美しさと、時の移ろいを穏やかに受け入れる住まいを目指して計画しました。中庭と吹抜けを効果的に配置することで、建物全体に光と風が巡る開放的な空間を実現。リビングのフルオープン窓は内と外を緩やかにつなぎ、豊かな緑を暮らしの中へ取り込みます。自然の気配を身近に感じながら、四季とともに心地よく暮らせる住まいです。
龍ヶ崎の住まい 株式会社 松本直子建築設計事務所
平屋を中心とした、和の趣を感じる住まいです。一部子供室のみ二階へ配置し、深い軒や離れの和室によって、落ち着きのある佇まいを形成しました。広がりのある平面に対して複数の中庭を設けることで、住まいの隅々まで光と風が巡る豊かな環境を創出しています。リビングは床を少し下げ、庭と近い暮らしを楽しめる居場所に。一方、離れの和室は庭を見渡す高さに設け、内と外のつながりを感じられる空間としました。
街並みの家 芦田成人建築設計事務所
市内でも姿を失いつつある妻入商家の古い街並みに建つ、新しい住まいです。かつてこの場所にあった古い建物への敬意を受け継ぎながら、若夫婦の独立した暮らしに応えるため建て替えました。外観には縦格子を用い、街並みに調和させながら、プライバシーを守りつつ光と風を導いています。格子越しに落ちる光が豊かな陰影を生み、街並みと住まいの内外に趣ある表情を与えています。
高尾の家 望月建築アトリエ
敷地は高尾山から流れる清流の山肌にあり、河に沿って続く道路からの敷地延長の土地です。約30段の階段を上がる敷地で南に高尾の山並み、北に神社と竹林を望むロケーションです。北側の調整区域に合わせて建物をくの字に曲げ、重心にリビングを置きダイニング・キッチン・個室を展開しています。断面は南傾斜に合わせた勾配屋根とし、LVL材の垂木をインテリアとする連続天井と床の段差で空間を区切り、住まいとしての心地良さを感じるようにしました。この家は下からの見上げるアプローチとなるため、屋根の軒先や軒天の納まりには、充分な配慮を試みました。
高野川の別荘 越前良太デザイン研究所
京都・高野川沿い、松ヶ崎丘陵を望む100㎡の敷地に建つ住まいです。特別修景地区の厳しい条件のなかで、限られた床面積を最大限に活かしながら、伸びやかな空間を実現しました。RC・木・鉄それぞれの特性を活かした架構が、風や光、音、周囲の風景を住まいへと取り込みます。内と外のあいだに多様な居場所を生み出し、都市と自然を緩やかにつなぐ、開放感に満ちた住まいです。
浄明寺リノベ 佐賀高橋設計室
築60年の木造平屋をリノベーションした住まいです。既存の平面に斜めの木の壁を作り、一部を勾配天井とすることで空間にリズムを与えています。猫間障子からやわらかな光が差し込み、グレーの壁は黒板としても機能します。壁には愛猫のための小さな通路を設け、家具的なキッチンと業務用キッチンを組み合わせるなど、細やかな工夫が随所に散りばめられた住まいです。
宇治の家 ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
京都府宇治市の住宅密集地に建つ住まいです。限られた環境の中で最大限の採光と眺望を得るため、窓の位置や高さを丁寧に計画しました。ビルトインガレージにはシャッターではなく格子の引戸を採用し、街に対する圧迫感を軽減。2階ダイニングでは、椅子に腰掛けると周囲の建物が視界から消え、窓いっぱいに空だけが広がります。夜にはFIX窓からこぼれる光が天井を照らし、内外に静かな表情を生み出します。
雪国の増築 佐藤宏尚建築デザイン株式会社
雪国に建つ既存の母屋に、家族が集うダイニングと2つのベッドルームを増築した住まいです。増築部分は既存の屋根勾配をそのまま延長することで、母屋との連続性を保ち、落ち着いた佇まいに仕上げています。無垢のスチール柱による大開口は全面開放が可能で、季節や暮らしに応じた柔軟な使い方を実現。トップライトとミラーが光を室内へ広げ、雪国の住まいに明るさと開放感をもたらしています。
堺 槇塚台の家 井上久実設計室
堺市南区の高台の住宅地に建つ住まいです。南東に広がる眺望を最大限に活かすため、テラスを囲むL字型の平面構成を採用しました。厳しい斜線制限や高低差のある敷地条件に対応しながら、黒い勾配屋根のボリュームと白い壁のボリュームをレベル差でつなぎ、スキップフロアによる立体的な空間を実現しています。半地下の音楽室や駐車場、プライベートゾーンを段階的に配置し、最上階には眺望を楽しめるリビングと小上がりの和室を設けました。敷地の特性を活かしながら、多彩な居場所と豊かな景観を取り込んだ住まいです。
篠山の家 澤村昌彦建築設計事務所
目の前にある山を借景として取り込んだ、自然と調和した平屋住宅です。
もくかみハコの家|練馬のジャパンディな戸建てリノベーション 株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
中古住宅を購入した施主とともに既存の魅力を丁寧に読み解き、再構築したリノベーションです。小屋裏収納を開放的なロフトへと変え、吹抜けとつながる伸びやかな空間を実現しました。収納を兼ねた箱階段や障子、既存の古材を活かしながら、土間やコンパクトな和室を設けることで暮らしの幅を広げています。和の趣と北欧的な心地よさが調和する、ジャパンディスタイルの住まいです。