無垢材の家|設計事務所による注文住宅実例17選 著者:クラスキ編集部
無垢材の家は、木を身近に感じながら暮らせる住まいとして、素材そのものの表情が空間の印象をつくります。床や壁、天井、建具などに使われる木は、色や木目、触れたときの質感によって、それぞれ異なる雰囲気を生み出します。新しい状態の美しさだけでなく、時間とともに色合いや風合いが変化していくことも、無垢材ならではの特徴です。室内に入る光や家具との組み合わせによって木の見え方が変わり、同じ素材でも空間ごとに異なる表情が生まれることがあります。木をたくさん使った温かな住まいから、異なる素材との対比によって無垢材の存在感を際立たせた住まいまで、表現の幅もさまざまです。設計事務所による注文住宅の実例を通して、無垢材が床や壁などの建築にどのように取り入れられ、暮らしの風景を形づくっているのかを紹介します。
F mökki I 設計室
小さな建築、庭にサウナ小屋のある暮らし。
スギの無垢床でのーんびりくつろげるお家 kurachiffon 瀧内未来一級建築士事務所
子育てと共働きの日常を見据え、家事効率と収納計画を追求したマンションリノベーションです。将来の個室よりも「今」の暮らしを優先し、一室を大胆にランドリー兼ファミリークローゼットとして活用。造作家具や収納を細やかに設計し、家族が自然と片付けやすい環境を整えました。庭付き住戸の開放感とともに、家事の負担を軽減し、親子がゆったりと過ごせる住まいを実現しています。
斜光のガレージハウス 株式会社 富谷洋介建築設計
札幌市内の傾斜地に建つガレージハウスです。敷地の高低差や法規制を制約ではなく、建築を導く条件として捉え、断面から住まいを計画しました。地階をRC造、1・2階を木造とする混構造により、ガレージや収納と居住空間を合理的に配置。吹き抜けと階段室を連続させ、上部からの光を1階へ導きます。東側の大きな窓からは空や街並みを取り込み、無垢材やトドマツの質感が心地よい表情を添えています。
コンパクトで暮らしやすい自分サイズの住まい|千葉・星久喜の住まい タイラヤスヒロ建築設計事務所
延床面積22坪というコンパクトな住まいながら、中央に配した階段室と視線の抜けを活かした間取りにより、数字以上の広がりを感じさせる一邸です。玄関から望む桧の無垢板によるスケルトン階段が空間の象徴となり、印象的なアクセントを添えています。既製品を巧みに活用しながらコストを抑え、収納や快適性も充実。大きく軒を出した切妻屋根と端正なプロポーションが、穏やかで落ち着いた佇まいを生み出しています。UA値0.48を実現し、高い断熱性能も備えています。
相模原の家 内田雄介設計室
築約20年の戸建住宅を、3人家族のためにリノベーションした住まいです。美しい里山の風景に囲まれた環境の中で、既存住宅の確かな構造や趣を活かしながら、現代の暮らしに寄り添う空間へと再構築しました。部屋数を見直すことで生まれた「余白」が、空間同士や内と外を緩やかにつなぎ、新たな居場所を創出しています。新旧の時間と自然風景が心地よく溶け合う、家族の思い出を育む住まいです。
Forest Living 吉デザイン設計事務所
深い森に囲まれた場所に建つ平屋の住宅「Forest Living」。外壁には日本の伝統的な焼杉を用い、黒く落ち着いた表情が周囲の森の風景に自然と溶け込みます。建物はワンフロアで構成され、すべての部屋から森の景色を望める計画。窓越しに広がる緑を身近に感じながら、静かで穏やかな暮らしを叶える住まいです。
甲子園の家-無垢床再生からはじまる改築- 乗松得博設計事務所
改築という行為を通して、建物に眠る魅力を丁寧に掘り起こした住まいです。個室を取り払い、新たに設けた小上がりからは窓越しにリビングが見渡せる構成とし、室内だけでなく外部を介した緩やかなつながりを生み出しました。空間の要となる柱には新たな役割を与え、建物が刻んできた時間や記憶を継承しながら、現代の暮らしや性能を静かに重ねています。改築ならではの奥深い魅力が息づく住まいです。
岩崎の二世帯住宅 祐成大秀建築設計事務所
岐阜市北部、山々に囲まれた穏やかな環境に建つ住まいです。くの字に折れた敷地形状に呼応するよう、玄関と居住部分を折り曲げて配置し、土地の個性をそのまま建築へと取り込みました。南側には遠く金華山を望むことができ、窓の配置にも工夫を凝らすことで、その雄大な景色を室内から楽しめるよう計画しています。周囲の自然と土地の形状に寄り添いながら、風景と暮らしが穏やかにつながる住まいです。
9T+ 芦田成人建築設計事務所
「9T+」は、わずか9坪の建坪に暮らしの中心となる空間を凝縮しながら、高い快適性を実現した長期優良住宅です。塀に頼らず視線を巧みに制御し、光や開放感を確保。断熱・気密性能を丁寧に高めることで、室内の温度差を抑え、一年を通して快適な環境を実現しています。性能計算に基づいた設計により、小さなエネルギーで効率よく暮らせる住まいに。コンパクトでありながら、豊かな居住性を備えた住まいです。
薪ストーブのある自然素材の平屋の住まい 一級建築士事務所 光設計
ご夫婦二人のために計画された、中庭を中心とする平屋の住まいです。住まいの中央に設けた中庭から光と風を取り込み、四季の移ろいを映すヤマボウシが日常に豊かな表情を添えます。リビングには薪ストーブを据え、ゆったりとした時間が流れる空間を実現しました。キッチンや洗面台、書斎デスクなどは造作家具で統一し、暮らしに寄り添う設えに。自然素材を活かした快適な室内環境と高い性能を備えた、長期優良住宅認定の住まいです。
ヒューハウス ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室
和歌山県湯浅町に建つ木造2階建ての住まいです。16坪という限られた敷地に、隣接する平屋の母屋を包み込むように計画しました。日照に恵まれた土地の特性を生かし、白い壁が小さな敷地に独特の存在感を与えています。エントランス前には開いた壁を設け、前面を流れる川から朝夕に届く穏やかな風を室内へ導く仕掛けに。光と風を巧みに取り込み、コンパクトな敷地に心地よさと広がりを生み出した住まいです。
廊下のない家|親から子へ、子から孫へ 株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
生まれ育った実家へ、ご夫婦とお子様が戻り新たな暮らしを始めるためのリノベーション計画です。将来世代へ引き継げる住まいとすることを目的に、既存を活かしたハーフリノベーションとし、コストと性能のバランスを重視しています。廊下をなくすことで空間を再編し、キッチンとダイニングを取り込んだ広がりあるリビングを実現しました。Ⅱ型キッチンにより家族を見渡せる構成としています。断熱材やサッシも刷新し、省エネ性能と快適性を向上させています。窓の高さや配置を見直した、安全性と防犯性にも配慮した住まいです。
桜山の家 佐賀高橋設計室
1階には薪ストーブを備えた応接間と個室を配置し、落ち着いた時間を過ごせる構成としています。2階にはLDKと家族全員で共有するワークスペースを設け、日常と仕事がゆるやかに交わる場としています。海辺という立地を生かし、開放感とおおらかさに満ちた空間が広がる住まいです。
東浦の家 後藤耕太建築工房
知多半島の昔ながらの住宅街に建つ住まいです。地域とのつながりを大切にしながら、掘りごたつのある暮らしを望んだ施主の想いをかたちにしました。リビングの床を一部高くして掘りごたつを設け、南側からの視線と室内からの視線をずらすことで、開放感とプライバシーを両立しています。杉の無垢材を多用した空間は、時を重ねるほどに味わいを深めます。周囲の街並みに穏やかに馴染み、地域の風景とともに育っていく住まいです。
京丹後の民家 木村哲矢建築計画事務所
明治15年築の京丹後の民家を、暮らしの作法や間取りを受け継ぎながら改修しました。養蚕を支えた力強い梁や書院障子など、歴史を刻む意匠はそのままに、低い床や天井の変化を生かして現代の生活に馴染む空間へと整えています。段床によって既存和室との高低差を穏やかにつなぎ、耐震ダンパーによって構造性能も向上。古い民家の大らかなつながりを守りながら、これからの暮らしへと受け継がれていく住まいです。
浦田の家 越前良太デザイン研究所
敷地に刻まれた家族の記憶や時間の積層を尊重しながら、現代の暮らしへと再編集した古民家リノベーションです。吹き抜けや造作ソファーを設けて新たな居場所を創出する一方、古い建具や家具、窓格子などを巧みに再生。さらに既存の照明や建具を継承し、住まいの歴史を未来へとつなぎました。新旧の素材が織りなす空間には、過去・現在・未来が緩やかに重なり合い、家族とともに育つ住まいの豊かさが息づいています。
引き算の家|余計を省くマンションリノベーション 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
若いご家族向けのマンションリノベーションです。形式上3LDKの既存住戸はLDKが狭い状態でした。限られた予算と空間の中で天井や不要な間仕切りを撤去して大きなLDKをつくり、必要最小限のキッチンと可動棚を合板で製作しています。無垢フローリング上で半椅子座・半床座の生活ができる構成にしています。