防音室のある家|設計事務所による注文住宅実例10選 著者:クラスキ編集部
音楽を楽しんだり、映画を鑑賞したり、楽器を演奏したりする時間は、多くの人にとって大切な趣味のひとつです。防音室のある家では、そうした時間をより快適に過ごせるよう、音と空間の関係が建築的に考えられています。防音室というと特別な設備を備えた部屋を想像しがちですが、住まい全体とのつながり方によって空間の印象は大きく変わります。家族との距離感や動線、窓の取り方、部屋の配置なども重要な要素です。また、防音性能だけでなく、長時間過ごしたくなる居心地の良さが求められることもあります。趣味や創作活動のための場所として、防音室は暮らしの中で独自の役割を持っています。設計事務所による注文住宅の実例から、防音室がどのような空間として計画されているのかを紹介します。
熊野町の家 Abax Architects
堺市に建つ、1階にピアノ教室を併設した住宅です。防音性能を確保するため1階をRC造、2・3階を木造とした混構造としています。敷地前面には小学校のグラウンドが広がり、開放的な環境を活かしてリビングに大きな高窓を設けました。ソファでくつろぎながら空を眺められる、のびやかな空間となっています。さらに屋上にはバーベキューを楽しめるテラスを設け、都市の中でも豊かな時間が過ごせる住まいです。
金沢・宝町の家 澤村昌彦建築設計事務所
金沢市の高台に建つ平屋建て住宅です。アウトドアがご趣味のクライアントで、庭にアウトドアリビングやバーベキュースペースを設けました。リビングは全面ガラス張りですが、日射を遮るために1.8mの庇を設けています。また、趣味室として、インナーゴルフ室を設けています。
Allo Musica 多田建築設計事務所
三岐鉄道北勢線沿いの敷地に計画された、クラリネット奏者のご夫妻のための小さな音楽ホールです。既存住宅の敷地内に最大限の広さを確保しながら、日本でも希少な木造による50dBの高い防音性能を実現しました。演奏会や音楽教室にも対応できるよう、音響環境にも細やかに配慮。音楽を愛する人々が集い、美しい音色を共有できる場として、暮らしと文化を豊かにつなぐ空間となっています。
緑地に佇む音楽小屋 充総合計画一級建築士事務所
音楽を愛する人のために計画された、小さな演奏空間を備えたサテライトの小屋です。建物の約3分の2を吹き抜けの傾斜天井とすることで、高さを抑えながらも伸びやかな空間を実現しました。周囲の環境に穏やかに佇む屋根形状は、そのまま室内の音響設計にも活かされています。グランドピアノやさまざまな楽器、声楽の響きが心地よく拡散し、ソロからアンサンブルまで豊かな音に包まれる空間です。建築と音楽が静かに共鳴する、上質な小さな音楽堂となっています。
高台の景色を生かしたピアノ教室のある家 芦田成人建築設計事務所
眼下に広がる景色を望む高台の住まいを求め、土地所有者との直接交渉を経て実現した住まいです。将来、子どもたちの選択肢が広がる立地も土地選びの決め手となりました。ピアノ講師である施主のため、セルロースファイバーなどを用いた防音対策を施し、周囲を気にせず演奏できる環境を整えています。眺望を生かすため生活の中心を2階に置き、音と暮らしを巧みに切り分けた上下逆転型の構成です。
中二階が繋ぐ家 株式会社 富谷洋介建築設計
さまざまな住まいの選択肢を検討した末、「家族が自然につながる暮らし」をテーマに計画した住宅です。住まいの中心には、階段の途中に設けた1.5階のスタディスペースを配置。リビングや2階ライブラリと緩やかにつながりながら、ほどよい距離感を生み出します。その下には趣味室を設け、それぞれが自分の時間を楽しめる居場所に。南側の庭や手稲山の眺望を取り込み、家族の気配と個々の時間が心地よく共存する住まいです。
室内化したテラスを持つ家 設計事務所アーキプレイス
子育てを終えたご夫婦のための終の住まいです。暮らしの中心となる2階では、南東のテラスを囲むようにリビングとダイニングを配置。屋根や壁に開口を設けた半屋外のテラスは、周囲の視線を遮りながら光や風を取り込み、四季の移ろいを身近に感じられる居場所となっています。1階の音楽室を起点に生まれる床レベルの変化や吹抜け、展望テラスが空間に豊かな奥行きを与え、木造3階建てならではの連続性と多様性を楽しめる住まいです。
White House 株式会社 ファーイースト・デザイン・ラボ
郊外住宅地ならではの開放性とプライバシーの両立を目指した、4人家族のための住まいです。外部からの視線を抑えながら、光あふれる階段室を住まいの中心に据えることで、各階が緩やかにつながり、空を身近に感じられる明るい空間を実現しました。3階には家庭菜園も楽しめるルーフバルコニーを設置。1階には本格的な防音性能を備えたシアタールーム兼ゲストルームを設けています。縦横に広がる構成と窓の配置により、開放感と快適なプライベート空間を両立した住まいです。
国立の奏楽居 株式会社 廣部剛司建築研究所
庭に残された榎の古木を受け継ぐように計画された、音楽と暮らしのための住まいです。若い音楽家の演奏や録音、映像収録を支える場として、2階のリビングは豊かな響きを備えたホールのような空間に仕上げられています。高い天井や木構造が音を柔らかく拡散し、遮音性への配慮は快適な温熱環境も実現しました。大きな窓は榎へ向かって開かれ、まるで樹上にいるような眺めを演出。自然と音楽、そして人の成長を静かに支える住まいです。
音楽と天体観測の家 ユウ建築設計室
住宅に囲まれた路地状敷地に建つ、音楽と天体観測を愛するご夫婦のための住まいです。ピアノとトランペットに対応する高性能な防音室を設け、吸音パネルによって演奏環境を細やかに調整できるよう計画しました。建築全体には五線譜をモチーフとしたデザインをさりげなく取り入れ、趣味への愛着を空間に反映しています。2階には広い空を望むバルコニーを設け、都市部にありながら天体観測も楽しめる環境を実現。畳敷きのリビングとレトロモダンなインテリアが、心地よい暮らしを演出しています。