白い家|設計事務所による注文住宅実例17選 著者:クラスキ編集部
白い家はシンプルな印象を持ちながらも、建築の工夫によってさまざまな表情を見せる住まいです。白い外壁や内装は光をやわらかく反射し、空間に明るさや広がりを感じさせます。一方で、単に色を白で統一するだけではなく、素材の質感や陰影の見せ方によって住まいの印象は大きく変化します。自然光が差し込む時間帯による表情の違いや、木や石など異なる素材との組み合わせによるコントラストも魅力のひとつです。また、周囲の景色や植栽を引き立てる背景として機能することもあります。白という色は控えめでありながら、空間の特徴を際立たせる力を持っています。設計事務所による注文住宅では、白い家がどのような建築表現として形づくられているのか、その実例を通して紹介します。
ELL 〜美術館のように 白い空間が飾る平家〜 YIA イシウエヨシヒロ建築設計事務所
愛媛県西条市の豊かな自然環境に建つ、天井高3,950mmの平屋住宅です。当初は2階建てを希望していた施主に対し、吹抜けのような開放感を持つ平屋を提案。高い天井と南側からの採光、高窓による通風計画によって、伸びやかで心地よい住空間を実現しました。大屋根に包まれたアプローチの先には、中庭を望む玄関や自転車を飾るスペースを配置。濡れ縁が内外を緩やかにつなぎ、暮らしに豊かな広がりをもたらしています。高さが生み出すゆとりを丁寧に形にした住まいです。
アトリエのあるすまい ティー設計室
設計アトリエを併設する自邸です。かつて散歩道として親しんだ場所に建ち、松林に覆われた浜辺の風景の記憶を継承するように、厚みのある木材で外壁を覆っています。白く塗装することで柔らかさを加え、周囲の環境に静かに馴染む佇まいとしています。内部は床や天井の高低差によって、アトリエや個の場、共有空間を緩やかに分節。ロフトやルーフバルコニー、植栽、階段が内外の広がりを多層的に生み出しています。
Circle House 吉デザイン設計事務所
つくば市に建つ「Circle House」は、夫婦と3人の子どものために設計された住まいです。水面に広がる波紋を思わせる層状の外壁が建物全体を包み込み、外部からの視線をやわらかく遮りながら光と風を取り込みます。白い壁のレイヤーが生み出す奥行きある外観に、レッドシダーのアクセントが印象的。内部はオーク材や畳、モルタル仕上げのキッチンを用い、和の趣とモダンヴィンテージが調和する、落ち着きと開放感を兼ね備えた住まいです。
腰越の家 佐賀高橋設計室
建築家の自邸です。空調設備を設けず、窓の配置を工夫することで自然の風を最大限に取り込み、快適な環境を生み出しています。さらにハイサイドライトや大きな吹き抜けを取り入れることで、光と風が巡る開放的な空間を実現しています。設計者自身の思想が細部にまで反映された、シンプルで豊かな住まいです。
Kaleidoscope Ⅳ 澤村昌彦建築設計事務所
最適なプライバシーを確保した、都市型コートハウス。
堺 槇塚台の家 井上久実設計室
堺市南区の高台の住宅地に建つ住まいです。南東に広がる眺望を最大限に活かすため、テラスを囲むL字型の平面構成を採用しました。厳しい斜線制限や高低差のある敷地条件に対応しながら、黒い勾配屋根のボリュームと白い壁のボリュームをレベル差でつなぎ、スキップフロアによる立体的な空間を実現しています。半地下の音楽室や駐車場、プライベートゾーンを段階的に配置し、最上階には眺望を楽しめるリビングと小上がりの和室を設けました。敷地の特性を活かしながら、多彩な居場所と豊かな景観を取り込んだ住まいです。
小諸の家 KASA ARCHITECTS 一級建築士事務所
長野県小諸市に建つ、夫婦と子ども2人が暮らす平屋の住宅です。北に浅間山、南に八ヶ岳を望む敷地条件を活かし、南に大きく開いた片流れ屋根のシンプルな住まいとしました。冬の強い北風に配慮して北側の開口は最小限とし、季節の風が心地よく通り抜ける環境を整えています。深い庇が夏の日差しを抑え、低く伸びる水平ラインが落ち着きのある佇まいを生み出しています。
岩井のビーチハウス 多田建築設計事務所
遠浅の岩井海岸と漁港を望む穏やかな環境に建つビーチハウスです。都会の喧騒から離れ、家族や仲間とゆったりとした時間を過ごすための場として計画されました。白く塗装した無垢材の外壁が海辺の風景に映え、大開口からは海と山の眺望を取り込みます。建物中央にはパティオを設け、玄関から続く土間と海側のテラスを緩やかにつなげました。木製サッシがもたらす温もりと自然光に包まれた空間は、海辺の暮らしを豊かに彩ります。
風のカタチ 小島光晴建築設計事務所
日本有数の猛暑地として知られる群馬県伊勢崎市に建つ住まいです。エアコンに頼らず快適に暮らしたいという要望に応え、日本の伝統的な住まいの知恵を現代的に再解釈しました。風の流れや地熱、季節ごとの日射を丁寧に読み解き、自然の力を活かした環境を構築。さらに、天井の勾配や床の段差、壁の高さによって視線を巧みにコントロールし、開放感とプライバシーを両立しています。完成から三度の夏を経た今もエアコンを設置せず、季節の移ろいを感じながら心地よく暮らせる住まいとなっています。
vida *studioLOOP建築設計事務所
密度の高い住宅街に建つ、郊外型の狭小住宅です。東・北を隣家、南を商店に囲まれる一方、西側には起伏の豊かな茶畑が広がります。厳しい容積率と北側斜線を踏まえ、2階にはLow-Eガラスの大開口を備えたLDKを計画しました。ワンルームの空間に天井いっぱいの収納とドライエリアを設け、1階には寝室と水回りをコンパクトに配置。プライバシーを守りながら借景を取り込み、街並みに明るいアクセントを添えています。
すさみの家 Abax Architects
和歌山県すさみ町に建つ鉄筋コンクリート造2階建てのセカンドハウスです。2階にリビングと浴室を配置し、雄大な海と空の絶景を存分に取り込む構成としています。青い空と海の風景の中に、白いボリュームをそっと置いたような、静かで印象的な佇まいの住まいです。
建築条件の中でつくる|函の家 株式会社 山本嘉寛建築設計事務所
建築条件付きという制約の中で計画された住宅です。施工会社や指定の材料、限られた予算など多くの制約を前提に、施主と検討を重ね、無駄を省きながらも多様な空間や動線を持つ住まいを実現しました。外観は白い立方体とし、交通量の多い前面道路に対しては閉じた寡黙な表情としています。内部は吹き抜けをもつLDKを中心に諸室へつながる構成とし、家族が一つの空間に「居る」感覚を大事に設計しました。
ssrh 「ha」hosaka hironobu architect associate
巨大なカーテンウォールが、1.5層の吹抜けリビングに圧倒的な開放感をもたらす住まいです。吹抜けに隣接するロフトはガラスの壁で構成され、外部へ開かれた大開口と呼応することで、空間にさらなる広がりと透明感を生み出しています。豊かな自然光が住まい全体を包み込み、時間とともに表情を変化させるのも魅力のひとつ。アクセントとなる個性的なフローリングが空間を引き締め、洗練されたインテリアを印象づけています。
江田の家 zeal architects
雄大な河川沿いに建つ一戸建て住宅の計画です。施主である弟家族が、祖父母と自身の幼少期を過ごした思い出の敷地を選び、記憶を次世代へと受け継ぐ住まいとして計画されました。既存住宅は老朽化のため手を加えず、その隣に新たな住まいを建て、かつての風景や記憶を建築に重ねています。切妻屋根のシルエットや川辺の眺めを継承しつつ、敷地条件に応じてボリュームを調整。内部は川側に全室を開き、日常の中に風景を取り込む構成としています。
White House 株式会社 ファーイースト・デザイン・ラボ
郊外住宅地ならではの開放性とプライバシーの両立を目指した、4人家族のための住まいです。外部からの視線を抑えながら、光あふれる階段室を住まいの中心に据えることで、各階が緩やかにつながり、空を身近に感じられる明るい空間を実現しました。3階には家庭菜園も楽しめるルーフバルコニーを設置。1階には本格的な防音性能を備えたシアタールーム兼ゲストルームを設けています。縦横に広がる構成と窓の配置により、開放感と快適なプライベート空間を両立した住まいです。
3×10 Court house 土浦の中庭のある家 e do design 一級建築士事務所
霞ヶ浦を望む土浦市港町の角地に建つ、家族のための住まいです。多くの住宅が南側に開く中、あえて東側へ大きく開き、L字型の構成によって光や風、景色を取り込む計画としました。1階には中庭を設け、LDKや仕事場が植栽や空とつながる心地よい場所に。霞ヶ浦の風景や移ろう季節を感じながら、家族の時間と仕事、日々の暮らしが自然に寄り添う住まいです。
花塚の平屋 祐成大秀建築設計事務所
家族が自然と集い、それぞれの「好き」を大切にできる住まいです。こだわりの家具や照明が映えるリビングを中心に、素材や色彩を丁寧に選びながら空間を構成しました。当初は優先順位の低かった趣味室も、暮らしの豊かさを支える大切な場所として計画。土地探しの段階から理想の外観やライフスタイルを見据え、コストとデザインのバランスを整えながら実現しました。好きなモノやコトに囲まれて暮らす喜びを形にした住まいです。