焼杉外壁の家|設計事務所による注文住宅実例5選 著者:クラスキ編集部
焼杉外壁の家には、焼くことで生まれる黒い色と独特の表情が建物全体に落ち着いた印象を与えます。表面に現れる凹凸や木目の見え方は一様ではなく、光の当たり方によって外壁の表情も変化します。黒い外壁は木の素材でありながら、金属やコンクリートとは異なる温かみを感じさせることがあり、植栽や周囲の風景との組み合わせによっても印象が変わります。また、外壁全体を焼杉で仕上げるだけでなく、異なる素材と組み合わせることで、その質感を際立たせる表現もあります。昔から使われてきた素材を現代の住宅に取り入れることで、伝統を感じさせながらも現代的な建物の表情につながる点も興味深いところです。設計事務所による注文住宅の実例から、焼杉の質感が建物の外観にどのように生かされているのかを読み解きます。
Forest Living 吉デザイン設計事務所
深い森に囲まれた場所に建つ平屋の住宅「Forest Living」。外壁には日本の伝統的な焼杉を用い、黒く落ち着いた表情が周囲の森の風景に自然と溶け込みます。建物はワンフロアで構成され、すべての部屋から森の景色を望める計画。窓越しに広がる緑を身近に感じながら、静かで穏やかな暮らしを叶える住まいです。
Steps V 佐藤宏尚建築デザイン株式会社
木造2階建てでありながら、5層の床によって空間を緩やかにつないだ住まいです。吹き抜けやロフト、床下収納、テラスなどを高低差の中に組み込み、限られたボリュームに豊かな広がりと機能性を生み出しています。1階から屋上までを連続させることで、家族の気配や声が自然に届く一体感のある暮らしを実現。外壁には焼杉を用い、蓄熱式床暖房によって快適性と省エネ性も両立しています。
光井戸のある家 ユウ建築設計室
市川市の住宅街に建つ、延床17坪の小さな平屋です。周囲を高い住宅に囲まれた厳しい採光条件のなか、住まいの中心に吹き抜けの「光井戸」を設けることで、自然光を室内の隅々まで届ける計画としました。高所窓から差し込む光が空間に明るさと広がりをもたらし、コンパクトながら伸びやかな住環境を実現しています。外観には焼杉と切妻屋根を採用し、街並みに穏やかに調和しながらも印象的な佇まいを創出。小さな平屋ならではの豊かさを丁寧に引き出した住まいです。
京都伏見の住まい 木村哲矢建築計画事務所
京都伏見の川辺に建つ、1階をワークスペース、2階を住居とした住まいです。酒蔵の街並みに呼応して外壁には黒い焼杉を用い、内外ともに素材の質感をありのままに表現しています。粗いベニヤの壁・天井や、コンクリートをそのまま生かした土間など、構造と仕上げの境界を曖昧にした素朴な空間が特徴です。職人の丁寧な手仕事が、素材そのものの魅力を引き立てています。
9T+ 芦田成人建築設計事務所
「9T+」は、わずか9坪の建坪に暮らしの中心となる空間を凝縮しながら、高い快適性を実現した長期優良住宅です。塀に頼らず視線を巧みに制御し、光や開放感を確保。断熱・気密性能を丁寧に高めることで、室内の温度差を抑え、一年を通して快適な環境を実現しています。性能計算に基づいた設計により、小さなエネルギーで効率よく暮らせる住まいに。コンパクトでありながら、豊かな居住性を備えた住まいです。